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防音室をつくる時の基本中の基本を解説します

今日のテーマは防音室です。

防音室って結構専門的な知識が必要で、僕が話すと、どうしても基本中の基本になってしまいます。でも、防音室がほしいという方にとっての基準を作れたらと思いまして、今日は話をしますね。

理科の授業みたいな話になりますが、まずは「そもそも音って何?」というところからスタートします。

僕のスケッチを見てください。

音には2つの要素があります。1つが波長、もう1つが振幅です。この波長と振幅をもって波形と言います。

楽器の音などを聞いて「いい音色がするね」と言ったりしますよね。この音色は波形のことを指しています。

また、高音・低音というのがありますよね。これは波長が関係しています。高音は波長が短くて、低音は長いです。

音の大きい・小さいは振幅が関係しています。今回の防音室を考えるにあたって、一番大きなポイントになります。

小さい音は振幅が狭く、大きい音は振幅が広いです。すなわち、振幅は音の大小であり、音のエネルギーを表しています。

音のエネルギーの単位はdB(デシベル)ですよね。このデシベルを把握しないまま防音室をオーダーしたりすると、すごくざっくりとしたものになってしまいます。ですので、防音室を希望される方は、まずデシベルについて知っておくのが良いです。防音というのは、波長ではなく振幅によって示されるものなんですね。

音のエネルギーの大小に関してコントロールする場合、大切な要素が4つあります。
まず1つが遮音。防音室を希望する人にとっては、一番気になるところだと思います。

遮音したいのに、音が壁や天井を通過してしまったらダメですよね。音が突き抜けて、壁の反対側に行かないようにしないといけません。これが遮音です。

2つ目が吸音です。防音室を希望される方は、「家でいい音を聞きたい」「いろんな音、大きな音を出したいけど外に迷惑かけたくない」という2つの気持ちがあるはずです。

音の品質ということを考えたときに、吸音というのが重要なんですね。
吸音というのは、簡単に言うと音のデシベルエネルギーを熱エネルギーに転換して、音の反射を防ぐというものです。

防音対策に関しては遮音と吸音の2つを考える必要があります。

今の吸音の話は、音が空気に伝わるという空気伝播の話でした。あとは物に伝わっていく固体の伝播というものもあります。

ここでポイント3の防振、ポイント4の制振が出てきます。家づくりでは2階の床を通して聞こえる音がうるさくならないようにする時など出てきますね。

固体の伝播について考えられた防音室もありますが、基本は遮音と吸音をコントロールをすることが重要です。

で、防音室を考える時に一番重要な尺度が遮音性能になります。
防音室を作りたい方の多くが遮音性能を気にしていますが、どういうものかわからないまま設計が進んでしまうことがあります。

工務店とか設計者の人にオーダーする時は、ただ「防音したい」と言っても満足するものはできにくいんですね。「遮音性能をこういう風にしたいです」と言わないと、なかなか具体的な話になっていかないと思います。これが今日一番お伝えしたい内容になります。

1つの例を挙げると、70dBという大きな音があったとして、これが壁通ったときに大体40dBぐらいになったらいいなという願望があるとします。この場合は70-40=30で「30dB 軽減させる」ということが遮音性能になります。

なので伝え方としては「30dB遮音できるようにしたい」とか「30dBとまでは言わない。10dBでいい」といったことになります。

これを頭に入れてから担当の方に相談していただくと、具体的なイメージも湧いて、話が前に進みやすくなります。

今、例で10dBという表現をしましたが、実際10dBって、どれぐらいの大きさなのか分かりにくいですよね。

人間の耳で言うと音のエネルギーが10dB減ると、音の強さは半分ぐらいに感じるそうです。

これは感覚値なので人によって幅があります。でも音の強さを半分にしようと思ったら、「10dB下げたらええんやな」と思っていただくとイメージしやすいです。

ちなみに「あぁここ静かやな」というのは40dBです。40dBと聞くと大きい音に感じますが、実際は結構静かです。

「すごくシーンとしている」「静かでよく眠れそう」みたいな状況だと35dBぐらいになります。

それからテレビの音量を上げていって「わ!うるさい!」となるのが75dBぐらい。カラオケボックスで歌ってるときの音は110dB、上手なピアノ演奏をそばで聞いているときは90dBぐらいです。これが大体の大きさ・感覚値だと思っておいてくださいね。

このイメージを持ったうえで、防音性能を上げるためのポイントを3つお伝えします

① が壁や天井、床の材質を重たくて厚いものにすることです。
② が隙間を限りなくゼロにすること。これは音漏れや音の侵入を防ぐためです。
③ が建物の構造強度。これは振動を抑えるためです。

