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長期優良住宅にした方が良い?

今日のテーマは長期優良住宅についてです。お客様に「長期優良住宅って一体何が良いんですか?」「長期優良住宅にしたほうがいいですか?」とご相談を受けることが多いので、私なりの考えをお伝えしたいと思います。

この「長期優良住宅」というのは、家づくり評価する1つの指標みたいなものです。2006年くらいにできた「住生活基本法」という法律に関連して、2008年ぐらいにできました。

中身について解説をしていきたいと思います。まず、長期優良住宅というのは認定制です。「あなたがこれから建てようとしている家は、長期間に渡って優良に住める住宅ですよ」という行政からのお墨付きになります。お墨付きをもらうために、行政は5つの性能項目を設けています。項目の中身を説明しますね。

1つ目は劣化対策です。これがしっかり出来ているかどうかです。色々規定がありますが、簡単に言うと、長期間に渡って家の品質や強度が保証されているということです。木造住宅でしたら、シロアリ対策がされているとか、鉄筋コンクリート造なら、コンクリートの強度や鉄筋がちゃんとルールに基づいたものになっているか、なども含まれます。

2番目は耐震性です。これは災害に強い家を示すもので、耐震等級が2以上になってるかをチェックしています。「耐震等級」という言葉は、1995年の阪神淡路大震災のときにも広く知られましたが、この長期優良住宅によって、さらに有名になりました。

3つ目が維持管理。これは更新の容易性も含まれます。建物というのは建てて終わりじゃないのですね。リプレースと言って水道管が傷んだら更新する必要があります。この管理がしやすいかどうかもチェックされます。給水管や排水管の入れ替えが簡単にできる工法を採用しているかどうかも大切になりますね。

4つ目に関しては可変性です。3つ目の話と重なりますが、配管がしやすいとか、間取りを変えやすいということが挙げられます。これは共同住宅とかに適用されるものなので、個人の住宅で一戸建てにはあまり影響しないです。

5つ目がバリアフリー性。バリアフリー性というのは段差が無いとか、階段の踏み面・蹴上げが工夫されて上りやすくなっているという事のほかに、共同住宅の改修のしやすさも含まれます。用途が変わったときに対応できるとか、後からエレベーターを付けられるとか、そうしたことを担保する認定基準ですね。

6つ目が省エネルギー性です。これは文字通りあまりエネルギー使わなくても暮らしていける。光熱費が安くあがるってことです。これに関しては省エネ対策等級というものがあって、1・2・3・4となります。一番高い4点になっているかどうかをチェックします。

7つ目が居住環境。広い意味がありますが、1つ分かりやすい例を挙げると、京都や倉敷などには「景観条例」があります。これは法律で街並みに合うものを建ててね、と決められています。そうした内容の項目です。

8つ目が住居の面積。あまりに小さい家は優良とは言いにくいという見方があるようで、最低面積が決められています。一戸建てなら75㎡(22.5坪ちょっと)。共同住宅はもう少し小さくなっていて55㎡になっています。

9つ目が維持保全の計画です。3つ目の維持管理と似てて、定期点検とか定期的な補修計画プランというのが、きちんとある、実施されているということをチェックします。

9つの項目に関して全部クリアしたら、長期間優良住宅となります。繰り返しになりますが「長期優良住宅って何がいいんですか?」という質問の答えは、行政が基本的なところをチェックしてお墨付きをくれることです。工務店が「この家バッチリです。よくできてますから安心してください」と言っても、お客さん側からすると「本当かな?」と不安に思う部分もありますよね。それを行政という公共性のある第三者がOKですと言ってくれるので安心できる、ということです。

もう1つ、よく聞かれる質問で「長期優良住宅にした方がいいんですか?」というのがあります。これについて僕は「可能ならされたらどうですか」とお答えしています。それはメリットがあるからですね。さっき挙げた9つの性能を満たしてること以外に、金銭面でのメリットもあります。その1つが「ローン減税」です。これ新型コロナの影響で期間が少し延びて、13年間の控除が受けられます。(コロナが収束すれば10年になります)ローン減税の対象は、ローンの残高の1%が上限になります。ローンはいくらでも借りられるものではなくて、上限があるんですね。この枠が長期優良住宅になると少し増えます。そんな感じで少しお得になる、ということです。

