いよいよ年末、大掃除のシーズンになりました。前回に続き「片付けやすい家」について考えてみたいと思います。
今月のお題は「押し入れ」。 実は私、現代の家が片付きづらいのは、この「押し入れ」が犯人じゃないかと思っています。
一般的に日本の「押し入れ」の奥行きは90cm、この奥行きが深すぎることが色んな弊害を生んでいます。 もともと、この奥行き90cmは、どこから決まってきたのでしょうか?
古くから日本の家屋にある「押し入れ」は、次のようなものを入れて来ました。
① お布団
② 着物を畳んで仕舞う柳行李(やなぎごうり)
③ 他の暮らしの小物
②かんしては、見たことも聞いたこともない人が多いかもしれませんね。寸法45㎝×30㎝×90㎝弱程度の収納箱をイメージしてください。
「座って半畳、寝て一畳」という言葉がありますが、日本の古い家屋は、人間の大きさから逆算された三尺×六尺(約90cm×約180㎝)を基準に間取りの寸法を考えてきました。
寝具から衣類を入れる器まで、この寸法にあわせてすべてつくられていましたので、和式な暮らしを続ける限り、とても合理的にスッキリと暮らせてゆけたのです。
しかしながら、現代の基本は洋風の暮らしです。着物を着る人は激減し、洋服を収める収納が求められるようになりました。
洋服のサイズは、ざっくり60cm。これを90cmの奥行の「押し入れ」に入れると残りが約30cm余ってしまう。これが曲者で、人は隙間があると、ついつい物を入れてしまいます。
その結果、せっかく十分な容量がある「押し入れ」が災いして、返って混乱を招いてしまうのです。
30㎝の隙間にモノを置いたので、後ろの服が取り出しにくくなる。モノに隠れて見えないので、置いているのを忘れてしまう。最悪なのは、モノがあることを忘れてしまい、同じものを買ってダブらせてしまい無駄にしてしまう。
これから、年末に大掃除をした時に、不要なものを処分したあとは、奥行き90cmの「押し入れ」を60cmしか使わないと決めてみてください。
無駄とストレスが軽減します。 もちろん新築を計画する時には、60cm、45cm、30cmの3つの奥行で、「押し入れ」や「物入れ」を考えてみてください。ただそれだけで、びっくりするくらい片付けやすい家になります!