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納戸の本質を考える

今日のテーマは納戸です。

僕が若い頃、設計に携わっていた時を思い返すと、納戸が欲しいという人はとても多かったです。

一方で今どうかと言うと、作る人:作らない人=3:7ぐらいになっています。7割の人は作らなくなっていますね。

で、今回は納戸の本質的な部分って何かなというのを一度整理しておくと、これから家づくりする人の役に立つかなと思いまして話をしていきたいと思います。

僕のスケッチ見てください。

まずは「納戸って一体何なの?」という確認からスタートしていきます。

なんでもそうですが、物事を考える時に言葉ってすごく意味があって、言葉について考えると、いろいろなことが見えてきますよね。ちょっと偉そうな言い方になってしまいましたが、その辺を解説したいと思います。

といっても、今回は家づくりの話になるので「納戸」を建築基準法の定義という視点で紐解いてみました。

すると、納戸というのは「居室と認められない部屋」のことを指していたんですね。

居室は人が住む部屋ですよね。その逆で人が住めへん部屋は全て納戸です。僕が昔、初めて「納戸」の建築基準法上の定義を知った時は、結構荒っぽい括りなんだなぁと思いましたね。

納戸はマンションの間取りなどでも表記がありますよね。
例えば「サービスルーム」とか「ユーティリティスペース」、「多目的スペース」といった表現を使っていることもあります。

ユーティリティというのは家事をしたり収納に使ったり、複合的なニュアンスを含んだ言葉ですよね。

カッコいい言い方をしていますが、わかりやすく言うと多目的で何に使ってもいい部屋といった意味合いになります。

納戸というのは部屋なんですが、窓がない部屋と言うと分かりやすいかもしれません。

僕らは窓がない部屋ってめったに作らないです。でも建築基準法上で採光計算というのがあるんですね。オフレコになりますが、昔は、実際に日は入ってるけど近隣の距離とかそういう問題で、人が使う部屋だけど納戸って書いて申請することも先輩たちはやっていました。

窓がなくて、かつ、人が入れる部屋が納戸。人が入れない場合は押入れになります。

もし納戸を作るかどうか考えている方がいらっしゃったら、一度、納戸の機能の整理をしてほしいなと思います。

納戸にはいろいろな機能があって、代表的な機能を挙げると、一時的な収納というのがあります。仮置き場ですね。

僕たちは工務店で働いているので、倉庫持っています。倉庫って、まさに一時的な置き場ですよね。

僕たちは工務店であって商店じゃないので、倉庫に柱を何本も置くというのは、合理的に考えたら損になります。でも明日使う柱とかは一時的に置いたりするんですね。

ここでポイントとなるのは、置くものは“一時的”なものだということです。つまり、いつまで置くものなのか期限を把握しておかないといけません。でないと、倉庫の中がぐちゃぐちゃになるのでね。

でも納戸にしまってあるものって、多くのものは期限がないですよね。

例えば布団のような大きな物だったり、使用頻度の低い物とか、捨てようか悩んでいるものもしまってあったりしますよね。扇風機やストーブといった季節家電とかオフシーズンの衣類とか、シューズクロークに入り切らないブーツとかもあります。

あとは趣味のもの。ゴルフバッグとか、スノーボード・スキーのグッズ。それから僕は本を買うのが好きで積ん読派なので、本を置いたりすることもあります。あとはコレクションしているもの。フィギュアとかおもちゃとかを置きたい人もいますよね。

ということになってくると、納戸は一時置き場ですから、よくよく考えると、僕としては納戸はあまり大きくない方がいいと思っています。

大きく作って、そこにいろいろなものを置いてしまったら、デッドストックになりますよね。

田舎の親戚のおばちゃん家に行くと、大きな納戸があるんですが、中がジャングル化していることが多いです。どこに何置いてるのかわからない状態ですね。

「おばちゃん、すごいなこれ。何が置いてるかわかるん?」って聞いたら、おばちゃんは「そんなことわかるわけないやん!」って笑ってました。

でも実際は、おばちゃんは何を置いているか分かっていると思います。でも一緒に住んでる旦那さんとかは何が置かれているか分からないんですよね。

これは期限がないものをいろいろ置いて、かつタグとかで見える化していないので、おばちゃん以外の人からみると中がジャングルのようになっているんです。
こういうのは、納戸の悪い面が目立ってしまっている状態です。

なので、納戸を作りたいと思っている方は、どういう使い方をするのかを決めてから作られたほうがいいです。

ちなみに最近、1坪ぐらいの納戸作りたいというお客様がいらっしゃいました。
そのお家は収納計画をしっかり考えた家だったので、僕は正直、納戸が無くても良いんじゃないかなと思ってました。

でもお客様からの希望ですから「作った後どんなものを置くんですか?」と聞いてみました。すると「布団を置く」とおっしゃっられたんですね。

これは僕のお袋もそうなんですけど、1階の和室の一番出し入れしやすい押入れに、客布団を置いています。でも家が完成してから20何年のうち、 その客布団を使ったのって3回ぐらいしかないんです。

それぐらい客布団って使う機会がないものなんですが、納戸とか1階の和室のいい収納にに置かれる習慣みたいなものがあるんですよね。

でも一方で、高気密・高断熱の高性能の家を手掛けている身から言うと、「客布団は無くて大丈夫です」というのが僕の持論になります。

客布団の中で最もかさばるものって、床に敷くマットですよね。

僕の知り合いの若い友人にキャンプ好きな人がいて、彼が「最近出てるキャンプ用の畳めるマットって、すごい性能いいんですよ」と言うんです。一瞬で広がるし、空気を抜いて畳めばすごくコンパクトになると教えてくれました。

でも僕は教えてもらったとき「寝にくいんちゃうん?」って思ってたんです。でも実際に寝てみたら、すごい良いですね。めっちゃ寝やすくて、俺のベッドと変わらないくらいでした。

なので、隙間風が吹くような古い日本家屋なら布団部屋に近いような納戸が必要かもしれませんが、高気密・高断熱でHEAT20 G1・G2といった家を建てる人に関しては、布団部屋としての納戸は無くても大丈夫だと思います。

さっきも言いましたように、コンパクトにたためるマットというのがあるし、羽根の掛け布団なら圧縮して小さく収納できますよね。なので古い家でみたような布団系をしまうための納戸は、これからどんどん作らないようになっていくと思います。

「つくったのはいいけど、この10年〜20年で使ったのって1、2回だったなぁ」ということがあり得ますのでね。

新築で納戸を検討されているのであれば、この機会にぜひ納戸の機能を把握して、自分たちの求めていること、本当に欲しい機能の整理をしてもらえたら、納得する答えが出るのではないかと思います。

最後に、納戸を検討されている方にむけて、いい例を紹介させてください。

よく「3畳ぐらいの納戸が欲しい」とおっしゃられる方がいます。

で、置きたいものを聞くと、奥行きは90cm〜1mもいらないことが多いです。30cmほどの棚にしたり、60cm〜70cmくらいにしたほうが、中に入っているものが見やすくて整理しやすい納戸になります。(嫁入り箪笥とかを置きたいという人の参考にはならないかもしれません。ごめんなさい)

もし3畳の空間を作るなら、片方は60cm〜70cm の収納、もう片方は30cmぐらいの奥行きの棚を配置して、間は通路にするといった形にするのがおすすめです。同じ3畳の納戸と比べて、中がジャングル化しにくいです。

こういった例も知っていただいた上で、我が家の納戸はどんな形がいいかなとか、そもそも使う機会があるかなということを考えてもらうと、良いプランができるはずです。

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