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住まいの基本:「生活動線」について考える

今日は生活動線の基本について解説します。

お客様と打ち合わせをしていると、生活動線を気にした家づくりにしたいという話によくなります。その中で、お客様自身だけでなく、私たち設計担当者も少しこんがらがるような時があると感じます。今回は非常にベーシックな話ですが、生活動線の基本的な考え方を考えてみたいと思います。

今日は具体的な図面やプランではなく、生活動線の考え方の概論としてご説明させていただきたいと思います。家づくりにおいて、いろいろな「○○動線」という言葉が出てくるので、それを整理しておこうと思います。

生活動線とは、すべての分類される動線をまとめて言う言葉だと思っています。この生活動線は大まかに4つに分類されると考えています。もちろん分類方法は様々な考え方があります。

1つ目に、一番大きい動線が、みなさん気にされる家事動線です。

2つ目は、あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、身支度動線というものです。人間は必ず睡眠をとりますよね。寝る前の一連の流れ、朝起きてから仕事や学校に行くまでの一連の流れ、そして帰宅後から寝るまでの一連の流れがあります。これらを総じて「身支度」と言えます。睡眠時にはパジャマを着ますが、外出時には服を着て、帰宅後にはまた服を着替えることもあります。これらの動線は身支度に関連するものと言えます。

3つ目は、家事動線にも関連するかもしれませんが、衛生動線というものがあります。人間は生きている限り、体のメンテナンスや清潔さを保つ必要があります。また、排泄物も処理しなければなりません。そのような衛生面に関わる動線です。

最後に、あまり意識されることの少ないものですが、来客動線があります。私の感覚では、ここ20数年間であまり議論されなくなり、人々の関心が減ってきたように感じます。

一昔前、私のおじいちゃんの時代の注文住宅は、家の主体は来客でした。床の間や客間、応接間など、お客様と会うための部屋がありました。広々とした玄関もその一部で、すべてが来客への対応を考慮したものでした。お客様がどのようにいらっしゃって、どのように帰ってもらうかというのは、非常に関心の高いものでした。

しかし、現在は家族を主体とした家づくりが主流となり、来客用のスペースはかなり小さくなりました。今の時代にはあまり関心が薄いかもしれませんが、世の中は循環しているように感じられ、外に対して開かれる家づくりが戻ってきているようにも思います。その整理も含めて、今回の話題をお伝えしたいと思います。

順番に見ていきます。家事動線に関しては、さらに具体的には3つに分けることができます。

家事の中のウエイトや頻度が大きいもので言うと、1つ目が洗濯です。家事を主体的に行っている方に聞くと、やはり洗濯は最も負担が多いと聞きます。この動線は、家事の効率に著しい影響を与えます。

2つ目に、お掃除です。毎日するのか週に2回なのか、その頻度は別としても、これがないと家が維持されません。

3つ目に、調理です。人間は3度食事をする必要があります。家で食事をするために調理する必要があり、調理に関連する動線も考慮されます。

これらの要素は、多くの人が考えるポイントであり、特に「洗濯動線を短くしよう」という潮流はこの10年ほどで顕著に広まりました。

家事にはそれぞれの家事の主体者がいることがありますが、身支度はそれぞれの人の固有のものです。例えば、ご主人や家のお父さんが外出するまでの流れや帰ってくる流れがあります。同様にお母さんも、専業主婦の方や仕事をされている方など、それぞれの身支度の流れがあります。子どもたちも、成長するにつれて幼稚園や保育園、小学校や中学校へ行くようになります。さらに社会人になると、仕事に行くようになります。

このように、それぞれの人に固有のものとしてこの動線があります。私は通称「お出かけ動線」と呼んでいます。起床後に顔を洗って、服を着替えるにしても、ごはんが先か着替えが先かなど、人が動く習慣はそれぞれです。お父さんと子どもたちで動きが違うことがあります。

このお出かけ動線は、家族がどのように動くか、どのように動くのが好みか、またはどのように動いてほしいかという点も含めて考慮します。

帰宅時も同様です。スーツ姿で通勤している人もいれば、制服を着ている人、カジュアルな格好をしている人など、さまざまな服装があります。季節によっても、夏はTシャツ1枚の時もあれば、冬はコートやダウンを着ることもあります。こうした要素も考慮し、コートを着た時の動きや夏の動きなど、季節や服装に応じた動線が存在します。

