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「妻のトリセツ」を読んで家づくりを考えた

今日は『妻のトリセツ』をいう本を肴に、家づくりについて解説していきます。

この本は、先日、僕が会社勤めしていた頃の友人たちから勧められた本なんです。
漫画チックなタイトルですが、男が読むと身につまされるような内容になっていて、「森下も読んだほうがええで」と言われたんですね。

以前にチラッと読んた記憶はあるけれど、しっかり読んでなかったなぁと思って、今回再読をしてみました。そうすると「なるほどなぁ」と思う以上に、自分の過去を思い出して「アタタタ」となるところがあって、これはぜひ、これから家づくりを考えてる人にも読んでもらいたいと思いました。

『妻のトリセツ』ですから、奥様にというよりは旦那さん方に向けた話になります。「60前のおっさんが何を偉そうに言うてんねん」と思うかもしれませんが、柔らかい気持ちで見ていただけるとうれしいです。

また、今回お伝えしたことを取り組んでもらうと、本当の意味でいい家づくりが実現しますし、大げさな言い方ですが、幸せな人生のための一歩になるのではないかと思います。

ここで僕のスケッチを見てください。
『妻のトリセツ』には、いろいろな副題があります。で、ここで最初にお伝えするのは、女性の脳の仕組みを知って、男性は戦略を立てないとダメなんだという内容です。

夫婦って喧嘩もしますよね。でも、この本には喧嘩をしないように、奥さんと上手に付き合っていけるようにという視点での啓蒙というかノウハウが載っています。

読んでいると、やっぱりドキドキすることが書いてありました。

「俺こういうことやってるなぁ」とか「女房にこんな風に思われてるんやろうなぁ」と思って怖くなったこと、それから工務店のオヤジとして心に引っかかったトピックが3つありました。

まず1つ目が「名もなき家事が2人を分かつ」というものです。
普通、家事って名前がついてますよね。料理・洗濯・掃除とかですね。一方で名前すらついていないけど、しないといけない家事というのがあって、これを“名もなき家事”というそうです。
この“名もなき家事”が、実は夫婦の関係をギクシャクさせるんですね。

2つ目が「事件は大抵リビングで起こる」というものです。
映画のタイトルみたいですが、実際に夫婦のギクシャクはリビングを中心に展開されるんだよ、というセンテンスがあります。

そして3つ目が「お楽しみは予告と反復」というものになります。

この3つの言葉が、家づくりに関係しているなぁと思いました。

言葉だけお伝えしても意味がわからないと思うので、森下流ダイジェストをしていきますね。

僕は覚えがあるんですが、夫婦喧嘩のとき「あなたはいつもそう!」って怒られることありませんか?

突然10〜 20年ぐらい前のことを引き合いに出されて、今やってしまった失敗を怒られる、ということです。

女性の脳は何十年の間の類似の記憶を、別々ではなく1つのものとして記憶・展開するという風にできてるそうなんですね。

また、夫婦のギクシャクが始まりやすい時期がありますよ、ということも書かれています。それは夫婦になって奥さんが妊娠・出産して、授乳をされる期間が展開される時期だそうです。その頃に夫婦のギクシャクする大元の危機のトリガーみたいなものができるとのことでした。

なので、まずはこのことを知っておいてくださいね、というところから話が始まります。

この話を聞いてドキドキした方いませんか?

特に妊娠・出産・授乳期という、赤ん坊が生まれて育てていくとき、奥さんがやらなアカンことに家事があるんですね。

今は共働きの世の中で、僕の時代からすると、今の若い旦那さんは家事しっかり手伝ってえらいなぁと尊敬することが多いです。

それでも統計を取ると、家事ということに関して旦那さんと奥さんを比べたら、10倍ぐらい使う時間が違うんですと本の中で書かれていました。

ここから1つ目の「名もなき家事が2人を分かつ」ということがあるという話に繋がってきます。

家づくりにも関わることで、例えば夫婦喧嘩で「あなたは全然家事してくれない!」って
怒られることがあったりしますよね。そのとき僕たち旦那側が対抗する言葉に「俺だってゴミ出ししてるやん!」というのがあると思います。こういうの言ったことないですかね?

