Q&A:将来雨漏りする家としない家。違いはなんですか?
今日も私どもの動画を視聴していただいた方からの質問に、Q&Aという形でお答えしたいと思います。将来、雨漏りする家としない家があると思うんですけど、違いは何ですか?という素朴な質問をいただきましたので、最近感じることも含めて、まとめとしてお話をしていきたいと思います。いつものように僕の板書を見ていただきながら、話を聞いてもらえたらと思います。
雨漏りするかしないかと考えたら、どこで雨漏りするんですか?ということです。雨漏りだから屋根から漏るんかなと思っている人が多いんですけど、僕らは1番大きなところの屋根を大屋根と言います。大屋根の雨漏りは意外と少ないです。ゼロとは言わないんですけど、ほぼない。僕らからしたら、大屋根を雨漏りさせるのは恥やってくらいです。一定の確率で起きる雨漏りは、実は屋根じゃなくて壁なんです。
壁に吹き降りの雨が当たらないような建物のシルエットになっているかが超重要です。ディスっているわけじゃないんですけど、真四角な家は庇がないから雨が全部当たるんです。一方、三角屋根でも切妻でも寄棟でも、屋根や庇が出ている家は上部にほとんど雨が当たりません。下側はどうしても庇の効力が失われるので雨が当たりますけど、えげつないのは2階部分の雨漏りです。
2階で漏れたら下まで行くこともありますけど、下側の足元だけの雨漏りなら、少し水が入ったかなって許せることもある。確率論で言うと、そもそも家の壁の雨がかりが少ない形になっているかが、この違いを考える大きな要素なのかなと。さらに押し詰めると、壁の中でも窓絡みなんです。壁に窓はつきもので、窓絡みの雨漏りは結構多いです。
住宅の瑕疵担保保険をやっている保険会社の統計を聞いたらよくわかるんですけど、雨漏りはどこでしていますか?と言うと、ほとんど窓周りです。屋根から漏る事故はあまりない。壁は未来永劫大丈夫というわけでもなく、多くの場合はコーキングした目地があって、そこが痩せて水が入る。目地がないように考えていても、窓周りはシール処理している家がほとんどです。
シールが切れると水が入ってきます。水が全然入らないようにすることを、何十年も耐久性の面で担保するのは難しいんです。図に書いたものはわかるかな?波線のところにサッシ枠がついていたら、壁との取り合いがそこになります。ここに防水テープが貼ってあったら、多少水が染み込んでも、入らないようにしてくれます。
防水テープのさらに下に、窓枠を納める前に先張り防水シートを入れる。出来上がったら外から全然見えないんですけど、こういうことをきちんとやっているかが、水の逃げ道の確保として超重要なんです。水は入ってはならないけど、入った時でも受け止める。これが水の逃げ道の1です。2つ目は、受け止めるだけでは半分しかできていないということ。受け止めた後にだんだん乾いていく。ずっと水を放置したらいろいろなリスクはあるけど、乾いたら何もないでしょ?
中に迷い込んだ水が下地を濡らさなかったり、仮に濡らしてもすぐ乾いていく仕組みや納まりになっているか。これが3つ目の大きな要素です。今のフラットな屋根も、裏に回ったら勾配があるんです。完全にフラットで鍋の蓋みたいだったら雨が溜め放題になるから、流れるようになっています。その時に、パラペットという屋根の勾配に対して立ち上がる壁があって、ここが重要なんです。
防水テープをいっぱい貼って、コーキングを打ちまくって雨漏りをしないようにしていたら、何十年かしてコーキングが切れて水が入った時に、今度は逃げないんです。必ず出ていくように、例えば壁の排気や、屋根の垂木間から出てくる排気。速やかに水分が乾いていく仕組みがあるかどうかが、1つのポイントになると思います。
ぶっちゃけ工務店のオヤジとして4つ目をまとめると、水の逃げ道1・2がある仕組みを現場でちゃんと作り込んでいるかという話です。検査をちゃんとせよとか、しっかり仕事をやり込めよということです。過去動画でもおびただしい数の納まりの話をしてきていますので、よかったら観ていただけたらと思います。
▼雨漏りしやすい5つの場所とその対策
https://www.m-athome.co.jp/movie/amamori_basho_taisaku
▼屋根の耐久性を左右する「ルーフィング」を解説
https://www.m-athome.co.jp/movie/yane_roofing_kaisetsu
▼梅雨時の家づくり:雨養生が大切な理由
https://www.m-athome.co.jp/movie/tsuyu_youjyo_taisetsu/
どこが急所なのかを絵に描いてみました。先張り防水シートの話がありましたけど、壁にもそれに相当する先張りルーフィングがあるんです。屋根や壁のデザインに凝って複雑になる時、屋根と壁との接合点の端部に、1番水が切れてくる場所があるんです。ここにルーフィングを忍ばせておく。図はわかりにくいかもしれませんけど、屋根の勾配と壁の立ち上がりがぶつかるところに、先張りで差し込んでおくんです。