なぜこのように動線を考えてほしいと言ったかというと、「家事をラクに・合理的にやる」ということの中に、「家がサクッと片付きやすい・散らかりにくい」などという片付けの要素があるからです。これは家事動線だけでなく、身支度動線に深く関わっているということを頭に置いておいてほしいです。というのは、家の散らかりを突き詰めて考えていくと、「衣類が乱れる」という要素がとても多いと言われているからです。

例えば、ご主人が帰宅する際に、上着を脱いでソファーに置いてしまうという行動があるかもしれません。私自身もそのタイプで良く怒られます。いつもは妻が「もう~」と言いながらハンガーにかけてくれますが、「いつも言っているでしょ!」となることもあります。

また、子どもたちが衣類を脱ぎ捨てたりすることもあります。私は男の子なので、小さい頃はあちこちで脱いだままにして、よく母親に怒られていました。特にうちは男の子3人兄弟だったので、3倍で衣類が散らかります。母にとってはたまったもんじゃないと思います。「片づけても片づけても片付かないわ!」という感じだと思います。

このように、衣類を上手にコントロールできなかった家はすごく散らかってしまいます。しかし、家の作りが適切になっていれば、例えば帰宅した時に上着をポンとかける場所があれば、家族はそこに上着をかけるんです。小さい男の子でも1人で上着をかけられます。もちろんお父さんも上着をかけます。

そうすると、家族全員が何気ない動線上で自然な動きをしてくれて、家は散らからずに済むのです。動線のコントロールによって、家の片付けを助けることができるのです。このように身支度動線が家事動線とうまく絡み合うように考えていただくのが、生活動線を気にする人の目的に近づくことではないかと思います。

その上で、「うちは来客なんてほとんどない」ということもあるかもしれませんが、最近の来客動線を考えてみます。家を建てる時に最近よく聞くのは、趣味の交流や自分の趣味を極められるような家にしたいという要望が増えています。

例えば私の友人では、自転車に乗ることが好きで、自転車の整備を家でやりたいという人もいます。それが、家の中で行うのではなく、外に向かってやっていくような要素が結構あります。

そのように、これまでの来客の概念とは異なりますが、外に向かって開かれていくようなイメージが存在すると、来客動線の重要性が復活するのではないかと思います。

そう考えた時に、来客と生活ものというのは、外と中みたいなものでクロスしていくものだと思います。

この来客というのは、単に「こんにちは」と訪れるだけではありません。例えば気の置けないお客さんではなくても、「ちょっとトイレを借りてもいいですか」と言われれば、トイレに案内することになるでしょう。ここには衛生動線が関係してきます。また、親しくなって泊まってもらうようなお客さんには、お風呂も使ってもらうことになり、ここでも衛生動線が関わってきます。

衛生動線と来客動線をどうクロスさせていくか、変に気を遣わせないようにすることも、来客動線と衛生動線の関係によって変わるということです。

最近動線の言葉で使われるものに、回遊動線という言葉があります。回遊型などとよく言うように、これらの動線をぐるっとうまく循環させることが、回遊動線の目指すものだと思います。

今日は抽象的な概念論で話しましたが、家事動線や回遊動線を意識する人は非常に多いです。これらは家づくりの案にも出てくると思いますが、身支度の動線や衛生動線、来客動線なども絡めて考慮しないと、本当の意味での生活動線を完成させることはできず、散らかりにくい家を作ることも難しいと思います。ぜひこのような視点で生活動線を考えていただいたらどうかという、私からの提案です。

この話は、過去の動画でもう少し個別のエッセンスを取り上げています。もし今回の話を聞いて「具体的にどういうことなの?」という疑問があれば、以下の動画も参考にしてください。

▼提案された間取り図を見る時のチェックポイント
https://www.m-athome.co.jp/movie/madori_check_point

▼平屋のメリット・デメリット
https://www.m-athome.co.jp/movie/hiraya_merit_demerit

▼廊下のない家はあり?なし?
https://www.m-athome.co.jp/movie/rouka_nai_ie

▼使いやすくなるキッチンを解説します
https://www.m-athome.co.jp/movie/tukaiyasui_kitchin_kaisetsu

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