僕は同じことを言ってしまった経験があって、それを言った時、奥さんは「そうだよね」とはなりませんでした。むしろ「ふざけないで」って怒りが強くなってしまいました。

このことを黒川さんという著者が解説しています。“ゴミ出し”という家事を分析しているんですね。

黒川さんが言うには、ゴミ出しというのは10のステップがあるそうです。

①はゴミの分別の仕方を理解すること。それぞれのゴミに合った箱を複数用意して、動線や見た目を考慮してゴミ箱を設置することだそうです。
②はゴミ袋を分別種ごとに用意する。
③は分別ごとの収集日を把握する。
④は分別してゴミを袋に入れる。
⑤は人に見られたら嫌なゴミが見えないようにチェックする。
⑥は袋が破れないように空気を出しつつ、汚れなどをチェックする。
⑦は空気を出して綺麗に体裁を整えつつ、ゴミをしっかり入れる。

そして⑧に、やっとゴミ捨て場にゴミを捨てに行く、というのが出てきます。

これには次があって、⑨がゴミ箱が汚れてたら綺麗に洗う。
そして最後の⑩が新しいゴミ袋を設置する、となります。

この①〜⑩までがゴミ出しという家事になるんだとおっしゃっています。

多くの旦那さんが言っていることは10あるステップのうちの8番目だけなんです。

そう考えると、奥さんからしたら「ふざけないで」って感じになりますよね。

この話、怖くないですか?僕は震え上がりました。
僕たちも家づくりのとき、「分別を考えてゴミ箱は設置しましょう。そうすることで家事が軽減されますよ」ということを、よく提案しています。

でも「10のステップに分けて考えて設計できてたの?」と言われたら、今はひたすらごめんなさいとしか言えない感じになります。

同様に洗濯という家事も、よく引き合いに出します。
「今は機械がやってくれるし、洗濯機に洗いたいもの突っ込むだけだから、別に大変じゃないやろ?」みたいなことを勢い余って言ってしまったことがありました。でも、洗濯もゴミ捨てと同様に10ぐらいのステップがあるんですよね。

①が用途に合わせて洗剤を用意する。
②が白物と色物を分ける。
③丸めていたものはひっくり返す。
④が普段着の洗いとおしゃれ着を分ける。
⑤が襟・袖とか靴下とか汚れのひどいところを予洗いする。

⑥で、やっと洗濯機に入れて回す、というのが出てきます。

⑦が洗濯したものを1つずつパンと伸ばす。色物なら紫外線劣化しないように裏返すという作業も出てきます。
⑧で、ようやく干します。(乾燥機に入れる場合もあると思います)
⑨が干したものを取り込む。
⑩が取り込んだものを仕分けして、畳んで、ハンガーに掛けたり収納にしまう。
この⑩のステップを踏んで初めて洗濯という家事が終わります。

こうしてみると、洗濯もすごい大変な家事ですよね。
「洗濯機でやってくれてるから」なんてことは、ほんの一部でしかなくて、前後に膨大な工程があります。

この膨大な工程が“名もなき家事”なんだということわかっていないと、2人を分けてしまいます。今回挙げたことって、お母さんにとって一番大変な授乳期にも、やらなくてはいけない状況があります。

今、おしめは紙おしめが主流ですよね。昔なら赤ん坊のお尻まで洗ってたと思います。それがなくなったから今は楽になったかと言うと、決してそうではないです。他にもやらなくてはいけないことがいっぱいあるんですよね。

なので家づくりを考える時、家事をラクにすること、例えば「キッチンとか洗面所とか洗濯場のことは、君が考えたらええ」って言う旦那さんもいらっしゃると思います。

でも、この本を読むと、より僕は、旦那さんも一緒に話を聞いて検討したり、自分がやる身になって「洗濯のこと俺よくわからないから詳しく教えて」という風になってほしいんですね。
同時に、設計者もちゃんとやらなくてはいけないなと、すごく思っています。

その上で、「事件は大抵リビングで起こる」という話に移ります。
夫婦間でのギクシャクが起こる時というのは、リビングとか水回りのような奥さんのテリトリーとされる場所に、旦那さんが不用意にいた時に摩擦が起きると書かれています。

