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トップページ / 動画 / 初心者の方におすすめ / エアコンを「1℃下げる」「風量を強にする」どっちが節電になる?

エアコンを「1℃下げる」「風量を強にする」どっちが節電になる?

▼湿度コントロールで快適にすごす(夏期編)
https://www.m-athome.co.jp/movie/shitsudo_control_kaiteki

▼高性能化した日本の家が夏に涼しくない理由
https://www.m-athome.co.jp/movie/kouseinou_ie_suzushikunai

今回のご質問は、「エアコンの設定温度を1℃下げるのと、風量を強にするのでは、どちらが節電になるんですか?」というものです。

この手の話はテレビなどでもよく取り上げられているので、今日はそこからもう一歩踏み込んで、「本当に気にした方がいいことは何か」というところも含めてお話ししたいと思います。今日も真夏の暑い日に撮影しているんですけど、本当にうだるような暑さですよね。人はやっぱり涼しさを求めるものです。でも、うちの母もそうでしたけど、「エアコンをつけると電気代がもったいないから、昼間は一人やし我慢するわ」とよく言っていました。実際、電気代が気になる方は本当に多いと思います。それは無理もないことです。

だからこそ、エアコンを上手に使う知識やコツを、この質問をきっかけにお伝えしたいと思います。結論から言うと、設定温度を1℃下げるよりも、風量を強くした方が節電になります。

これについては、TBSの「ひるおび」という番組でも実験をしていたので、動画を探して見てみました。設定温度を26℃にして運転したときの消費電力は0.14kWだったそうです。それを25℃に、たった1℃下げただけで、消費電力は0.32kWまで増えました。数字だけでは分かりにくいかもしれませんが、ほぼ倍の電気を使っているということなんです。たった1℃でこれだけ違うのは驚きですよね。

でも、暑ければ設定温度を下げたくなるものです。そこで今度は、設定温度はそのままで風量だけを強くするとどうなるかという実験もありました。弱運転では0.14kWだったものが、強運転では0.17kW。多少は増えますが、大きな差ではありません。

この実験では、午後1時から3時までの一番暑い時間帯で比較し、電気料金を1kWhあたり31円で計算しています。その結果、設定温度を1℃下げると1か月で約1,050円余分にかかり、風量を強にした場合は約480円で済みました。つまり約570円の差が出るわけです。トータルでは1か月で3,000円ほど違うという実験結果になっていて、エビデンスもしっかりしています。

番組では「そうなんですね。これからは賢く使います」という感じで終わっていたんですが、僕は「いやいや、ちょっと待って」と思ったことがあるんです。それは、エアコンの働きをもう一度思い出してほしいということです。プロは当たり前に分かっていることなんですが、一般の方は何となくしか知らないことが多いので、ここは強調しておきたいんです。

エアコンの働きの一つ目は、もちろん室温を下げることです。例えば30℃を27℃にする、そういう働きですね。専門的にはこれを「顕熱処理」と言います。温度は目に見える熱なので、その熱を処理しているわけです。

でも、エアコンの仕事はそれだけではありません。もう一つは、空気中の水分を取り除くことです。夏は湿気が多くてジメジメしていますよね。エアコンは冷たい熱交換器に水分を結露させ、その水をドレンとして外へ排出しています。これを「潜熱処理」と言います。空気中の水分は目には見えませんが、その見えない熱を処理しているということです。つまり、エアコンは顕熱と潜熱、この両方を処理しているんです。少し専門的ですが、ぜひ頭に置いておいてください。

では、人はどういうときに涼しいと感じるのでしょうか。それは単純に温度が下がったときだけではありません。人は、体から熱が逃げていくときに涼しいと感じるんです。例えばプールに入ると涼しいですよね。水温で冷えることもありますが、それ以上に気化熱によって体の熱が奪われるから涼しく感じるわけです。

例えば同じ28℃でも、風速0.1m/sより風速1.0m/sの方がずっと涼しく感じます。歩いていて風がスーッと当たると気持ちいいですよね。つまり、体から熱が逃げることをどれだけ促進できるか、それが涼しさの正体なんです。

