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【リプロダクション】家は「夫婦ふたりの暮らし」を旨とすべし

今日は、シリーズになりつつあるテーマかもしれませんが、「リプロダクション」という大きな考え方に関連して、「これからの家づくりは夫婦二人の暮らしを中心に据えるべし」というお話をしていきたいと思います。最近、うちの山下社長がこの“リプロダクション”や“リプロダクションコスト”という考えをもとに家づくりを深く考えていまして、横で話を聞いていても「なるほどなあ」と思うことが多いんです。リプロダクションというのは、いわば“再生”とか“受け継がれていく”という意味合いで、一代で終わらずに循環していくようなイメージですね。これまで「イニシャルコスト」「ランニングコスト」「トータルコスト」と言ってきましたけど、それを超えて、もっと長いスパンで家を捉える。つまり、一代限りの採算ではなく、何代にもわたって使い継がれる家であれば、一代あたりのコストは自然と薄まっていく。それこそが、これからの豊かな家づくりにつながっていくんじゃないかなと感じるんです。

そんな考えから、僕自身も改めて思うのが、「家というのはやっぱり夫婦二人の暮らしを中心に据えることが大事なんじゃないか」ということなんです。今日はそのあたりを、いつもより少し軽い感じで、僕の板書を見ながら話を聞いてもらえたらと思います。

まず、若いご夫婦が「そろそろ家が欲しいな」と思って家を建てるわけですが、そこから子どもが育っていく期間というのは、およそ10年から15年、多く見積もっても20年ほどでしょうか。そして子どもたちは高校を卒業して出ていく子もいれば、大学を卒業して巣立っていく子もいる。つまり、55歳前後からは再び夫婦二人の暮らしが中心になるわけです。もちろん、子どもが時々帰ってくることはありますが、基本は二人。さらに今は平均寿命も延びていて、男女とも85歳くらいまでは元気に生きる時代です。ですから、仮にどちらかが先に旅立っても、残された一人がその後5年から10年を過ごすと考えると、子育ての15年に対して、夫婦二人の時間は35年から40年ほど。時間的に見ても、夫婦の時間のほうがずっと長いんですよね。

僕自身、かつて父が建てた古い家を建て替えたことがあります。きっかけは二つあって、一つは阪神淡路大震災。古い家がすごく揺れて、「この家で家族を守れるのか」と不安になったんです。もう一つは“愛着”の問題でした。母と同居していましたから、母には父と建てた家への思いがあります。でも妻は他所から来た人ですから、その家に特別な思いはなく、「使いにくいな」と感じることもあったかもしれない。僕はそれが少し寂しくて、「新しい家を建てたら、妻もこの家に愛着を持ってくれるかもしれない」と思ったんです。母も新しい家に馴染み、共に暮らせる。それは少し僕のエゴもあったかもしれませんが、「家に愛着を持てる」というのは、やっぱり大事なことやなと今も思っています。

そして、その後やってきたのが“子どもの巣立ち”です。娘が二人いて、どちらも可愛くて、正直手元に置いておきたかった。でも長女は結婚し、次女は友だちとルームシェアを始めて家を出ました。正直、ものすごく寂しかったですね。母も「寂しい」と言っていました。でも同時に思ったんです。子どもがしっかり親離れできるというのは、妻が立派に育ててくれた証拠やなと。距離を取る勇気って、人間の成長には欠かせないんですよね。

昔「キタキツネ物語」という映画がありましたが、母狐が成長した子狐を冷たく突き放すシーンがあるんです。あれを見たとき、「母狐、ひどいな」と思いましたけど、今になってみると、それこそ自然の英知なんですよね。僕なんかは、キタキツネにも劣る親父やなと(笑)。でも親が子と別れる“子別れ”を通して、親自身もまた成長するんだなと感じました。

そうして再び夫婦二人の生活に戻ったとき、僕が以前話した「60歳の取説」というテーマにも通じますが、ここからは“つかず離れず”の関係。お互いのペースで暮らすことが大切です。家も、そんな二人の距離感を支える装置のような存在であるべきなんですよね。

だから、子育てに特化して子どものスペースを取りすぎるのではなく、夫婦二人がちょうど良い距離感で過ごせる家。子どもが独立してからも居心地よく暮らせる家。それが本当の意味で“豊かな家”なんだと思います。僕の家は大きくて、母との二世帯住宅だったこともあり、今は2階がほとんど空っぽです。正直、これから妻一人になったとき、この広さを持て余すやろうなと思います。

晩年の暮らしにおいては、残された一人が無理なく過ごせる広さというのが、とても大事なんです。コルビュジエのお母さんの家のような、シンプルで穏やかな平屋というのは、究極のかたちやなと思います。僕の母も今85歳で、少しずつ認知症のような症状も出てきました。「時期が来たら施設に入りたい」と母が言ったとき、最初は「そんなこと言わんでええ」と思いました。でも、最近は「それも一つの幸せのかたちかもしれない」と思うようになったんです。自分のペースで、自分の面倒を自分で見ながら生きること。あるいは施設に入って、新しいコミュニティで自分を再発見すること。それもまた前向きな選択なんやなと感じます。

そして、そうやって人生を終えるとき、次の世代へと家が受け継がれていく。子どもたちが、そして孫たちがその家に「なんか好きやな」と感じてくれたら、それは最高のことですよね。古い家には“わびさび”の美しさがある。時を経てなお美しくなる家というのは、日本人が大切にしてきた価値観でもあります。

夫婦二人の暮らしの中で育まれた家が、やがて子や孫に受け継がれる。そんなふうに住み継がれていく家。素材や記憶、人との関係性が時間とともに引き継がれていく家。僕はそれこそが“リプロダクション”の本質やと思うんです。

今、モリシタ・アット・ホームでは「ほぼ平屋」というモデルハウスを展開しています。これは厳密には平屋ではないですが、夫婦二人の暮らしをベースに、子育て期も無理なく過ごせるサイズ感にしています。さらに山下さんが今取り組んでいる新しいプロジェクトでは、“内と外のつながり”をより強めた、4つの庭を持つ家づくりにも挑戦しています。母屋と離れ、ガレージなどを一体的に考えた、趣味性のある住まい。夫婦二人を軸にしながらも、子育てや次の世代の暮らしにも自然につながっていくような設計です。

もし「夫婦二人の暮らしを旨とする家って、実際どういうこと?」と思われた方がいらっしゃったら、ぜひ今のモデルハウスを見に来てください。2026年1月には新しいモデルも公開予定ですが、現行の「ほぼ平屋」はまだご覧いただけます。家づくりを考える際のひとつの視点として、参考にしてもらえたらうれしいです。

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