これをやっておかないと、その上で防水シートを貼っても中に水が入る可能性があります。一般的には上棟の時に屋根下地の野地板まで貼ることが多いので、このタイミングで仕込んでおくのが1番間違いないです。後から差し込めるように隙間をうまく作る技を駆使する人もいますけど、きっちりした大工さんほどピシッと貼ってしまって後で差し込めない。先に入れてから野地板を貼らないと納まらないことがあるんです。
後から先張りが入っていないとわかって、これはダメだと職人さんたちに是正させるのは、監督さんにも結構勇気が要ると思います。若い監督さんが指摘しても、今さらできへんでって嫌な顔をされるから。うちの山下さんや僕が現場に行って、こんなもの剥いでやり替えろと血相を変えて言うような、現場をよく回る社長さんや部長さんがいるところは、是正ができていくと思いますけどね。
たくさんの棟数をやっていたり、若い監督さんばかりが見ていて、きちんと指導できない時もある。僕は自分のところの現場だけでなく、建築中の団地を回って見るのが好きなんですけど、うまくやりきれていないところは今でも多いです。プロの難しい納まりを全部覚える必要はないですが、自分の家の棟上げが終わった後に、壁と屋根の取り合いに先張りルーフィングが入っているかだけ、気にして見ておいてください。それだけでもかなり違いますよ。ワンポイントアドバイスと思ってもらえたら。
将来にわたって雨漏りするかしないかは長い戦いです。新築の時は止まっていても、経年変化で劣化したり不具合が出たりすることはよくあります。止水という水を止めることと、水を乾かすために通気を取ることは、ぶつかり合う要素なんですよね。水が切れていくことを雨仕舞いと言いますけど、防水はコーキングなどでシールをして、全く隙間をなくすようなことです。
雨仕舞いは形の問題なので、長期に品質を維持できます。でも防水は10年とか、ものによって20年もあると思いますけど、比較的短期になりやすい。防水層を傷めないよう、保護モルタルで固く固めて傷がつかないようにする工法もあります。初期は良いんですけど、防水層の保証は10年を過ぎたらなくなるので、漏れてきた時にはつったりしないといけない。リペアにかなり手間がかかるんです。
僕のオススメは防水層が露出していて、時々見たら目視である程度劣化がわかり、そろそろリペアしないといけないなと気づいた時にすぐ直せること。長く手入れできるという視点です。いろいろな議論があると思いますけど、僕は見える方が良いかなと思います。大手ハウスメーカーさんには、そこをよく考えている会社もあるので、僕たち町場の工務店も勉強させてもらい、自分たちの現場に活かしています。
マニアックな話なので大変だと思いますけど、最後にもう1度大事なことを言っておきます。今までは雨仕舞いや屋根の勾配、雨がかりで排水能力を考えておけば良いという感じでした。今はものすごく雨が多いじゃないですか。それも集中豪雨的な線状降水帯というやつです。今年もそこかしこで発生しました。僕もアメダスの記録を調べてみたんです。
1時間に80mm以上の雨が降る年間回数は、1975〜1985年に比べて2016〜2025年では1.8倍になったそうです。倍にだいぶ近づいているんですよ。線状降水帯ができると、同じ場所で何時間も大量の雨が延々と降り注ぐ。水が流れてしっかり切れていくだけじゃなくて、流れてくる量自体も含めてコントロールできるようにしておかないと。本当に水の力は強いですよ。
例えば10m四方で100㎡の屋根に、1時間100mmの雨が降ったら1万Lですよ。3時間続いたら3万L。1分で言うと167Lぐらいの雨になります。それが2本ぐらいの樋を毎分通り続ける。谷と言って、屋根と屋根が合わさり広い面積の水が集まる形状の家もあります。集まる水はものすごく多くなります。どれだけ納まりを考えていても、ダムの放流のような水が1か所に当たったら雨漏りします。谷の水をどう切れさせるか、緩和させるかという対策が必要です。
例えば大屋根の下に大きなベランダがあったら、大屋根の半分の水はベランダで受けるしかない。うまくやれば違うところへ落とせると思いますけど、ベランダの面積で受ける水の上に大屋根の半分の水が来たら、一瞬でプールになります。ベランダがごく稀にプールになるかもしれないことを、これからは考えないといけないんです。
こういうところを踏まえて家を見ると、雨漏りする家としない家、長期間保たれる家は何なのかという違いが見えてくると思います。質問者の方へのまとめですけど、自分の家の計画がどうなっているか、この視点で設計者や技術者の方に、うちはどうですか?と説明してもらう。現場が始まったら、先張りルーフィングや先張りシート、排気がどうできているか、構造が剥き出しの時に案内してもらって説明を受けることが大事かなと思います。