なので防音を考えるときは、重たくて分厚かったら良くて、音漏れしなかったら良くて、振動が伝わりにくかったら良いということになります。

これって、よく聞いたらすごく当たり前のこと言っているので、人によってはこれまでのおさらいみたいな内容だと思います。でも再確認ということで、改めて話しました。

これらを踏まえた上で、これから防音室作られる方に「住宅だったら、こんなタイプの防音室があるよ」というのを解説したいと思います。

普通の住宅で防音室を作るなら、レベルが3段階あります。
森下流の言い方で恐縮ですが、1つは簡易的な防音室です。2つ目がスタンダードな防音室。3つ目がしっかりした防音室です。

簡易的な防音室は30dBぐらい低減させられるものです。間仕切りというのは普通、両面に石膏ボードが貼られています。間は空気帯ですね。

でも簡易的な防音室だと片方は石膏ボード、もう片方は遮音パネルや遮音シートを活用します。音抜けしにくい重たいシートで挟むんですね。

石膏ボードと遮音シートの間にはロックウールやグラスウールのような繊維系で音を吸収してくれるものが入ります。音のエネルギーが抜けないようにします。

簡易的な防音室は6畳の場合30〜40万ぐらいの値段でできるので、住宅の場合は、このタイプが多いと思います。

2つ目のスタンダードな防音室は、わりと大きな音で音楽を聴きたい、映画を観たいという方におすすめです。大きな音を出しても奥さんに怒られない、別の部屋で眠っている赤ちゃんが起きないというようなものになります。

スタンダードな防音室を実現するには音を40dBぐらい低減させる必要があります。これが結構大変で、外壁は石膏ボードを面材を使って二重張りにします。内側は布クロスのような凸凹があって音を吸収してくれるものを使ったり、天井にはインシュレーションボードと呼ばれる木の繊維を使った建材を表面材として使うことになると思います。

インシュレーションボードはDAIKENさんやEIDAIさん、パナソニックさんとかが取り扱っています。

スタンダードな防音室は6畳で200万強ぐらいになりますので、「オーディオルームを作りたい!」というような方でないと、なかなかしんどいと思います。

ちなみにスタンダードな防音室は、防音ドアを使ったり、密閉することも考えるので、特殊な換気システムを使う必要があります。音抜けしないよう、特殊な収まりに合った防音フードなどが出てきますね。

最後にしっかりめの防音室です。これは普段からピアノの練習をかなりする人などにむいています。(ちなみにドラムの練習だと、さらに音が大きくなるので、これ以上の設備が必要になると思います)

最低でも50dBぐらいの低減が必要です。先程のスタンダードな防音室は40dBだったので、「たった10dB変わるだけ」と思われるかもしれませんが、金額は大きく変わります。

しっかりめの防音室は6畳あたり400万ぐらい掛かるんですね。スタンダードな防音室と比べると2倍です。なのでハードルも高いです。

「うちの娘はピアニストを目指しています」とか「音楽が好きでプロになりたい」「音楽の仕事している」というような人向けの内容になっています。

ここまで防音の話をしてきました。でも音楽のための部屋とか楽器を自由に弾くための部屋を作る場合、防音に加えて音響の知識が必要になります。

音響は建築家さんではなく、音響の専門家の領域になるんですね。なので、より奥深い“防音室”を作るには、防音がしたいだけでなく、音の響きも素晴らしくしたいということも伝えてください。

今回は壁や天井の話をザザッとしましたが、実際に防音室を作るとなると、人間が出入りするのでドアもいるし、給気と排気の問題、それに伴った音抜けの問題あります。

音抜けを抑えるために防音フードが必要になったり、仮にダクト通すなら防音ダクトが必要になります。このあたりの内容はメーカーさんに相談すると、特殊な防音をするための換気システムを紹介してくださると思います。

どんな防音室を作るにしても、壁だけを厚くすればいいという話ではないので気を付けてくださいね。

ちなみに僕が言った価格は1つの目安として、捉えていただければと思います。僕が言ったものより高いものがあったとするなら、やはりそれには、今回僕が紹介した内容以上に手間やコストが掛かっているのだと思います。

今回の動画は基本中の基本の内容になります。まずはこれを入門編にしていただいて、防音本格的に検討されている方は、DAIKENさん・パナソニックさん・ヤマハさんなど音響メーカーさんが主導してるようなものを見に行ってみてください。

dBも感覚値です。人によっては「これくらいの仕様で大丈夫」ということもあれば「もっとしっかりさせたい」ということもあると思います。自分がどんなものを求めているか体感されるのが一番大事ですので、参考にしてみてください。

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