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家づくりで起こりがちな失敗(小屋裏エアコン編)

今回は「小屋裏エアコン」について、時々起こってしまう失敗例を交えながら、解説してみたいと思います。

このテーマを再び取り上げたきっかけは、僕の友人でもある工務店の方々の中で、小屋裏エアコンに興味を持っている人が多いと感じたからです。ある知り合いの工務店さんから、「小屋裏エアコンを取り入れる予定の現場があって、森下くんは詳しいから、僕の設計をちょっと見てくれないか」と言われて、「ああ、いいよ」と見た時に、「あぁ、これはピンと来にくい部分なんだな」と思ったことがあったんですね。そんな気づきを、少しおせっかいかもしれませんが、共有できたらなと思います。

では、いつものように僕の板書を見ていただきながらお話しします。まず、構成は南側・北側といった形で進めます。図を見た時に一番に思ったのは、「屋根の断熱、大丈夫かな?」という点でした。というのも、小屋裏空間を冷房に活用するとなると、屋根は夏場に最も気温が上がる場所ですから、その影響を受けやすいんです。

断熱が不十分、例えば極端な話ですが10センチ程度しかない場合。もしネオマフォームのような熱伝導率の良い素材であれば話は別ですが、一般的な繊維系の素材では全く足りません。相談をしてきた技術者さんは150〜160ミリ程度の設計寸法で考えていたようですが、それでも僕は「少ないんじゃないかな」と思ったんです。できれば200ミリ、将来のことも考えると250ミリ、スペースとコストが許すなら300ミリくらいあってもいいと伝えました。

加えて、屋根断熱の建物では、室内側で気密を取るケースが多いと思います。その際、僕が勧めたのは「透湿気密シート」を使って気密を取ること。よくあるポリエチレンのシートでもできますが、強力に冷房をかける小屋裏エアコンの場合、気密層の断熱側で“夏型結露”が起こりやすくなるんです。ここ数年は湿気がとても多くなっていて、「昔はこんなことなかったのに」という地域でも出てきているので、ぜひ注意しておいていただきたいです。

また、屋根の断熱をしっかりしていても、小屋裏の壁部分の断熱が弱いと、そこが冷房の弱点になってしまうことがあります。壁厚が105〜120ミリ程度では、屋根と比べても厳しい条件になりやすいですから、「ここも見落とさないようにね」とお伝えしました。

さらに、皆さんメカニカルな部分に意識が行きがちなんですね。ファンの設置場所とか、ダクトの取り回しとか。でもそれ以上に大事なのが「日射遮蔽」なんです。最近は庇をしっかり出している家も増えましたが、2階ならまだしも、1階部分は庇がない限り日射が容赦なく入ってきます。だから、しっかりとしたシェードなどで日除けを取り入れないと、いくら良いエアコンを入れても冷えにくくなってしまいます。

そして最近の傾向として、屋根勾配をなるべく緩やかにしたいという声も多いんです。そうなると、小屋裏の容積が足りなくなってしまいがち。30〜40坪くらいの住宅なら最低でも10立米、できれば15立米くらい確保した方が良いと思っています。空間が狭すぎると、冷気がエアコンの周辺に集中してしまい、部屋全体が冷えにくくなる。理屈では説明しきれない感覚的なところもありますが、容積はとても大事です。

それから、小屋裏エアコンの設計で盲点になりがちなのが「リターン開口」。エアコンは吹き出すだけじゃなく、吸い込みもしているわけですから、出した分の空気をどこから吸い込むかが重要になります。ここが設計されていないと、風量のバランスが崩れて除湿が効かないなど、様々な問題が起きます。だからこそ、リターンの位置や開口の大きさにもしっかり配慮していただきたいと思います。

そういったことを丁寧に設計していけば、小屋裏エアコンは本当に快適な設備になります。ただし、こういう話を聞いて「自分の工務店、大丈夫かな?」とお施主さんが試すようなことをするのは、あまり嬉しくありません。家づくりはプロに任せる部分と、自分たちが楽しむ部分の共同作業だと思っているからです。特に小屋裏エアコンのような初めての取り組みであればこそ、施主さんも一緒に知識を持ち寄って、楽しみながら一緒に家づくりを進めてほしいなと思っています。

そんな気持ちを込めて、おせっかいな話を長々してしまいましたが、これが少しでも参考になれば嬉しいです。

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