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松尾式一種換気のシミュレーションをやってみた

今回のテーマは第一種換気の採算性です。僕の師匠である松尾和也先生による、松尾式シミュレーションを使って一緒に見ていきたいと思います。

以前、別の動画でも松尾式シミュレーションと「ずぼらな家づくり」さんが作られたシートを使って、太陽光のシミュレーションをしました。観ていただいた方から「やり方がわかった」という声をいただいてうれしかったです。なので、今回は一種換気でも実践してみます。

▼松尾式太陽光発電のシミュレーションをやってみた
https://www.m-athome.co.jp/movie/matsuo_sun_simulation

松尾先生のYouTube動画には素晴らしいのがいっぱいあります。その中に「一種換気を付けた方がいいかどうかを自動で判断する方法」という動画があります。

▼一種換気 つけたほうがいいかどうか自分で判断する方法

一種換気を付けた方がいいか三種換気でいいのかというのは、僕たちが住んでいる姫路のような5地域・6地域だと結構悩みます。「絶対に一種換気がいい」という声もあれば「一種換気は損をするよ」という声もあります。いろんな議論があるので、それをある程度自分の力で判定していくための考え方を解説された動画です。

それを受けてずぼらな家づくりさんが、自分自身で納得するための、第一種換気の投資回収のシミュレーションツールを作られています。

ずぼらな家づくりさんの2021年10月16日のブログを見ていただくと、スプレッドシートがダウンロードできます。

▼2021年10月16日ブログ
https://zuborahouse.hatenablog.com/entry/20211016/1634342656

▼スプレッドシート
https://docs.google.com/spreadsheets/d/19-h_QejBZK4WnTc9a1nT-ZF6tbH_SyHubt9-mJm679s/edit#gid=0

そんなに難しい内容ではないですが、初めて見る方はわかりにくいと思いますので、一緒に入力していきましょう。

まず、建物の延べ床面積です。検証したい建物の延べ床面積が分かれば入れてください。

次が天井高。一般的なのは2.4mですが、最近は2.2mなどもありますので、自分に合った数値をいれてください。

次が住んでいる地域。クリックしていただくと、自分の住んでいる地域が選べます。今回はモリシタがある姫路を選びます。

次が冷房を付ける月と暖房をつける月を選びます。デフォルトで冷房を付ける月は7月・8月・9月になっています。「うちの家は6月からつける」ということであれば、6月にもチェックを入れてください。僕は7月・8月・9月にします。

暖房を点ける月もチェックを入れます。今、画面だと11月・12月・1月・2月とありますが、3月も寒いですよね。なので、僕は3月もチェックを入れます。

これらを入力した上で、次にやることがエアコン性能の入力です。家で使うエアコンが、すでに入力されている性能と違うようでしたら、使っているエアコンのカタログ値を入れてください。今回このままの数値で進みます。

今回は三種換気と一種換気の比較になりますよね。法律では1時間あたりに0.5回空気が入れ替わるというふうになっていますので、デフォルトで0.5回と入れてあります。

次に大事なのが熱交換率。これは採用したい一種換気の機種によって変わります。多いのは80ぐらいなのでデフォルトの数値も80ですが、ここも自分で使うものによって調整してください。

電気代もデフォルトで26.44円/KWhと入っています。これ経産省が公表している平均値です。姫路だと関西電力管轄になるので、27〜28円/KWhだと思います。なので、今回は28円にしておきます。電気代もこのシート上で電気料金を出す部分がありますので、各電力会社さんの電力の契約体系の単価に合わせて変更してください。僕は厳しめの条件でシミュレーションしたいので28円という数値にしました。

今度は初期設置費用、イニシャルコストを考えます。三種換気は絶対つけないといけないので0円として、「一種換気をつけるとしたら差額は何円?」と考えていきます。今回のシートでは30万円と入っていますが、僕の経験では30〜40万円だと思います。ここは会社さんによって変わりますので、見積もりで出していただいた金額を入れてください。

あとはフィルター交換のメンテナンス費用などが掛かります。それはすでに入力されていますので、この数値でシミュレーションしてみましょう。

「シミュレーションする」をクリックすると結果が出ます。今の条件設定なら60年後くらいに初期投資が回収できます。でも一種換気が60年間持つかな?という疑問がありますよね。換気設備って耐用年数20年ぐらいだと思うので、そうすると回収は全然追いついていないですよね。こういう条件下で言うと、一種換気に関しては元が取れないという判断になります。

