なぜ65歳でリノベをしたのか?森下家の場合
今日は前回の続きになります。
▼前回の動画
なぜ65歳でリノベをしたのか?3対7の順番
自宅をリノベしましたので、なぜ65歳の私がリノベをしたのか、森下家の場合をもう少し具体的にお話しします。前回は長い話だったので、どこまで見ていただけたかわかりませんけど、女房はどう思っているかわかりませんが、65歳からの10年を仲良く暮らし、幸せな気持ちを感じてもらいたい。リノベは不可欠かなと考えて、始めようとしたところまでお伝えしました。今回は、うちがどんな家か説明します。
うちは、ある大手ハウスメーカーの家です。僕は今までたくさん木造住宅をさせていただいていますが、その前は父の代から、そのハウスメーカーの指定工事店として下請けの仕事をしていました。90%以上がその仕事で、家を建てようかなという時期にはどっぷり入っていました。お世話になっていたし、当時の家づくりで1番欲しい要件も満たせそうだったので採用したんです。軽量鉄骨造で、外壁はALCの2階建て。延べ72坪、1階だけで38坪ほどある、バカみたいにでかい家で、築は31年ぐらいです。
なんでハウスメーカーの家を建てたの?とよく聞かれるので、昔の話もしておきます。以前は、おじいちゃんが人生最後に墨付けと刻み、上棟までのこしらえをした木造住宅に住んでいました。息子たちや家族が住む家だからと刻んでくれた、気持ちのこもった家です。上棟時には一緒に建前に上がり、お前、祝詞を読めないのか?しっかり俺と一緒に読めと言われた思い出も、どこかで語ったことがあります。
その家に、僕ら男兄弟3人も含めて暮らしていました。僕が大学に進学して広島に下宿している間に、今思えば父が母のためにリノベしたんです。大規模な増築、増改築をしました。親父もやりたいことがあったのでしょうけど、おじいちゃんのまとまった家が、構造的には結構強引な造りになっていました。当時は子どもだったので、親父が好きにしたらええやんという感じで住んでいました。
親父が亡くなった後、母と同居するようになり、1995年に阪神淡路大震災がありました。すごく揺れました。壊れはしませんでしたけど、姫路にもあんな大きな地震が来たら、まだ赤ん坊だった娘や女房を守れるのかな?と思って、地震に強い家にしておこうと。そのハウスメーカーは当時、地震に強い家という定評がありました。建ててみると施工的にしっかりした家で、僕たちも携わって、中身をよく知っていました。
昔は長男坊の責任を勝手に背負い込んで、でっかい家にして、お盆や正月には弟たちと家族が集まり、母親を囲む家にしなければと思って頑張りました。今思えば、そんなに力を入れなくても良かったんですけどね。そんな思いで建てた家の最大の弱点は、31年前の基準なのもありますけど、冬寒くて夏暑いことです。これだけはかなんなと断熱を強化したものの中途半端で、今僕たちがやっているG1、G2のレベルにはとても届かず、気密も悪い家でした。
僕はこんな体格なので、これまであまり寒くなかったのに、年を取ったら寒くなりました。女房は細い人で、すごく寒がりで冷え性です。これから年を取った時に、寒い寒いと頑張る家にはしたくないという思いがありました。それから、家は広いのに一部の水廻りはせせこましい。娘たちが子どもの頃、朝ご飯を食べて歯を磨くところに4〜5人の家族が結集していました。スペースはいっぱいあるのに、みんながいるところは狭くて、なんとかしたかったんです。
キッチンは対面式、半対面のような形で暗かったんです。女房はあまり意識していませんでしたけど、親父が早く亡くなったので、目の前のダイニングに写真をよく見えるように飾りたかった。女房は僕がこうしたいと言えば、思うようにしたらええやんと言ってくれる人です。母も子育てに協力し、ご飯を作ってくれたので、2人で共有できるキッチンを考えました。ただ、昔の人で背が低い母に合わせると、女房は何も言いませんでしたけど、僕が手伝うとすぐ腰が痛くなる微妙な角度でした。
お風呂も洗面もボロボロで、何より女房がゆっくりできない造りなのかなと。家を大きくした結果、僕がいつも否定する、田舎によくある2間続きの、わしの葬式をどこで出すねんというような広いLDKと和室があるのに、ほぼ使っていません。大きな仏壇と床の間があるだけです。大工の家系なので神棚もありましたが、焼き肉やお鍋が好きな家なのに、ダイニングのそばで湯気が当たるところにあって、いつも油汚れしていました。神様に叱られそうな場所でしたね。
当時のハウスメーカーが使っていたのは新建材で、31年経つと、造作もぱっと見ではわからないけれど、よく見るとボロボロです。僕はあと20年かな、女房なら30年ぐらい使えるかと考えると、そこもやりたかった。こうした問題を抱えてリノベに取り組みました。僕もプロの端くれで、妻は尊重してくれるので、私にはわからないから思うようにしたらええやんと言います。好きなことを言ってくれと言っても、前回紹介した動画の奥さんのように、大丈夫、お父さん思うようにして、というところがあるんです。
