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「娘が幸せになる家づくり」とは何か?を考える。

今日は、娘が幸せになる家づくりとは何かをテーマに、お話ししていきたいと思います。

先日、10年ぐらい前に家を建てさせていただいたお宅からリフォームの相談を受けて、久しぶりにお邪魔させてもらいました。その時に、旦那さんといろんな昔話で盛り上がったのですが、最後の方に曇った顔をされたのです。「どうされたんですか?」と聞いたら、「最近娘がなかなか難しい年頃になって、うまくやる方法がないかなと思ってるんです」と。

その家の娘さんは、当時3〜4歳ぐらいだったのかな。可愛らしいお嬢さんで、いつも「パパ!」と言っていて本当にパパっ子だなという印象がありました。10年ほど経って年頃になられたんでしょう。「あの子が!?」と、私がそう思うぐらいなので、お父さんが戸惑うのはよくわかります。私にも娘がいるので。

そんなことを話している時、「そういえば『娘のトリセツ』という本があったな」と思い出しました。以前にも、他の動画で『妻のトリセツ』という本をご紹介させていただいたことがあります。黒川さんという方が書かれた本です。その本を差し上げたらご主人の助けになるかもしれないということで、差し上げる前に中身を読んでおこうと思い、読んでみました。そしてそれを読んで、ご主人よりも私の方が衝撃を受けたのです。

著者の黒川さんは脳科学者で、すごく勉強ができるし、すごい仕事をして本もたくさん書いている、能力の高い方です。もちろんお父さんがいらっしゃって、言ったらお父さんが大好きな娘さんです。そんな黒川さんは「私の自尊心は実は父に作ってもらったんだ」ということを書かれています。「自尊心を父に作ってもらうって何?」という感じで興味を持って、一気に本を読みました。

どんな本かと言うと、まずはこれです。パッと見た瞬間に目に入ったのが、「娘が幸せになるかどうかは父親の接し方次第」。娘を持ってる父親が読むと、結構ドキドキしますよね。そして「娘が持てるということは神様からのギフトですよ」ということ。娘を持つ多くのお父さん、どうでしょうか。そう思いますよね。娘は可愛いですよね。そんな可愛い娘に対して、未来に愛を残すコツがあるんだということが書かれていました。

すごく象徴的なエピソードで、心に残ったものがあります。黒川さんは脳科学者になるような女性ですから、幼い頃から利発な女の子だったことが想像できますよね。理屈っぽいし口も立つしと言うと、少し言い方は悪いですけど。そういう子どもだったんじゃないかと思います。

ある日、お母さんと喧嘩したらしいのです。お母さんと些細なことで言い合いになったのでしょう。でも利発な子だから、理屈でお母さんを言い負かして、最終的にどうなったかと言うとお母さんが泣いてしまいました。そこまで言わなくていいんじゃないかと思うぐらいに、やり込めてしまったのでしょうね。

その後お父さんが家に帰って来た時、お母さんがメソメソしているから言い訳がしたかったのでしょう。黒川さんが「お父さん聞いて!お母さんがこんなことを言ったんだけどおかしいよね。私の方が絶対に正しいよね」と、息巻いて言ったそうです。そうしたら、お父さんは「お母さんが正しいか君が正しいかお父さんはわからない。ただ、お母さんを泣かせた時点でお前の負けや」と言ったのです。「なんで?」と聞くと、「なんでも何も、この家はお母さんが幸せになるための家なんだ」とお父さんが言ったらしいんです。

すごくないですか?そんなこと言えますか? それを聞いた理屈っぽい黒川さんは、「何を言ってるの?」という感じじゃなくて、びっくりしたそうです。そして最後に思ったのは、お父さんはカッコいいということ。

黒川さんのお父さんは素晴らしいです。娘には「そんなことしたらアカン」「許さへん」とは言わず、「お父さん悲しいな」とおっしゃったのです。そっちの方が、黒川さんの心にはしみたらしいです。そのお父さんの悲しみが、自分の自尊心を作ったと感じたということでした。

黒川さんはその頃の自分を思い出して、こう書かれていました。「その頃の自分は世界の大事より自分の前髪の形の方が気になる」ぐらい、自我が肥大していたと。自分だけが世界の中心みたいになっていた時期だと、後で思われたそうなんです。そんな時に、「この家はお母さんが幸せになる家だ」という一言を聞いて、自分の自我がいい意味でリストラされ’たとおっしゃっています。

黒川さんはご自分の旦那さんも信頼されているし、男の人全体に全幅の信頼を持っているとおっしゃいます。それはきっとお父さんが私にくれたものだ。自分はそこそこ幸せだと思っているけど、その根底を作ってくれたきっかけなんだということに気付いたそうです。

私も息子だからわかりますが、母が悲しんだ姿ってとても堪えます。だから黒川さんは、お父さんの悲しみは娘の自尊心を作る。お母さんの悲しみは男の子の社会性を作るんじゃないか、ということもおっしゃっています。それを読んだ時、私は気恥ずかしいというか、反省というか、そういうことを思いました。