一方で、電気代はどこで多く使われているのかというと、皆さんが普段見ている室内機ではありません。外にある室外機です。そこにはヒートポンプがあり、コンプレッサーで冷媒を圧縮して空気中の熱をくみ出しています。このコンプレッサーが、エアコン全体の電力の8~9割を使っていると言われています。だから、ここに着目しないといけないんです。

つまり、設定温度を1℃上げるか下げるかという話をしてきましたが、設定温度は本来、皆さんが求めている目的ではありません。あくまで一つの目安なんです。本当の目的は「涼しくて快適であること」です。このことをぜひ頭に入れておいてください。

今のエアコンはほとんどがインバーター式で、機械が細かく回転数を制御しています。設定温度に近づけば自然と回転数を落とし、温度ムラや湿度ムラを減らしながら、省エネで運転してくれます。急に日差しが入って暑くなれば、また回転数を上げて急速冷房もできます。

昔のエアコンはもっと単純で、一定温度になると「パチン」と止まり、暑くなるとまたフルパワーで動くという仕組みでした。そのため無駄が多かったんです。今のエアコンは非常に賢くなっているということも知っておいてください。

そして、少し意地悪な言い方になりますが、設定温度や風量を気にする前に忘れてはいけないことがあります。それはフィルター掃除です。これをやらずに「設定温度をどうしよう」「風量を強にしよう」と考えても意味がありません。まずはフィルターをきれいにすること。その方が電気代も抑えられます。この質問をくださった方も含めて、ぜひ覚えておいてください。

僕は、涼しさというのは「温度・湿度・気流」の三角形で決まると思っています。この三つの要素がそろって初めて快適になるんです。ここまでは温度と気流について話してきましたが、実は湿度も非常に大きな要素なんです。

ひるおびの実験では湿度については触れられていませんでした。つまり、一部分だけを検証していたということになります。そして快適な部屋を考えるときに意外と大切なのが、隣の部屋なんです。外の暑さばかり気にしがちですが、多くの家にはリビングの隣に和室があったり、寝室があったりしますよね。

そうすると、その部屋が空調されていない「非空調室」になっていることがあります。そこに熱がこもっていると、間仕切り壁には断熱性能がほとんどないので、その熱がどんどんリビングへ入ってきます。昔の人は「部屋を閉め切って小さく使った方がいい」と考えがちですが、場合によっては隣の部屋も開けて一緒に冷やした方が、全体としてバランスが良くなることもあります。これもぜひ覚えておいてください。

さらに真夏は日射も大きなポイントです。どれだけエアコンを頑張らせても、窓から強い日差しが入ってきたら、なかなか室温は下がりません。だから日射遮蔽はとても大切なんです。

ただし、先ほどお話ししたように、涼しさは温度・湿度・気流の三角形です。ここで湿度の問題が出てきます。夏の湿度を下げるにはどうすればいいでしょうか。「風通しを良くすればいい」と思う方もいますが、それは逆効果です。せっかく冷やした部屋に外のジメジメした空気を入れてしまうことになります。だから、窓を開けるのではなく、エアコンの除湿機能をしっかり使って湿度を下げることが大切なんです。

一方で、日射遮蔽を完璧にやりすぎると、設定温度にすぐ達してしまいます。そうすると、十分に除湿が終わる前にエアコンが止まってしまうことがあるんです。エアコンを動かすきっかけになるのは熱です。少し不思議に聞こえるかもしれませんが、例えばカーテンを少し開けたり、庇から少しだけ日差しが入るように調整すると、「熱が入ってきたから除湿しよう」とエアコンが再び動き始めることがあります。ですから、日射をどうコントロールするか、その塩梅がとても重要なんです。

つまり、「1℃下げるのと風量を強くするのはどちらがお得か」という質問には、湿度という大切な要素が抜け落ちています。ぜひ、このことまで気にできる感性を持っていただいて、湿度も上手にコントロールするという視点を持っていただけたらと思います。

この辺りの話は過去の動画でも別の角度から詳しく解説していますので、概要欄にURLを載せておきます。ぜひ参考にしてみてください。

特に今は高気密・高断熱の高性能住宅が増えている時代です。だからこそ、この湿度の考え方は以前にも増して重要になっています。高性能だからこそ湿度が下がりにくい家もありますので、その点も含めて今回の質問を理解していただければ、きっと快適で、しかも電気代をあまりかけない暮らしができるんじゃないかなと思います。

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