なので、奥様だけでなく旦那さんのためにも、家の中に旦那さんの居場所というのをつくっておいたほうが良いんですね。

コロナで在宅ワークが普及した影響で、いま書斎がすごく見直されています。
一方で、これまでは、旦那さんの仕事部屋とか書斎部屋というのは、子育て世代の家づくりだと優先順位が低かったです。
書斎というのは、夫婦が仲良くあるためにも必要だ、という考えに変わっています。

最後に「楽しみは予告と反復」になります。これはシニアの僕にビリビリ響いた無いようです。

僕はもうすぐ60歳になります。周りも定年近い人が多くて、家の建て替えとか大規模なリフォームとかリノベーションを考えてることが多いです。

その時に男の人は奥さんを喜ばせたい気持ちからサプライズをしてしまうんですね。
旦那側からすると「ええ旦那さんやん」となりますが、これが実は女性にとって気持ちが良くない、ということを知って、かなりドキドキしました。

というのは、この本によると女性というのは「楽しみはゆっくり味わいたい」と書かれています。一方で男性は、すぐに結論を求める、と。

例えば今日、突然「レストランに行こう」って言われるより、「1週間後に良いレストラン
予約できたから一緒に行こう」という誘いの方が女性はうれしいそうです。
僕は女心わからないので「えっ!なんで!?」と思いました。

女性は当日までの1週間、「何着て行こうかなぁ」とか「どんな料理が出るのかなぁ」とか、旦那さんに「これ着て行こう思うんだけど、どう思う?」みたいに考えたりするのが楽しいというんんですね。

僕なんかは「当日のメニュー?メニューなんか行った時に考えたらええやん」ってなります。それがごっつい切ないらしいです。

もう、本を読みながら、今回動画で話しながら、めちゃ反省しています。

そういったことがあるので、家づくりのことをサプライズにしてしまうのは、必ずしも良いとは言えないんですね。

奥さんにとっては1週間とか1ヵ月間、繰り返し「私のためにリフォーム考えてくれている」と思いながら「どんなのがいいかな?」「こんなのがいいかな?」「一緒にショールーム行ったらいいかな」って考えるのがいいんですね。

だから、ある日突然「俺が考えて契約してきたぞ」って言うのは一番アカンのですね。なのでこういうことも頭に置いておいてほしいんです。

ここまで長々言いましたが『妻のトリセツ』を、家づくりをする人、リフォームを考えている旦那さんに一読してほしいなというのには理由があります。

今回冒頭で友人たちから勧められたという話をしました。その友人たちとは久しぶりに、10人ぐらいで集まったんですね。で、そのうちの3人が離婚していたんです。
話を聞くと、いわゆる熟年離婚というやつで、定年退職を機に離婚したというケースでした。

その話を聞いた時に怖いと思ったのと、彼らが『妻のトリセツ』という本があるから読んでおいたらと僕にアドバイスくれたというのがあって、今回再読したんですね。

読んだ時、「俺はまさに日頃こういうこと、奥さんが言ってほしくない台詞ばっかり言ってるな」と思いましたし、上手に感謝伝えるというのも、やっているつもりだけど全然できてないという反省もありました。

それから僕は家づくりの現場の中で、お節介なおじさんとして、余計なことをよく言います。

なので若い人にもシニアの人にも“名もなき家事”に対して、家づくりの中でどう取り組むか考えたり、改めて妻のテリトリー・夫のテリトリーって何かを考えたり、奥さんと家づくりする時は独断専行じゃなくて一緒に考えていくということを大切にしてほしいと思いました。

繰り返しになりますが、奥さんの気にしていることに対して「お前が考えておいたらええ」とか「お前の好きにしろ」となると、「何のために家建てるのかな?」となる危険性があります。

家づくりをする際、みなさん、いろいろな目的があると思います。かっこいい家が建てたいとか、おしゃれに住みたいとか、趣味をエンジョイしたいとか、いろいろあるはずです。

でも僕は、そういった目的の中でも、家族と仲良く健康に暮らせる家をつくりたい気持ちが強いので、「家事のことやから妻が好きにやったらええ」というのでは足らんのやということを、この歳になって、友人との交流で改めて思いました。

今日の話は取りようによっては、とても重い話やし、おっさんの余計な話だと思います。でも大切なことですので、ぜひ『妻のトリセツ』を読んでいただいて、みなさんの家づくりに役立てていただいたらと思いました。

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