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「なかなかお湯に変わらない!」給湯ルートを考えるポイント

今日は、ある質問をいただきました。僕の動画を見ていろいろ勉強していただいて、新築の家ができたらしいんですけど、ただ1つ不満があるところがあって、それが冬場にお湯を出す時にしばらく水が続いてお湯に変わっていくのに長くかかって、それがストレスですということで、何か注意すべき点はあったんですかね?という質問を受けたんです。

それにちなんで、なかなかお湯に変わらないことに対して、給湯ルートを考えるときに、頭に置いていただきたいポイントについて解説していきます。まずは給湯器の歴史を遡ると面白いと思うので、そこから説明していきます。

僕ぐらいの方は覚えていると思うんですけど、台所から出るのは昔は水だけだったんです。昔はおばあちゃんの家でお湯は全然出なかったですよね。ある時から台所でお湯を使う文化ができたんです。それがこの瞬間湯沸かし器なんです。小さな給湯器を台所の蛇口につけてキュッとひねると、サッとすぐに瞬間的にお湯が出てくるというものが昔に発明された時代があるんですよ。画期的でしたね、まさに革命的と言いますか。給湯器に銅管が通ってて、それをバーナーであぶることによって、銅管内の水が通る区間であっという間にお湯が沸いて、熱湯じゃなくて40℃ぐらいのお湯で十分ですから、瞬間的にお湯になるという発明だったわけです。

これができた後にお風呂にバランス釜というガスの釜でお風呂を沸かして、かつそこからお湯も取れるというもの。シャワーなんて気の利いたものはホテルにしかなかったんですけど、一般の家でもお風呂でシャワーを浴びて、昔は洗面器でジャッポーンとお湯をかけたもの。シャワーで頭を洗ったりするようになって、こんな風に住宅の中の給湯というものが日本の暮らしの中に根付いてきたんです。

まず台所が1ヵ所目です、お風呂が2ヵ所目、これに朝、顔を洗う時に洗面所もお湯を出た方がいいよねと、3ヵ所でお湯が出たらいいよねとなって、3ヵ所給湯という言葉が生まれたんです。

キッチン・お風呂のすぐそばに給湯器があったから、昔はお湯が出るまでにそれほど長いこと待つことはなくて、タイムラグが全然なかったんですけど、3ヵ所給湯ではこの絵のように、ガス給湯器などから枝分かれしてお風呂・洗面所・台所に行ったりしていて、そうするとこの3つが1ヵ所に固まることがないので、ばらけているルート分に枝分かれして給湯していたので、給湯の配管が長くなるという副産物ができて、タイムラグができるようになったんです。

1台の給湯器で3ヵ所も給湯できる素晴らしい給湯器ができたり、当たり前のように水仕事で冬にお湯が使えるようになったんですけど、タイムラグ問題が残ったというのが日本の給湯の歴史になります。

現在どういうことになっているかというと、給湯に関しては、一本の管から枝分かれしていくというのが20年〜25年ぐらい前までは普通でした。銅管をハンダで溶着して繋いだり、継手を作ったり、うまいことハンダが回る名人芸やなどといっていたのが、今は さや管ヘッダー方式とかヘッダー配管方式で、外から水道の水を家の中に入れる。これが「給水」で、給湯器の方に水を送って沸かしたお湯を家の中に入れるのが「給湯」です。こういう2系統で青と赤のルートとよく言いますけど、そういう形のヘッダー配管が今は主流になってるんです。この概念図で見ていただいたように、ヘッダーと呼ばれてる大元の枝分かれの根元の筒状のやつに1ヵ所 2ヵ所…と給湯先がついていて、赤と青のルートそれぞれに分かれて、こういう形の配管になってるんです。

お湯のタイムラグストレスを和らげるとしたら、例えばお風呂のタイムラグロスを小さくしようとすると、給湯のヘッダーの位置とお風呂がなるべく近い方がロスが少ないですよね。逆に台所ですぐお湯が出る方がよかったら、台所の側にヘッダーがある方がいいし、洗面所で(すぐお湯を)出したかったら洗面所の側がいい。このような形でヘッダーの位置によって調整ができるのがヘッダー配管のミソなんです。

