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第一種熱交換換気の種類と選び方

今回は第一種換気という換気方法の種類と選び方のポイントについて説明します。

みなさん、今年の冬の電気代、すごく上がっていませんでしたか?電気代がここまで高騰するのは、本当に予想できませんでしたよね。そういう時代になってしまいました。

以前に以下の動画を配信しました。

▼松尾式一種換気のシミュレーションをやってみた
https://www.m-athome.co.jp/movie/matsuo_kanki_sim

この時の文脈では、「第一種換気はいいんだけど、結構イニシャルコストが掛かるもの。特に私たちのような温暖な所では、やってもロスナイのような、イニシャルコストを小さくできる方法でやるのがいいのではないか」という話をしました。しかし、状況が変わってきました。今これだけ電気代が上がっている背景を考えると、あの時に行ったシミュレーションと前提が全く変わってきています。

最近になってあの過去動画を見られた方に、私が変なミスリードしてしまうのもまずいので、今日は改めて第一種換気について解説しようと思います。

そもそも第一種換気とは何かからご説明します。換気の方法は第三種換気が一般的です。こちらは、外から空気を自然に吸い込んで、出すときはファンで排気するというシンプルな仕組みです。ですから、例えば外気が寒かったら寒いなり、暑かったら暑いなりに入ってきます。この場合、家の中を暖房・冷房している時の熱損失が結構あるんです。それに対して第一種換気というのは、熱の交換をする換気です。

家の熱損失の内訳を簡単なグラフにしてみます。いつも言っている最大の弱点ですが、3割は窓から失われると言われています。そして、もう3割が換気で失われているんです。床・壁・天井(屋根)からも、それぞれ熱を奪われています。その割合は、ある前提の試算で、熱損失全体の10%・20%・10%で、計4割です。

例えば熱交換率が9割もあるような優秀な換気扇を付けたら、30%もロスしてしまう換気の項目を、単純計算で27%回収できることになります。これが第一種換気のメリットです。それから冷暖房費の削減ができること。2つ目に、第一種換気は各部屋を換気していくので、隅々まで有害物質を排出できます。ですから、シックハウス対策をしやすいです。3つ目に、外から吸気する時にフィルターを通すので、有害物をしっかりカットしやすいことです。それから、結露防止にも繋がります。

デメリットとしては、1つ目に第三種換気に比べたらコストが高いことがあります。2つ目に、家の性能によっては、第一種換気を付けてもそのメリットを享受できない場合もあるということです。これは意外と知られていません。

揶揄しているように聞こえたら申し訳ないのですが、あまり気密性が高くない、C値が1を切らないような大手のハウスメーカーさんが第一種換気を自慢にしている所を見た時に、第一種換気を付ける意味はあるのかな?と私は思います。

これらの点を踏まえて、次に第一種換気の種類と、どういうやり方をすべきかをご説明します。

まず、第一種換気の機械には大きく2つの熱交換方式があります。1つが「全熱交換式」というもの、もう1つが「顕熱交換式」というものです。顕熱という言葉はあまり馴染みがないと思いますが、熱の中には「顕熱」と「潜熱」というものがあります。

水で説明します。水って普段は液体ですよね。でも、温度が低くなると固体になります。反対に、温度が高くなると水蒸気(気体)になります。「顕熱」というのは、温度変化に必要な熱、目に見えてはっきりした熱です。次に潜熱についてです。水が氷になる時、温度は0℃以下ですよね。つまり、0℃という所を境にして液体から固体になります。

しかしこの時、0℃の水から0℃の氷に変わる、タイムラグみたいなものがあります。温度は0℃のままなんですけど、液体から固体に、物の特性の状態が変わります。このように、状態の変化をさせるのに必要な熱を「潜熱」と言います。

もう1つ例を挙げて説明します。水を火にかけて焚いていくと、100℃になります。100℃になると、今度は液体から水蒸気という気体に変わります。

ここも先ほどと一緒で、100℃の水の状態と、100℃の水蒸気の状態があるんです。同じ100℃と言う温度ですが、液体から気体に変わっていく状況の変化があります。その時にエネルギーの移動があって、その状態変化に必要な熱が「潜熱」です。

そして、顕熱と潜熱の両方を合わせて、「全熱」と言います。温度と湿度を両方とも交換するのは、簡単に言えば全熱交換式です。全熱交換式は、私達が住んでいるような関西や西日本など、温暖な所に向いています。

全熱交換式では、特殊な膜を使って温度の交換をしています。機械は家の壁に設置します。冬だとしたら、外から冷たい空気が入り、それが中の暖房された空気と入れ換わります。熱を交換して、外からの冷たい空気は中の空気からちょっとだけ熱をもらって外に出ます。一方、中の空気はちょっとだけ熱をあげて家の中に戻ります。

例えば熱交換が80%だったら、中の空気は暖かい熱を2割外に出して、8割を家の中に戻す、という感じです。

そして、全熱交換式では、湿度はそのまま家の内側に戻ってきます。第三種換気では湿度もそのまま外に出てしまいますが、第一種の全熱の場合は、湿度が中に戻ってくるんです。

全熱交換式は、高温多湿の所や温暖地に向いています。このような場所では、梅雨や夏に外部の湿度が上がりますが、全熱交換式では室内に外部の湿度を取り込まないので、除湿がうまくいくのです。除湿の役割はエアコンでしかできませんが、そもそも外から湿気が入りにくいので除湿しやすいのです。そして、冬には湿気を外に出さないので、乾燥度合いが和らぎます。