さらに黒川さんは、今の娘とあまり断絶しない方法も解説してくれています。その方法とは、娘(女性)とのコミュニケーションの方法です。男性は5W1Hで話をすると言います。「いつ・どこで・誰が・何・なぜ・どんな風に?」みたいな感じです。男同士でもそうですよね。私も部下と「なんでや?どうしたんや?何があったんや?」みたいな話になります。

この5W1Hの質問は、女性から見たら攻撃らしいのです。ウザく感じられたりする。なぜなら女の人は、5W1Hの質問は同性を攻撃する時に使うからだそうです。それぐらいそのことに対してとても敏感なんです。言い換えると、それは問題解決型の対話だと黒川先生は類別されています。一方で女性が求めるのは、問題解決型ではなくて心の対話だということです。

そのため、娘さんと喋る時は話の呼び水が必要だと、黒川先生はおっしゃっています。それは感じたこと・気付いたことで、「今日こんなことがあってな」という感情体験を伝えること。「今日は本当に疲れた」とか「困ってな」と、妻と娘に相談するみたいな感じです。その中で共感が生まれていきます。問題解決じゃなくて、新たな気付きや穏やかな安心感を、女性はコミュニケーションで大事にしているのです。

だから、問題解決してゴール設定してという、男性特有の会話はウザいらしいです。お母さんでも息子にやりますよね。「宿題やったの?学校どうなの?」とか。息子はそれを聞いてウザいなと思います。そういうウザい感じがループすると、息子さんが女の子にモテなくなると黒川先生はおっしゃっています。

そういうところを気にしていくと、娘さんあるいは息子さんとの会話は、少し折り合いが良くなるはずです。ただ1点注意点があって、12歳になった女の子にこの形で言うと、それもウザがられるから注意してください。「あんた髪の毛切ったん?」と12歳の女の子に言ったら「ウザ!」と言います。10歳ぐらいだったら「髪の毛がキレイになったな」と言うと「お父さんわかる?嬉しい!」と言ってくれるかもしれませんが。そういう風に注意をしてください。

もっと言うと、今の娘に対してお父さんがやってほしいことは、オタクっぽい一面を見せてあげることです。世の中には複数の価値観とか世界観がある、ということを伝えましょう。物の見方は1つじゃない、なおかつ、世界は君だけのものじゃないということを、なんとなく伝えることが、肥大した若い女の子の自我のリストラに繋がるのです。それをやったからと言って、今の娘さんとのギクシャク感は消えないかもしれません。でも、必ず娘の中にはお父さんの思いはちゃんと伝わるよということをおっしゃっています。

黒川さんが書かれていたことですごく共感したのが、「父の愛は時間差で追いかけてくる」ということです。自分がその歳になってしみじみ「ああそうだな」と感じるものがあると言います。「娘は年齢を重ねるごとにお父さんの愛を拾っていくんだ」ということをおっしゃっていて、共感しました。

私の母は81歳ですが、81歳の彼女が私のおじいちゃん、母にとっての父の思い出をよく話します。素敵な料亭に連れて行ってくれて「女の子は贅沢も知っておかなアカンねや」と言ってくれたとか、本を買ってくれて「これは女の子として読んでおけ」と言ってくれたとか、すごく懐かしみを持って話すのです。それを見ていて感じるのは、うちのお母さんはおじいちゃんのことをリスペクトしていたんだなと。80歳になってもまだ思い出すものがあるとしたら、やっぱり父の責任ってすごく大きいですよね。

最後に締めくくりとして黒川さんはこうおっしゃっています。「父親というのは無条件に娘を愛して、そして妻を尊重して、その上で悲しんでやらなければいけません」。素晴らしい一言集約ですよね。

私も、どちらかと言うと娘を溺愛してる父親のうちの1人です。でも、今の家を建てる時に「お母さんが幸せになる家」という確信が自分にあったかと言うと、穴を掘って入りたいぐらいな気持ちがあります。

先だって、『ボールのようなことば。』という糸井さんの本の紹介をした時にも言いました。お父さんとお母さんが仲良く暮らすとか、お母さんが幸せになる家が、子どもにとっても良い家になるはずです。そんな大きな命題を心に秘めて、奥さんと家づくりの話をすることが大切だと思います。

全編に渡って自分の懺悔みたいな話になりましたが、これから家づくりをされる若いお父さんたちは、こんなことも頭に置いていただいて家づくりを考えてもらえれば嬉しいです。そして10年経った時に、改めて娘と向き合うことになると思います。生きている時はもちろん、死んでも娘のことを守ってやれる一生を過ごしてもらえたら、素敵だなと思いました。

家づくりの話と言いながら設計の話でも何でもなく、ただの心の持ち方かもしれませんが、ぜひ参考にしていただければと思います。

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