ですが、僕は一種換気をするのは良くないと言いたいわけではありません。光熱費という視点で回収はできないかもしれませんが、一種換気には部屋が均等に暖かくなる・涼しくなるという面で非常に貢献をしてくれます。その価値が良いと思うのなら、一種換気を選んだほうがいい、という判断になりますよね。

ただ、お金の面に関してはシミュレーションしたとおりになります。こういったことから一種換気にあまり賛成できない場合でも、数値を調整しならがいろいろシミュレーションしてみていただきたいです。

例えば換気回数ですが、「本当に0.5回もいる?」ということであれば0.3にしてシミュレーションしてみてください。こうすると25年ほどで回収ができます。ただ、これは使う時に0.3に調整する、一種換気を使いこなすということが必要になります。「工務店の人が付けてくれたからそのままでいいや」ということだと達成できないものなので注意してください。

このシミュレーションのいいところは、こうやって自分で数値を入力したら、結果が違うというのをわかるということです。「なるほど。こういうことか」と体感できますよね。

その上で、例えばこの熱交換比率は「本当に80%もするの?」と考えたりしますよね。60%だったらどうかな?と考えて入力すると回収までの期間は長くなります。30年くらいだと機械の交換時期と重なるなとわかります。

あるいは「うちの家は空気の新鮮度にこだわる!」という場合もありますよね。お金のことよりもそちらを優先するということで0.3回を0.5回に戻してシミュレーションすると平行線になります。永遠に回収はできません。ということは、使い方や熱交換比率で回収期間がすごく変わります。

なので一種換気を使うにあたっては、必要な換気回数や換気量をどこまで抑えられるかによって、ランニングコストが変わります。熱交換比率も左右します。こういったことがわかると、語弊のある言い方かもしれませんが一種換気を使う資格みたいなものができます。

蛇足かもしれませんが、一種換気に三菱のロスナイというものがあります。古くからある機械で「ショートサーキットになるかも」とか「ちょっとデザインが不恰好」とか、人によって好き嫌いがありますが、実績があるというメリットがあるんですね。

ロスナイを使うシミュレーションもしてみます。初期投資費用が10万円前後におさまるはずです。熱交換も2万円ほどで済みます。必要換気回数は0.5回、熱交換効率は60%とすると30年ほどで回収ができるという結果になります。熱交換効率60%はひどいと思って70%に変更すると、18〜20年ほどで回収できる結果が出ます。

ここからは少し厳しい話をしますが、電気代はどんどん高くなっていますよね。ヨーロッパではウクライナ危機で1.5倍になったといわれています。日本も1.5倍くらいになるかもしれませんので、今回28円/KWhとしましたが、今後は40円/KWhもありえます。これをロスナイでのシミュレーションにあてはめると10年以内で元が取れます。それくらい、電気代が上がるという変数は、これからのことに大きく関わってきます。

今回のことをまとめます。一種換気を使う上で回収できるかどうかのポイントは、換気量をどこまで抑えていいのかになります。お施主さんがOKと思える換気回数ですね。0.5回か0.4回か0.3回かでかなりランニングコストが変わります。熱交換比率も高い方がいいですが、そうするとイニシャルコストが上がりますよね。そのバランスをどう見るかが大事です。

そして今回シミュレーションして思ったのが、電気代の上昇に対する考え方ですね。「三種換気でいいですわ」という人もいますが、電気代が上がるのを考えたら「一種換気のほうがいいかもしれないよ」というのを感じています。

なので、シミュレーションしていただいて、比較もしていただくと、一種換気を採用するかとどうか、もし採用するならどんな機種がいいのか、自分なりの道筋が見えてくるはずです。

ここまで細かい話だったので大変だったと思います。でも家というのは建てて終わりではないんですね。維持管理をしていく、自分でマネジメントしていくことが必要になります。このときにシミュレーションができていると、これからどうすればいいのか、方法論がわかります。そういったことを頭に置いていただいて、家づくりをしていただきたいなと思ってお話しさせていただきました。ぜひ参考にしてみてください。

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