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心地の良い風通しのつくり方

今日のテーマは風通しです。

風通しと聞くと夏のイメージが強いかもしれません。でも今の日本の夏は異常な暑さですので、風通しだけでは熱中症になります。

夏の期間は窓を閉めてエアコンをかけることで快適に過ごしてほしいと僕は個人的に思ってます。その上で春とか秋とかの中間期は、気持ちのいい風を家に入れて快適に過ごしてほしいんですね。

以前も風通しの話をしたことがあるので、今回は違う視点で解説をしていきたいと思います。

と言いますのは、以前の動画では平面計画、つまり間取りを考えるときに、平面的に窓の配置を上手にやって風をちゃんと通る家にしましょうね、という話をしました。

ただ実際に住むとなるとそれだけでは十分にカバーできないなと思うところが出てきたので、その内容について解説したいと思います。

さっき、風通しを平面で考えるということが出てきましたよね。でも当たり前ですが、私たちが生きてる世界は三次元なので、奥行きや高さが必ずあります。なので風通しを計画するときも、立面や断面のことを考えないといけません。

僕の絵を見てください。建物の断面図を描いています。

まず風通しには3つの要素があります。風の入口・出口・通り道です。この3つを考えないと、風は抜けてくれないです。

みんな入口と出口については考えます。でもたいていの家には間仕切りとか建具がありますよね。なので間仕切りを介して、どう風を通すかも考えないといけません。
これから家を建てる方には「通り道もちゃんと考えてあるかな?」という視点を持っていただきたいんです。これがお伝えしたいこと①です。

②が入口に当たる風についてです。建物には風の当たり方というのが大体4通りあります。

1つ目は建物の正面に吹く場合。

2つ目が道を介して吹く場合。敷地というのは道に面してますよね。風というのは道沿いに一番通るから、道を介して建物に吹くケースも当然あります。

3つ目が建物と建物の隙間から吹く場合。(草原の真ん中にある一軒家は除きます)

4つ目が屋根に吹く場合。家のなかで風を一番受けるのは屋根になります。例えば台風の被害で「屋根が飛んだ」ということがありますよね。台風のときでなくても、吹いてる風というのは屋根に一番当たっています。

なので、みなさんに一番注意してほしいのは屋根にあたる風になりますが、最近はエアコンの室外機からの風にも注意してほしいです。

風が抜けるように窓を配置したけど、例えば近くにお隣の家の室外機があったら、窓を開けたときに熱風が入ってきてしまいます。あとは室外機の音も入りますよね。あまりいいことないですから、気を付けてください。

で、今日一番お伝えしたい屋根に当たる風に話を戻します。

まずみなさんに知っていただきたいのが正圧と負圧です。
建物が強い風を受けると、強い圧力が発生しますよね。風側の圧力を正圧と言います。対して建物側が受ける圧力が負圧になります。

例えば正面から風が吹いたとき、屋根の勾配がその風の方向と同じだと、家の正面と屋根に、すごい圧力がかかります。一方で真裏の壁には負圧というマイナスの圧力がかかります。

そうすると、空気は圧力が下がったところに対して逃げようとする性質がありますので、窓を上手に切ると上手く風が抜けていくという作用が起こります。バキュームで吸われるような感じですね。

一方で屋根の勾配が風の吹く向きと逆の場合は、屋根が負圧になります。なので高い所にある窓、天窓などを作った場合、こう風が吹くとここがまたシュバッと抜けていくということが起きます。

こういうケースを知っていると、平面図では「これってどうなの?」と思っても、立面にしたらスムーズに風が通って気持ちがいい空間になるのがわかるんですよね。「1階のリビングの窓開けたら、2階の子ども部屋に気持ちのいい風が通る」みたいなことが実現できたりします。

立面・断面も考えていただくと、平面だけで考えるときより気持ちいい空間が作れる可能性が上がってくることを知っておいてほしいです。

その上で、最近僕がしみじみ良いなぁと感じているのが「地窓」です。
窓って普通は「腰窓」と呼ばれる腰の高さ以上のものが多いです。日本の昔の家は地窓が多いですね。

「地窓」は下側に取るもので、これがあると部屋の涼感が変わります。例えば、床に座ることを考えた部屋なら、腰窓よりも地窓を作るほうが涼しく過ごせます。逆に腰窓にすると頭の方に風が吹くような感じになります。

でも、これって立面で考えないと気が付かないですよね。平面図にしてしまうと腰窓も地窓も同じにしか見えなくなってしまいます。なので立面で考えることって大切なんです。

あとは上下窓や回転窓を使うのもおすすめです。これはサニタリーとかにいいですね。

サニタリーって、窓は1つということ多くないですか?でもサニタリーって、意外とお湯を使うことが多いから、湿気がこもらないように外に出したくなると思います。あとは空気きれいにしたいとか。

ただサニタリーは洗面ユニットなどの建具の関係で窓が1つしか付けられないケースが多いんですね。そうしたときに上下窓や回転窓を取り入れることで、サニタリーの空気を対流させる方法があります。

これは高等テクニックになるので、設計力ある方にご相談された方がいいと思いますが、そういう手があるということを知っておいてください。

あと、最近見たものですごく面白いなと思ったケースがあります。岡山のとある工務店の社長さんが回転窓を使っていたんですね。

回転窓というのはくるくる回る窓です。断面図を描いてみました。
これが中途半端に真ん中で水平にしたら、給気と排気みたいな感じで上手に風が回るんです。風通しをよくしたいときにもいいですよね。

例えば2階ホールにエアコンをつけて冷暖房をする場合、この回転窓を使えば、ホール周りの居室に対して上手に届かせることもできます。その社長さんが実際に見せてくださったので、とても勉強になりました。風の通り道に対してのアプローチみたいな感じで覚えていただくと、面白いと思います。

最初にお伝えしたように、風通しというのは春・秋のような中間期に楽しんでいただきたいと思います。そのときに、風がうまく通る方法を平面・立面・断面で考えていただくと、風通しのバリエーションが広がったり、部屋の心地よさのイメージがしやすくなるはずです。

ぜひ参考にしていただいて、家づくりを進めてください。

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