設計・工事をする人はどこを優先すべきかをいろいろ考えて提案されてるんです。大体多いのはほぼ均等になるもしくは僕の個人的な好みはお風呂が一番優先かなと思います。キッチンだったらお湯が出る前に水が出ても桶を置いといて 水がある程度出てもお湯が出だしたらそれをぬるめながら使うこともできるから、女房はあなたの勝手でしょと怒るかもしれないですけど、洗面所も洗面器で一旦水を受けて緩和しながら使えばいいけど、お風呂だけはシャワーが一番最初にビャーッと出した時にヒャッとなったりして、ホテルに泊まってもいきなり頭から冷水をかけられて身震いするとなることもあるので、お風呂だけはなるべく早い方がいいかなとお風呂のそばに(給湯器を)置くかなみたいなどこを優先するかは好みがあるので、なるべくキッチン・台所・トイレとか水回りは1ヵ所にトイレはいいかな台所・洗面・浴室だけは1ヵ所に集めて総配管距離は短くして優先順に自分好みのところに寄せていくと一番いいです。

忘れてはいけないのが、給湯器からの緑のルートです。お風呂にダイレクトに給湯するルートがあるんです。ペアチューブというものでできていて、アダプターがついてるものが多いんですけど、普通は落とし込みと言って蛇口からお湯を落として風呂桶に入れる貯め方もあれば、お風呂の桶の脇のアダプターから直接お湯を出して適量・適温の温度のお湯を張るという今は自動給湯でその形になってると思います。

結局給湯距離が長いとお湯がさめてロスしやすいので、これは短い方がいいと思います。追い焚き機能もこれを使ってやるので、お風呂に入ってる途中で温度上げたいとなったらここで循環して沸かしてくれるので、これが近い方がいいです。こういうところで言うと、ヘッダー配管を自分の好みのところに寄せておくのが給湯ルートを考える時のポイントなんです。ただ、この絵はガス給湯器のイメージで描いてますけど、エコキュートは貯湯槽が冷蔵庫ぐらい大きいじゃないですか。置くところを選ぶので、都会で敷地が限られていたら置く場所を考えるとか、たまたまお風呂が玄関側にあって玄関の脇にエコキュートのタンクは見栄えが悪いから嫌だなと思った時は、何を優先するかなので、離れてしまうこともあります。

自分の家のヘッダー配管はなんでここだろう?と思ったら、プロはそういうことをいろいろ考えて最適な場所を考えるので、絶対これがルールなんじゃなくて、いろんなことやお施主さんの好みなども踏まえて、あるいは技術者の価値観で、僕だったらお風呂の側がいいんじゃないかという価値観なので、時には自分の価値観で決めてしまうところもあります。もしお湯に変わらないというストレスに重きを置かれるとしたら、僕は割とへっちゃらな方なんですけど、僕の妻は非常に冷たがりなので、そういうのはちゃんとしてほしいタイプだと思いますけど、そんな形で柔軟にやられたらうまくいくんじゃないかなと思います。

合わせてもう1つ給湯ルートのポイントがあります。断面図を見てください。今はベタ基礎の家が多いと思うんですけど、給湯器を通して各室に3ヵ所給湯をやるんですけど、床部分で断熱ラインを取るケースと基礎断熱で全部断熱の保温エリアにするという2つのやり方があります。床断熱の場合は、基礎の中は通気できなアカンから外気と同じ温度なんですよ。なので冬はそれだけ熱が奪われやすい。一方で基礎断熱は基礎内が保温されてますから、特に僕たちは床下エアコンを使うので20℃以上の温度に1日中なっていることが多いので、20℃というと春・秋ぐらいの温度なので、なかなかお湯に変わらないというストレスは主に冬でしょ。夏に腹が立つ人は少ないと思うんです。

床断熱をやられるケースに関しては、そんなにシビアに考えなくてもある程度筒の中に残っている水はそれほど冷たい水じゃなくて普通の温度ぐらいなのでストレスも少ないと思います。なかなかお湯に変わらないというストレスを気にされる方なら、こういうところをポイントにおいて、うちの給湯はどうなってますか。実は僕こんな好みなんですけど、と工務店さん・設計者の方に言われたらいいのかなと思います。

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