今回は、女房がやりたかったこと、本人も気づいていないことを具現化したかったんです。大したことではなく、小さなことです。やりたいことをいかに活性化するかを考え、最初にショールームを巡りました。神戸のHDCや大阪のグランフロントに、姫路からわざわざ電車を乗り継いだり、車で行ったり。LIXILの大阪、南港にも大きなショールームがありますけど、長い夫婦生活でも女房を連れて行ったことはなかったんですよ。仕事では何回も行くのにね。
今回も設計図面を見せると、ふーん、良いんじゃないの?という感じで、ホンマに良いと思ってる?と思うところがありました。それがショールームに行くと俄然変わったんです。それから、長男の家、跡取り息子ということで、ねばならないが強いところもありました。父が早く亡くなり、母が大きな仏壇を買っていました。でも僕の子どもは娘で、次女はまだ独身ですが、姉ちゃんが嫁いだので次女も嫁ぐと思います。そうすると森下家という概念もなくなります。
僕の代までは良くても、娘の代になったら、あんなでかい仏壇をどうするの?と絶対思うでしょう。娘たちを思えば、僕が仏壇じまいをしなければならない。今回を逃すと、しまうタイミングを想起できませんでした。女房に言うと、お母さんが思い入れで買ったのに、あなた大丈夫?と抵抗感がありました。なくすのではなく、リビングに置けて馴染む仏壇にしたいだけなんだと説明し、神戸の展示場に連れて行って一緒に見ました。どう思う?と聞くと、小さくて綺麗で良いねとなり、これに変えようと。女房をダシにして、僕自身の罪悪感を乗り越えることもしました。
僕もこだわりがあるので、最低これをやりたいといろいろ言います。女房は思うようにしたら良いと言いますが、一緒にやりたいという思いもありました。今回やりたかったのは、無垢材を豊富に使い、使うとこんなことがあるんだと一緒に実感することです。リアルに感じてもらえるよう、ショールームや銘木を置いているところに連れて行ったりもしました。
女房はいつも母を立てて、あなたはお母さんのことが気になるんでしょう、とやってきてくれました。めっちゃ恥ずかしいんですけど、この動画を見てくれている旦那さん方に言いたい。僕はずっと母親を優先した家づくりや生活だったと思います。それを何も言わずにしてくれた女房に、今回は君のことを優先するリノベにしたかった。恥ずかしいですけど、そう思ったんです。
その上で、自宅のリノベにはサブテーマもありました。築31年のハウスメーカーの家を、さらに高断熱化すること。完成すれば見えなくて何の感動もないんですけど、やっておこうと。よく観られている最強の暖房法の動画では二重窓を紹介し、刺激を受けて採用したお施主さんもいます。ただ、2回開けなければいけない弱点があります。夫婦で晩年暮らす場所の大きな掃き出し窓を二重から一重にしたくて、今回はカバー工法でやりました。
女房に辛抱してもらっていた、ボロボロのキッチンや洗面所、お風呂も刷新する。仏壇じまいをし、神棚は神さんに健やかにしていただける場所へ移す。そして、こだわりを夫婦で共有することです。これからうちの家で具体的に説明しますが、開口部、窓の小さなことでも、こうしたら気持ち良いからこうしたいと言うと、そうしたら良いんじゃないの?と返ってくる。そこにもう少し巻き込みたいなという思いがありました。
床には特殊な無垢の床を使い、エコオイルのようなオイルを塗って、室内の風合いを良くすることもしました。やるとどんな素敵なことが起きるかは知らないので、製品を見てふーんと言うところから、このプロセスで工務店の僕らはこういうことをやっていたんだと体験してもらいたかったんです。家具を買うことはまだあるかもしれませんが、夫婦で家のことをやるのはもう最後だと思うので、そんなサブテーマで取り組みました。
長い前置きはここまでにして、今どんな暮らしに変わったか、この後実際に見てもらいます。恥ずかしいので全部はお見せしませんが、何点か見て、そんなことをやっていたんだ、そんなことがやりたかったんだ、嬉しがりやなと笑ってもらえたらと思います。では、この後の動画を観ていただけたらと思います。
どうでしたかね?あまり大したものではなかったと思いますけど、僕たち夫婦はこういう暮らしに入っています。60代以上で夫婦のリノベを考えている方は、こうしたことをやりながら、前編で申し上げた大事な7割に取り組むリノベで、遠慮せず対話をしていただきたい。時にはむき出しになり、時にはしんみりと話していただければと思います。みなさんのリノベの成功を祈念して、今回の恥ずかしいご報告を終わらせていただきます。


