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瓦とガルバリウム鋼板、どちらの屋根が良い?

今日のテーマは屋根です。
「瓦とガルバリウム鋼板、どちらがいいの?」ということについて解説をしていきます。

以前、あるお客様との打ち合わせで、お施主様のお父様も参加されたことがありました。
その時、屋根の材料についてお話をしていたんですね。
モリシタではガルバリウム鋼板と言う金属屋根をおすすめすることが多いです。でもお父様から「なぜ瓦にしないんだ?」と言う質問を受けました。

丈夫で長持ちする家を建てようと思ったら、屋根材を何にするかというのは重要ですよね。
僕の母方のおじいちゃんは森林組合の組合長というのやっていて、木造住宅の原材料や家づくりに対して一言ある人でした。そのおじいちゃんも家を建てるときに「瓦が重要や」ということはよく言っていたので、瓦を勧めるお父さんの気持ちがよく分かります。

瓦というのは歴史があって、証明力みたいなものが大きい材料ですよね。
一方でガルバリウム鋼板は、物としては何十年も前にあったけど、世間に認知されて、屋根に使われるようなったのは、つい最近です。

瓦が元々どんなものだったかというのを説明したいと思います。
これは昔の家の瓦工事の断面図です。
柱があって梁があって、屋根垂木という角材を流しています。この上に野路板と言うのを貼って、さらにその上に防水になるものを貼って、瓦を葺くという形になっていました。

この基本は、今も同じです。
ただ、昔と違うのは野路板が、今はコンパネになっています。大きいベタッとした板をベタッと貼っています。

昔はバラ板と言う、厚みが10cm〜12cmで幅が10cmくらいの薄い板を貼ってました。

この上にアサルトルーフィングという防水紙のようなものを引いています。昔は「とんとん葺き(ぶき)」というのをやってました。

「とんとん葺き」は僕も子供の頃に見たくらいです。50年ぐらい前に、だんだんとなくなっていきました。地方によっては杮葺き(こけらぶき)とか土居葺きという言い方をします。

とんとん葺きというのは、サワラの木を使います。サワラはヒノキの仲間だと思います。
薄く削いで板のようにして、ペタペタ並べてトントンと木づちで止めていく。1枚1枚が鱗のようになるのが「とんとん葺き」というやつでした。

今、サワラの木はほとんど取れないと思います。。とんとん葺きの職人さんも、今はもういないと思います。
当時はね「手間がかかるけど、家にとってはこれが最高なんや」と、おじいちゃん達が言ってました。
1枚1枚、板にして、それに瓦段を打って瓦を引っ掛けて、瓦を葺いていました。

瓦は屋根材としての耐用年数が50年とか、中には100年というものもあります。幅はありますが。焼き物で釉薬(ゆうやく)塗ってるんで強いですよね。
一方ガルバは金属なので、今の見解だと手入れすれば50年ぐらい持ちます。
そうすると瓦の方が優位性ように聞こえますよね。

でも、僕は瓦を受ける下地のことにも注目してほしいです。
昔の工法が非常に理に適ってたのは、通気がされてて、下地の丈夫さが維持されていたからなんですね。

今使っているルーフィングは、防水紙をベターッと連続させて、水を一滴も漏らさないという形が基本になっています。

一方で昔はバラ板を使っているから隙間があるし、とんとん葺きも薄い板を重ねているから通気が取れている。なので腐りにくいです。とんとん葺きは水を流して、どんどん切れていく収まり防水になります。
さらに家も昔は高気密・高断熱とか関係ないので換気し放題でした。躯体が長く持っていたし、瓦ものせたら尚良いという状況になっていたんですね。
だから僕のおじいちゃんとか、もっと前の人達は「瓦こそが最強の屋根」と言っていたんだと思います。

なので冒頭に登場したお父さんが瓦を勧めるのには、それはそれで立派な根拠があるんですね。

一方で時代が変わって、家づくりも変わってきたので、瓦葺の捉え方も変わっています。
昔と今とで屋根垂木は一緒ですが、路地板がコンパネになりました。その上にアスファルトルーフィングを引いているので非常に通気しにくいです。

アスファルトルーフィング自体は10年〜20年の耐久性があります。
このルーフィングが効いてるうちは非常に防水性の高くて、下が傷むことは少ないです。
ルーフィングが劣化してきたら多少雨染みができると思います。でもね、雨染みは多少あっても問題ありません。
みんな一滴も漏れたらアカンと思ってます。でも、そのあと乾けばいいんです。

ルーフィングと野路板の間に空気が通るのが理想ですが、残念ながらあんまり通りません。

なので瓦の寿命自体は長いのですが、通気に関しては昔と比べてパフォーマンスが落ちています。お父さんがイメージする時代ほどの耐久性が、今もあるかと言うと微妙なんです。

瓦のパフォーマンスを発揮させるには、下側の換気をしっかりするのと通気を取ることが必要になります。

バラ板をならべて隙間を開けることをしなくなったのは、地震の問題が大きいと思っています。あとは施工のときにムラができたり、材料の入手のしさすさなども考えられます。
なので屋根に瓦を採用する場合は、こうした側面があることを知っておいてください。

日本はね、1995年の阪神淡路大震災のときに「屋根に瓦を使うのはアカン」という潮流になりました。
あの時、淡路島で瓦葺きの古い木造家屋がグシャッと潰れました。

なぜ潰れたかというと、瓦の重みに対して十分な壁量が取れていなかったからなんですね。なので「屋根に使うのは危険」という見方になりました。
瓦は耐久性がありますが、一方で重たいということはデメリットとして挙げられます。

最近は屋根に太陽光パネルをのせたいという方も多いですよね。
パネルをのせることは瓦屋根でも可能です。特殊な加工をした瓦があるので、それ使ってください。
だた、ガルバの方が「キャッチ工法」というので取り付けがしやすいです。太陽光発電と親和性があるんですね。

「瓦がいい」という方には怒られてしまうかもしれませんが、昔と今とで家づくりの工法が変わっています。なので瓦にあった工法をしなければ、メリットが受け取りにくいというのは知っていただきたいです。
加えて、もし瓦を採用されるなら、瓦の重さに見合う耐力壁の配置も、しっかり考えていただきたいです。

あとガルバに関して、多くの方が誤解されているなと思うことがあります。
「ガルバ」と聞くと昔のトタン屋根をイメージされるケースが多いです。トタン屋根と比べてガルバは耐久性が高いですし軽い。それから太陽光パネルも取り付けやすいです。

まとめると屋根というのは、素材自体の耐久性の他に重さや家の工法など、いろいろな要素が合わさって、家の丈夫さに繋がります。
なので素材の耐久性だけで判断をしない方がいいんですね。

お父さんの立場からすると、お子さんに良い家づくりをしてほしい気持ちはとてもよく分かります。けれど、とても複合的なものなので、ぜひプロの1つのアドバイスも聞いていただけるとうれしいです。その上で応援をしてあげていただいたら、家づくりはきっといいものになるはずです。

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