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無料の間取り作成で気を付けること

今日のテーマは無料の間取り作成サービスについてです。

この無料の間取り作成依頼で、最近SUUMOさんとかHOME’Sさんのようなポータルサイトと言われるようなものが出てきました。今は有名なものを挙げましたが、規模が小さな会社さんでも、そういったものを作られています。家づくりに悩む人に、いろんな会社さん紹介するサイトですね。

このポータルサイトの中に、よく「登録してくださったら無料で間取り作成お受けします」「いろんな会社さんから間取りの提案が届きます」というサービスがあります。

このサービス、モリシタではご提供するのが難しいものなので、すごいなぁと思いながら見ている部分があります。で、ある時、このサービスを使われたことがあるお客様に「使ってみていかがでしたか?」と聞いてみたことがあるんです。そうすると、僕が聞いた方のほとんどが「送ってはくれたけど、プランの中身は・・・」といった反応でした。提案はたくさん来たけど、何がなんだか分からなくなってしまったそうなんです。

「無料で間取り作ってもらって、中身がすごく良くて、家づくりが前向きになった!」という人は、ほぼいらっしゃらなかったです。僕はこの反応を見て「無料で間取り作るってすごいな」と思う一方で「やっぱり自動で来るようなものって、ちょっと違うのかな」とも感じたんですよね。

で、僕は1つ疑問が出てきました。間取りを無料で作ってもらいたい方々の多くは、本当は何が欲しかったのかな?と。

登録するときはね、家づくりって何をどうしたらいいかわからないから「とにかく資料が欲しい」「間取り出してくれるならラッキーや」と考えていたと思うんです。でも実際に届いたプランは全然いいと感じるものではなかったんだと思います。

さっきも言ったように、こういった無料プランをお願いするのは、家づくりが初期段階の方がほとんどですよね。というのは、家づくりに関する大体の相場観が知りたいという気持ちがあるはずなんです。

例えば初期段階でも、3LDKや4LDKの家がほしいとか、30〜35坪ぐらいの土地に建てたいというような、なんとなく「こうしたいな」という考えはありますよね。そのケースで建てるとしたら、「この会社はこのくらいのお金が掛かる」というのを、第1ステップとしてほしいのだと思います。で、その情報が手に入ったら何社か並べて比較をする、という流れが王道だと思います。

この流れを希望されている場合でしたら、無料の間取りプランを利用することは、充分とは言えませんが少しは役に立ってるのかなと思います。

一方でなんとなく登録をして、突然何社からも営業攻勢を受けてしまったら、たいていの場合は何が何だか分からなくなるはずなんです。

経験ある人はわかると思いますが、一気に5社ぐらいの話を聞いたら、もう混乱されるはずです。僕も、この状況はあまりよくないなという気がします。なので無料の間取り作成を使うのはどうかな、と思ってしまうんです。

もっと言うと、間取りを作ってほしい人一番根本にある気持ちは「自分が欲しいと思えるような良き提案をください」ということだと思います。みなさん、どうですか?それが本当は一番強くないです?

なんとなくで登録した人も、もう少しいろんな情報がほしいとか、他社も検討したいという人も、なぜ間取りの提案が欲しいと言ったら、良いプランをもらいたいからですよね。それはすごく当たり前のことだと思います。みんないい家が欲しいわけですから。そうすると、この無料で間取りを作ってもらうサービスは要注意です。

「とりあえず商談に繋げたいから、間取りのたたき台を出す」というスタンスの会社もあれば、「せっかく相談してくれたから、うちで家づくりさせてほしい。魂の入った間取りを出したい」という会社もあります。多くがこの2極の中のグラデーションで、強弱があります。

多くの受け手の方は魂の入った提案が欲しいですよね。なので、このサービスを使う前に、一度立ち止まって考えていただきたいんです。

無料で気軽に依頼を受けてる会社さんは、おそらく営業的な要素の強い会社だろうと僕は個人的に思います。契約が取れるかどうかわからないけど、とにかく数の対応をしていくことのほうが優先されていて、そのプランに魂を込めることに関しては、やや希薄にならざるを得ないのかなという印象を持ちます。なので、受け手と作り手との間でも前提がずれるんですよね。

だから無料プランを依頼する際、ユーザーの方に気をつけていただきたいのは、各社がどういうスタンスの前提を持って引き受けているかということです。それを見極めてください。

正直に言います。3社以上の提案を受ける場合、この前提を見極めないまま闇雲に頼んだら
絶対に混乱します。プロの僕でも5件の提案をズラッと並べられたら、もうわけがわからなくなります。

どういうことかと言うと「このプランはここがいい」「このプランはここがいい」といった感じで、いいところばかりが頭に残ります。でも、そのいいところだけを集めたプランというのはありませんし、結局どういう家がいいんだっけ?という感じで混乱して終わってしまいます。僕の経験ではね。

なので、各社さんがどういうスタンスや前提を持って依頼を受けているのかを吟味してから、依頼をかけてほしいなと思います。繰り返しますが、闇雲に進むのではなく、絞り込みが必要だということです。だから気軽な気持ちで無料プランをいっぱい出してもらうのはおすすめしません。

