理想の屋根形状について考える(市街地編)
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今回は、屋根の形について解説します。
家づくりというのはどうしても、いろんな環境でやることになります。僕たちは都市部に住んでいるので、市街地の一角に建てるケースが多いです。そういう条件下で、理想の屋根形状はどんなものがあるのかについて確認していきます。
一口に屋根の形と言っても、いろいろあります。まずは切妻屋根。子どもに家の絵を描いてと言ったらパッと書いてくれるような、一番ベーシックな形です。次に、切妻から発展した寄棟屋根。4方向から屋根の勾配が上がってくる形です。それから、切妻をもっとシンプルにした片流れ屋根。昔はこの屋根を使うのは工場ぐらいしかありませんでしたが、今は、住宅に太陽光発電を載せるのに向いているということで注目されています。そして、近畿では少ない陸屋根。北海道にある無落雪の屋根や、沖縄にある鉄筋コンクリートの屋根です。
寄棟の変形版で、正方形の建物の時に使う方行屋根や、寄棟のように見えて上側が三角に開いている入母屋屋根というものもあります。また、切妻の一部だけが寄棟のように切ってあるはかま腰屋根。有名なフランク・ロイド・ライトのウィンズロー邸や、昔の三井ホームさんの屋根もこの形でした。ちょっと珍しい形の錣屋根というものは、真ん中に切妻があり、その下に4方向に庇ができるような造りになっています。他にも招き屋根、越屋根、バタフライ屋根、ノコギリ屋根など、ユニークな形の屋根があります。中には水仕舞いの問題で、住宅で使うのはなかなか勇気が必要なものもあります。
屋根に関して、いろんな評価をする尺度があります。まずは、形の美しさみたいなことに関してのバリュー。切妻・片流れ・陸屋根は比較的シンプルですが、それを美しいと感じる人もいると思います。ただ、入母屋・錣屋根の方がカッコいいなとか、凝ってるなと思う人もいるはずです。もう1つの大きな尺度としては、施工のしやすさというのがあります。コストを安くできるのもそうですが、造りがシンプルで雨漏りがしにくかったり、メンテナンスが楽だったりと、耐久性にも関わってきます。
また、建築基準法ができてからは、斜線対応に対する尺度もあります。30年ぐらい前、僕は大手ハウスメーカーに勤めていましたが、そこでは寄棟屋根を使うことが多く、当時はよくわからないままお仕事をしていました。ただ、寄棟屋根は汎用性が高く、建物の配置がとても楽なので、ハウスメーカーがボンボン売っていくためには必要だったのだなと今は思います。
その後、15年ぐらい前からは、切妻・片流れ屋根を使う流れに戻ってきました。高価なお家でもそうなったのはなぜかというと、太陽光発電を載せるようになったためです。ただ、片流れ屋根については、やり方によっては配慮がいるんじゃないかなと個人的には思います。
片流れ屋根の総2階の家が、太陽光発電を効果的にするために屋根の傾斜をきつくしているのをよく見かけます。太陽光発電は南に向けるので、傾斜の一番高いところは、南の隣家からしたら南側になります。そうすると、隣家は2階建てだと思っていたのに、3階建て並みに壁の高さがあって、自分の家には光が入らないということになってしまいます。法的に許されるから建っているんだとしても、気分としては複雑なものがありますよね。
そういう中で、切妻屋根はシンメトリーですが、アンシンメトリーにしたら、普通の切妻屋根よりはたくさんパネルが載るし、北側への配慮もできることになります。なので都市部に関しては、アンシンメトリーな切妻屋根を使ってもいいんじゃないかと思ったりしています。最近建てたモデルハウスも、そういう形状にしています。
先日、松尾先生が、非常に示唆に富んだことをおっしゃっていました。ここ15年ぐらいで主流になってきた切妻・片流れ屋根は、妻側を南面にする大屋根という屋根形状に変わっていくのではないかということです。切妻・片流れ屋根に太陽光パネルを載せるとしたら、桁側を南に持ってくることになりますが、この屋根形状だと勾配が東西にあるので、屋根面積を全部使って、たくさんの太陽光パネルを載せることができます。「太陽光発電の効率が落ちるんじゃないか?」と言う人もいると思いますが、以前の動画でも言ったように、真南が100%の効率だとしたら、真東・真西に関しては85%ぐらいの効率になると言われています。間を取ると、96%ぐらいです。ちょっと面積が増えるだけで、その面の効率は変わってきます。
切妻屋根だったら太陽光パネルは半分しか載せられませんが、東西である程度の効率のロスを受け入れたら、たくさんのパネルを載せることができるので、市街地に向いているということになります。ただ、こういう形を取った場合、市街地で南に家が隣接していたりしたら、1階に光が入らなくなってしまいます。それなのに片流れ屋根にしたら、どうしようもなくなりますよね。そのため、こういう形の屋根は、平屋なんかでは特に好まれると思います。妻面から光を入れて、勾配天井・吹き抜けを利用して、光を入れることが可能だからです。僕たちがよく言っている「ほぼ平屋」みたいな家には、この屋根形状がフィットしていくんじゃないかと思います。
僕自身、「東西に太陽光パネルを載せるなんて大丈夫なの?」と思っていましたが、松尾先生がそういう風におっしゃっていたのを聞いて、そういう屋根の決め方も今後は大いにあると思いました。特に都市部で平屋っぽい家を考えている人にとっては、これは1つの大きな解になるんじゃないかなと思います。市街地で平屋や面白い家を模索されている方は、このアイデアを参考にしていただけたらと思います。
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