一方、デメリットもあって、トイレやユーティリティのような、湿気や臭いがある所には向きません。湿気だけでなく、臭気も戻してしまうからです。ですから、トイレはトイレ専用の換気扇、お風呂はお風呂専用の換気扇が別に必要です。

私が一番驚いたのは「全熱交換にしたら、潜熱も交換できるものなので、冬は加湿器がいらないんですよね?」と聞いてこられたお客さんがいらっしゃったことです。

もちろん乾燥は和らぎます。和らぎますが、例えばエアコンや蓄熱暖房機で暖を取ったら、過乾燥は進んでいきます。ですから、一定の湿度の補給、加湿は必ず必要です。

次に顕熱交換式について説明します。こちらは湿気を通さない樹脂で交換するので、温度だけを交換します。温度の交換は全熱交換式と一緒ですが、湿度はそのまま抜けていきます。

湿度が出るということは、臭気も出ます。ですから、トイレや浴室に別に換気設備を作らなくてもいいということが、顕熱交換式のメリットです。それから、熱交換機自体が簡単な水洗いができるので、メンテナンスもラクと言われています。

デメリットとしては、夏の湿気がそのまま入ってきてしまうことです。そして、冬は湿気が家の中から出てしまい、過乾燥になりやすいです。

ですから、例えば北海道みたいな所に向いています。北海道の夏はカラッとしています。元々湿気がないんだから、湿気が入ってきても問題ないですよね。

また、ペットを飼っていたり、タバコを家中どこでも吸うようなお家の場合、トイレや洗面所以外からも臭いを外に出してくれます。こういうお家にも向いていると言えます。

顕熱交換式は、熱交換に特化しているので省エネ性も高いです。これはズバリ寒冷地向きです。温暖地のみなさんは全熱交換式がいいと思うし、寒い所に住んでいる方は顕熱交換式でもいいと思います。長野県も、夏場の軽井沢のような湿気が少ない所もあるので、顕熱でいいのかなと思います。

次に、設置の仕方の種類をご紹介します。排気・吸気をどういうやりとりで行うかで言うと、ダクト式とダクトレス方式の2つがあります。

ダクト式というのは、図ではたまたま小屋裏(屋根裏)に置いていますが、床に置くタイプや、1階と2階の間に置くタイプなど、いろいろなケースがあります。

全体の部屋から吸気をして、機械まで持ってきて、熱交換をして、外から入ってきたフレッシュエアと交換して、次の部屋へ送る、という流れです。しかし、間配りしないといけないので、配管が結構複雑です。

実は、第一種換気のコストがかかると言われる原因の1つにこのダクトがあります。ちゃんとしたものを選ばず、ただ安いだけのダクトを選んでしまうと、ダクトでロスすることになってしまいます。思い通りに空気を引っ張ってくれない場合があるからです。

ダクト式の特徴としては、顕熱・全熱のどちらでもできるという点があります。また、外部と空気をやり取りする所に給気口と排気口がありますが、2ヵ所ぐらいなので外観の邪魔をしません。ですから、家をすごくカッコよくしたい人はダクト式がおすすめです。心配する所で言うと、ダクト内の汚れを心配する人がいらっしゃいます。

一方、ダクトレス式は文字通りダクトがありません。壁に付けて直接空気をやり取りします。本体がダクト代わりというイメージです。

メリットとして、一般的には配管がないので施工費が安いと言われています。ただし、ダクトレスの方法にも種類があり、中にはある程度値段が必要なものもあります。

デメリットとしては、あちこちに入口を作るので美観的にうるさいと感じる人もいます。細やかなデザインを好む人には向かないかもしれません。

ダクトレスに関しては、全熱も顕熱も両方兼ねているものが多いと思います。ロスナイなどでもやはり、顕熱だけになるとダクト式になるので、ダクトレスになってくると思います。

現在、世の中は「第一種換気、結構いいよ」という感じの状況になってきています。しかし今までは、僕も含めて「第三種で十分じゃないか」とアナウンスをしている人も多かったのが事実です。今まで第一種換気を考えていなかった人には、これから第一種換気を選ぶならこういう所を知って選んでほしいと思います。

全熱・顕熱交換式の2通りと、ダクト・ダクトレス式の2通りで、全部で4通りの組み合わせがあります。その中でどれが一番自分の家に合うのか、それぞれのポイントを押さえていただきたいと思います。

温暖な地域に特化した話で言えば、第一種換気の一番のメリットは、夏の湿度が下がりやすい所ではないかと、個人的には思っています。

しかし、僕の朋友の小暮さんは「第三種でええんちゃうか」と言います。第三種換気を使いながら、上手な日射コントロールをするという、小暮流の秘儀があります。そんな風に、第一種換気の長所を第三種換気で、近い形で実現するという強者の方もいらっしゃいます。絶対とは言いませんが、あまりそういう秘伝みたいなことがわからない人は、第一種換気は非常にシンプルでわかりやすいと思います。

第一種換気をこれから改良する余地があるとしたら、いかにダクト経路を小さくできるかという点があります。なかなか第一種換気も奥が深いです。空調方法と日射コントロールの掛け算で、省エネ性かつ快適性を求めるということです。単純に第一種換気というよりも、少し幅があることを知ってもらえればと思います。

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