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柱が少なくても丈夫な家とは?

今回のテーマは構造です。私事になりますが、先日モリシタで新しいモデルハウスをオープンしました。

▼新モデルハウスを紹介します
https://www.m-athome.co.jp/movie/new_modelhouse_shokai

見学に来ていただいたある方が「この家はものすごく柱が少ないですが強度は大丈夫なんでしょうか?」という質問を受けました。

新しいモデルハウスも耐震等級3をクリアしています。では、なぜ柱が少なくてもクリアできるのか、構造上OKと言えるのかについて、ご説明をしたいと思います。

僕の板書を見てください。モデルハウスの間取りを描いています。4間角の真四角の建物になっていて、僕たちは8P×8Pと呼んでいます。
1階は水回りがあって、間仕切りもあるので、柱が少ないという印象はあまり持たれないと思います。

一方で2階は、がらんどうの大きな空間になっています。これは僕自身が実験的に、こういった空間のある家をつくってみたい気持ちがあったので、今回取り入れています。

見渡すと、真ん中に柱が1本あるだけです。それを支える梁はシンプルな十文字になっています。傘を広げたときのような造りです。すごくのびのびとした空間ですが、初めて見られる方は「これって強度的に大丈夫ですか?」となるかもしれません。

板書に同じ4間角の建物を描いてみました。間取りが若干違っています。4間角でポピュラーな間取りという感じです。

1階に関しては新しいモデルハウスと同じように、間仕切りで構成されています。それほど大きな差は感じないと思います。2階はモデルハウスと見え方が異なります。一般的な部屋割りにした場合、絵で見ていただいているとおり、柱が点在します。赤く記しているのが、一般的な部屋割りにした場合に必要な柱です。

モデルハウスは柱が2本なのに対して、 一般的な間取りの方は外周を除いても20何本の柱があります。10倍以上も違いますよね。なので「このモデルハウスって大丈夫?」と心配されたのだと思います。

30〜40年前の日本の家の多くは、田の字の家でした。田んぼの田に似た間取りの家です。スクエアの形を割って、中心には大黒柱というものがありました。ケヤキの木のような黒光りした大きい柱を置いて、田の字の家は成立していました。このモデルハウスも大黒柱のある家です。

家の荷重には大きく2つのものがあります。1つ目の荷重は屋根の重みです。もう1つは2階の床になります。この両方が柱に伝わり、下の基礎に届くという構成になっています。そう考えると柱の数は多い方がいいですよね。

ずいぶん昔に動画で直下率についてお話したことがあります。

▼流行りだけど危ない間取り
https://www.m-athome.co.jp/movie/abunai_madori

それで言うと、一般的な4間角の家は柱がとても多いから「丈夫だな」という印象があるはずです。でも、大黒柱のある家もそれに負けず劣らず丈夫です。

なぜかと言うと、流通している柱というのは1本あたり10cm5mm〜12cmが多いと言われています。家づくりの現場だと10cm5mm角のものを見ます。それに対して大黒柱というのは最低でも15cm角ぐらいです。昔の家だと30cm角ぐらいの柱を使っていることもあります。

板書を見てください。一般的な間取りの家(柱が多い家)は、とても丈夫そうに見えますよね。ですが、大きな梁は十文字に配置されます。そうすると家の中心にある柱に力が集まってきます。では、その柱はどうなるかを描いてみました。

柱の断面図を使って説明をします。柱の四方には、梁という床を支える横架材というものがきます。この柱と横架材の接合部は「ほぞ」と言われる加工がされています。柱が引っ掛かるようにするんですね。大工さんが刻んだり、プレカットで刻んだりして加工しています。もし使っているのが10cmくらいの細い柱だと断面が傷んでしまうんですね。なので、たくさんの柱を使って、力を分散させることになります。

一方、大黒柱というのは絵にしたとおりです。細い柱と比べて断面欠損はそんなにありません。仮に大きな荷重がかかったとしても、一番傷むのは柱の断面ではなく、柱と梁の仕口になります。先ほどの細い柱の断面が傷むことに比べたら大分マシです。

昔だと大黒柱は非常に丈夫な柱の代名詞として使われていました。「大黒柱」という表現は、家づくり以外でも使われています。例えばお父さんのことを「一家の大黒柱」と表現しているのを聞いたことがありませんか?ここで言う大黒柱は、大きな荷をガッと背負って、みんなのことを守る人という意味が込められています。

モデルハウスは大黒柱のある家ですから、一般的な間取りと比べて柱が少なくても、必要な強度がある丈夫な家と言えるわけです。

ちなみに、普通の太さの柱でも丈夫な家を建てることはできます。それは「金物工法」というもので実現します。

金物を使って、木は傷めずに、ボルトの穴だけ加工します。開けた穴にカチャンと引っ掛けていくような工法です。こうすると断面欠損は限りなく小さくなります。なので、普通の人さの柱でも丈夫な家ができると言えます。

大黒柱の話もそうですが、これらを取り入れることで何が良くなるのかというと、間取りの可変性・柔軟性が増します。これは「スケルトン・インフィル」と言われていて、将来間取りを変えたくなったときに、そこまで大規模な工事をせずに実行することができます。

一般的な家だと、強度を出すために柱を多く使うという話をしましたよね。でも、将来間取りを変えたくなったときに「この柱(もしくは間仕切りが)邪魔だなぁ」と思っても構造面で必要なものだから取り外しができません。よって間取りの自由度も低くなります。

一方で、スケルトン・インフィルを採用していると、今回のモデルハウスの場合、構造計算的には2つの耐力壁と柱で強度が保たれています。それ以外の仕切りは、単なる仕切りでしかありません。間取りを変えたくなったときは、構造的に荷重を引き受けなくてもいいし、家具で仕切ることもできます。

家は何十年と長く暮らしていく場所ですから、そのときどきで間取りが変えられるのは非常に魅力があります。一方で、間取りを変えたことで家の強度が下がってしまったら本末転倒ですよね。

そこで今回登場した、大黒柱を使ったスケルトン・インフィルの家というのは、これからの家づくりで1つポイントになる内容だと思います。頭の片隅に置いていただくと、家づくりの選択肢が広がると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

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