加えて、住宅ローンでフラット35みたいなのを借りられるときに、金利の優遇が受けられることもあります。貸し手の立場になった時、その家が性能の良い家だと安心ですよね。だから、ちょっと金利まけてあげますわということです。どれくらいまけてくれるかと言うと0.25%ぐらいです。これは5年10年の期間で分かれてきますが、まけてくれると言われています。

そして3つ目のメリットが、地震保険が少しお得になる。地震保険というのは建築基準法を満たした上で保険料の適用がされます。長期優良住宅は耐震等級2以上が条件でしたよね。なので耐震等級2の家ですと約3割ぐらい保険料が安くなると言われてます。2000万円ぐらいの建物を建てられたら、地震保険でそのうち半分、1000万分の保証という感じになります。その額を保証するとなると普通だったら7〜8万円かかる。これが30%オフになる感じです。蛇足ですが耐震等級3にするとさらに割引になります。50%ぐらい割引になると言われてます。何万円かにはなりますが、お得になりますよね。

金銭的なメリットがある、ということも大きいので「それなら長期優良住宅にしようかな」「性能も保証されるから良いですね」となりますが、デメリットもあります。というのが、
長期優良住宅というのは、9つの項目を満たした家を建てればOKとはなりません。必ず申請が必要になります。それに行政が関わりますから、業者さんに委託することになります。金額は、その会社さんごとに違いがあるので「絶対◯円です!」とは言えないですが、大体20〜40万円ぐらいの申請費が発生すると言われてます。なので、その分コストアップになりますよね。

これに加えて、長期優良住宅が基本仕様でない住宅会社もあります。「長期優良住宅にしたいです」となると、性能を引き上げるのにオプション料金がかかることもある。20〜60万円ぐらい追加になるとケースもあるので、メリットとデメリットを出してジャッジする、というのがいいと思います。

最後に、得意の僕のおせっかいな話をさせてください。よく「長期優良住宅なら、品質とか性能はバッチリってことですよね?」と聞かれます。でも、実はそうでもないんです。例えば劣化等級とか、維持管理更新の容易性、バリアフリー性というのは、気の利いた工務店さんなら標準の仕様でクリアしています。なので、これは特段にすごい性能を保証してることではないんです。かといって、この性能がダメなという話ではありません。結構普通のことです、というお話です。

さっき挙げた項目の中でも、特に普通のことだなと思うのは耐震性と省エネルギー性です。長期優良住宅であれば耐震等級2をクリアしてればOKでしたよね。でも最近の熊本地震などを見てきた身としては、耐震等級3にされたほう方が良いと思います。さらに許容応力度計算という構造計算もされたほうがいいです。耐震等級というのは品確法という法律に基づいて計算を行っています。これは許容応力度計算と比較して、厳しさのランクが1つ下がるんですね。近年は大きな地震が特段珍しいものでは無くなっていますので、その状況を踏まえると耐震等級2では、ちょっと頼りない。なので、耐震等級3であることと許容応力度計算を実施されるほうがいいと考えます。

省エネルギー性は、4をクリアしたらOKと言いました。ものすごいグレード上がった気がしますよね。でも、実際はそうでもないです。昔、平成11年基準というのがありました。「次世代省エネ」という言い方をしていて、言葉の響きがカッコいいから高性能な気がするのですが、平成25年とか28年基準で定めてる最低基準とほぼ同じなんです。なので、やっぱり“普通の家”というとこになるんですね。

「長期優良住宅だから省エネルギー性が良い」、「つまり断熱性も気密性もバッチリ!」とはならないんです。もはやこれは最低基準だと思って、健康的に暮らすなら、これよりも性能を上げて欲しいです。長期優良住宅で設定している耐震性と省エネルギー性は最低中の最低のライン。「これを下回ったら絶対、健康壊しますよ」というぐらいの基準です。キツイ言い方をしましたが、こちらの方が正しい認識に繋がると思います。

なので、長期優良住宅に関しては申請されてもいいと思いますが、家の性能については過信しすぎないでください。むしろこれをベースに、断熱性などはお住まいの地域性に合わせて引き上げる。そうした方が安心できると思います。

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