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トップページ / 動画 / 初心者の方におすすめ / Q&A:屋根断熱でセルロースファイバー200mmで問題ないですか?

Q&A:屋根断熱でセルロースファイバー200mmで問題ないですか?

今日はQ&Aということで、動画を見ていただいている視聴者の方からいただいた質問にお答えしていきたいと思います。どんな質問かと言いますと、今家づくりがかなり佳境に入っている方で、屋根断熱をどうするか考えておられるそうなんですね。材料としてはセルロースファイバーで200mm、つまり20cmでやろうと思っているけれど問題ないでしょうか、というご質問でした。なかなかギュッと絞った質問なので、どういう意図で聞かれているのかなと思いながら答えを考えたんですけど、まずざっくり言いますと、断熱性能をどこまで求めるかによっていろんな考え方はあると思います。ただ「200mmで問題がありますか」と言われたら、基本的には「大丈夫じゃないですか」というのがまず一つの答えです。ただ一方で、最近は夏の暑さがかなり強いですし、暑い期間も長くなっていますよね。そうすると断熱を強化すべき場所はいろいろありますが、特に屋根の断熱を強くしておくことは大事だなと思うところがあります。当社では小屋裏を活用するプランもよくやりますので、広島の巨匠とも世間話で「どうですかね」と聞くと、「200mmでもいいけど、250mmくらいにしておくと安心かな」という話が出たりします。ですから最近は、極端にコストアップするわけでもないので、250mmくらい採用してもいいんじゃないかな、という話をしたりしています。もちろん厚みを増やすということは内部側に攻めてくることになるので、スペースとの関係などもありますし、何を優先するかによりますけどね。

それと、今回なぜ200mmということを質問されたのかなと僕なりに想像してみると、裏返せば「200mmで本当に大丈夫なのかな」という不安があるのかなと思ったんです。というのも、最近は大手のパワービルダーさんが高性能住宅をかなり強く打ち出してきていますよね。もともとは一条工務店さんのような高性能住宅をうたう会社がすごく業績を伸ばして、それに追随する形で大手の会社さんも高性能路線に舵を切ってきています。中には業界最高水準のG3仕様を標準にしているところもありますし、「G3仕様もできますよ」という会社もあります。そういうカタログを見ていくと、断熱材の厚みが300mmなんて書かれていることも増えてきています。ですから、それと比べて「200mmで大丈夫なんだろうか」と思われたのかなと推察したんです。ただ、断熱性能というのは厚みだけで簡単に判断できるものではないんですね。ここはぜひ知っておいてほしいところなんです。

断熱の性能を考えるときによく出てくるのが「熱伝導率」という数値です。これはある材料の中をどれくらい熱が伝わりやすいかを表したものです。1m四方の立方体を想像して、外と内で温度差が1℃あるときにどれだけ熱が移動するか、そのワット数を示したものなんですね。ですから基本的には、この数値が小さいほど熱が伝わりにくい、つまり断熱性能が高いということになります。ただ、これだけでは評価としては半分くらいなんです。もう一つ大事なのが「熱貫流率」、通称U値と言われるものです。これは材料そのものの熱伝導率に加えて、その材料の厚みも含めて評価する数値です。どんなに性能のいい材料でも薄ければ断熱性能はそれほど出ませんし、材料の性能がそこまで高くなくても、厚みがしっかりあれば十分な断熱性能になることもあります。1㎡の面積に対して1℃の温度差があるとき、どれだけ熱が移動するかを示したものがU値で、これを家全体で平均したものがUA値です。ですから、断熱性能を考えるときはこのU値やUA値を見ることがとても大事なんですね。

具体例を挙げると、ネオマフォームというフェノール系の断熱材があります。これは国内で流通している断熱材の中でも、材料としての性能はトップクラスと言われています。熱伝導率はだいたい0.02W/㎡・Kくらいで、かなり小さい数値です。ただ、よく使われる厚みは5cmくらいなんですね。これを計算すると、熱貫流率は0.40W/㎡・Kくらいになります。一方、僕たちがよく使う高性能グラスウール16Kは、熱伝導率が0.038です。数字だけ見るとネオマのほうが良さそうに見えますが、これを柱の厚みに合わせて約10cm入れると、熱貫流率は0.36W/㎡・Kになります。つまり、材料の性能だけで見るとネオマのほうが上なんですが、厚みを含めて評価するとグラスウールのほうが数値が良くなることもあるんです。しかもコストの面で言うと、グラスウールは1畳分くらいの面積で大体1000円前後なのに対して、ネオマフォームは3900円くらいします。ざっくり言えば4倍くらいの価格差です。そうすると「あまり性能差がないのに価格は4倍なの?」という話にもなりますよね。だから、断熱材というのは材料の種類だけで決めるのも違うし、厚みだけで決めるのも違うんです。

ちなみに最近人気のアクアフォームは熱伝導率が0.034くらいで、10cm程度入れると熱貫流率は0.34くらいになります。なかなか優秀ですよね。ただコストはグラスウールの1.5倍くらいと言われています。そして今回のセルロースファイバーですが、熱伝導率は0.040くらいです。数字だけ見ると「あれ、一番性能が低いのかな」と思うかもしれません。でもこれを250mm、つまり25cm入れると熱貫流率は0.16W/㎡・Kくらいになります。0.16台というのはなかなか優秀な数値です。コストはアクアフォームが1.5倍くらい、セルロースファイバーはだいたい2倍くらいというイメージですね。こういうことを踏まえてまとめると、結局はトータルで評価するしかないということなんです。20cmが良いとか悪いとか、30cmだからすごいとか、そういう単純な話ではありません。屋根、壁、床、基礎、そして窓などの開口部、それぞれを含めた家全体のバランスが大事なんです。

屋根の断熱を厚くするのは、直射日光を受けやすかったり、冬は放射冷却で熱を奪われやすかったりするので合理的ではあります。ただし、家づくりというのは断熱だけで決まるものではなく、空調や換気との関係、そして建てる地域の気候も大きく関わってきます。僕は今、西日本の6地域を前提に話していますが、寒冷地や沖縄のような地域ではまた考え方が変わってきます。それと最近よくあるのが、G3のようなすごく高い断熱性能を目指すあまり、窓を極端に小さくしてしまうケースです。確かにエアコンはすぐ効くし省エネにはなるんですが、すぐ止まることで除湿がうまくいかず、夏がかえって不快になるという話も聞きます。また南側の窓を小さくしてしまうと、冬に日射取得ができなくて暖房が余計に必要になることもあります。さらに窓が小さくてカーテンを閉めたら真っ暗、という家も出てきます。それって心理的にどうなんだろうと思うんですね。僕自身は、断熱性能が高くて23℃の部屋よりも、少し温度が低くて21℃くらいでも、南の窓から日差しが入って「この日向は気持ちいいな」と感じられる家のほうが好きなんです。たぶん多くの人も、そういう家のほうが心地いいんじゃないかなと思ったりします。

ですから今回の質問に対しては、「20cmだからダメ、30cmだからすごい」という話ではなく、家全体のバランスをどう取るかという視点で考えていただくのが大事かなと思います。最後にセルロースファイバーの良いところを一つ言っておくと、熱容量が大きいんですね。つまり熱を蓄える力が強いので、温度変化が穏やかになりやすいです。それから音も通しにくい素材なので、グラスウールと比べるとそういうメリットもあります。ですから断熱性能の数字だけで決めてしまうのは、少し怖いところもあると思うんです。そのあたりも踏まえて、今回のご質問については、みなさんそれぞれの答えを持っていただけたらいいのかなと思います。こんな感じで、いつも家づくりについていろいろ解説していますので、よかったらチャンネル登録をしてみてください。

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