これを踏まえた上で、僕がよく言う4つのポイントがきちんと反映されているかをチェックしてください。

4つのポイントその1は、そのプランに方位は入ってるか?ということです。例えば建築科の学生が初めてプラン作る時、敷地に方位が入ってなかったら絶対に先生から怒られます。「方位も考えてないのに設計なんかできへんやろ」って言われますね。

南の向きににも注意が必要で、多くの図面は下側を南にするのが約束になっています。でも実際の土地で方位が真南向いてるケースはほぼありません。絶対45度ぐらいの付近でズレてるんです。なので、もらう図面は“なんちゃって南向き”なんです。ということは、実際に建てられた家は、見える景色も日当たりも変わってしまいます。

ポイントその2は近隣の状況が踏まえられたものか、ということです。間取りって自分の家のことだけを考えて作ると思いますよね?でも、その間取りがいいかどうかを判断するには、近隣の状況も想定されている必要があります。

広―い草原の中心に一軒家を建てる場合は、話が別ですよ。でもみなさんの土地はどうですか?たいてい周りに家がありますよね。分譲地で今は家が建っていなくても、数年すれば周囲に家が増えますよね?そうするとプランの作成は、もっと高度なものになります。

将来どういう家が建つか、背の高い建物ができる可能性はあるのかなどが想定されていなければ、そもそもいいプランかどうかは吟味ができません。

ポイント1・2は、これまでも頻繁にお伝えしてきました。モリシタでは、この2つに対して、日射シミュレーションというものを活用しています。敷地に対してどのように太陽が当たるかCGで検証します。その結果を見た上で、日がよく当たるゾーンを探して、リビングのように皆がよく過ごす場所を配置する、ということをしています。だから間取りを作る際、まずはポイント1・2が押さえられてないとおかしいと思います。

ポイント3は法的調査。これは多くの会社がされているはずです。法的な絡みで斜線制限があるとか、壁面後退だとか、建築に大きく制約を受けるものがある・ないというのを確認しておきます。これは事前にされていなければダメですよね?

最後にポイント4の基本的ヒアリングです。これは、やってるようでやってない会社さんが多いと思います。「どんな部屋がほしいですか?」「何部屋ほしいですか?」 「何畳のリビングがいいですか?」というのは当たり前です。

ここで言う基本的ヒアリングで聞いておくべきなのは、家族1人ひとりの中にある優先順位です。家族で住む以上。それぞれに優先順位がありますよね。しかも、その優先順位はそれぞれ微妙に違います。ここの聞き取りをしておかないと、家族みんなが満足する家づくりからは遠ざかってしまいます。

家づくりって基本長丁場です。だから僕は家づくりする人のエネルギーが損なわれへんようにするってことが1つ大事だなと考えています。混乱したら、エネルギーって絶対失われていきます。みなさんには、そうなってほしくないです。

いち工務店のオヤジ的に申し上げると、先程の4つのポイントの中でも、日射シミュレーションは結構準備が必要ですし、家族の優先順位を聞き出すヒアリングも結構骨が折れるものです。知らない者同士が会って、突っ込んだ話をするって難しいですよね。

もし概算や相場観が聞きたいのであれば、過去の施工例とかを見せてもらうほうがいいと思います。「この家は自分たちのイメージに近いな」とか「このお家はどれぐらいかかったんですか?」と質問をして絞り込みをかける。それから、対応してくれた方の印象も大切にしてください。「この人話しやすい人やな」とか、いわゆる馬が合うことも踏まえて判断されるほうがいいです。この流れで依頼していただくのが、住み手も作り手もプラスになるはずです。

そうすると、この無料のプランではカバーできないなと思います。営業マンが20〜30人もいる大きな会社さんなら話は違うかもしれません。でも僕らみたいな地元の工務店は、人が限られてるので難しいです。

もし僕たちのような地元の工務店に家づくりをお願いするなら、「(工務店的には出血サービスで)最低これぐらいのプラン作成料いただいたら、こういう形でやらせてもらいます」というのが現実かなという気はします。お客さん的には負担に感じるかもしれませんが。

無料プランでも、さっきお伝えした4つのポイントをキチッとやってる会社もあると思います。そういう会社さんは大丈夫です。でも「はいはい。分かりました!」って言う会社ほど流れ作業になってる可能性を感じます。これは会社さんごとに差があるから見極めてください。

見極めてもらった上で、もらったプランに4つのポイントがきちんと反映されているか再確認していただければOKです。この依頼をするときにも気をつけていただきたいことがあります。あまりたくさんの会社に頼まない方がいいと思います。混乱する原因になってしまいますのでね。

例えば、いいなと思う住宅会社さんがあるとします。そこに間取りをお願いする際、有料であっても自分たちが乗り越えられる金額なのであれば、無料の間取りをたくさんもらうより、その住宅会社さんにプランを出してもいただく方がいいと思います。

これはモリシタの社内的なことですが、やっぱりプランを出す限りは、きちんとしたものを出したいです。たとえ、その結果モリシタでご縁がなかった・お手伝いできなかったということになっても「モリシタで提案で聞いたことで自分たちの家づくりが前に進んだかな」とか「1段階レベル上がったな」と思っていただきたいんですね。でないと僕らは汗かいた甲斐もないじゃないですか。そう思っています。

無料で間取りを作ってもらうサービスは非常に魅力的ではありますが、ネット経由でチャチャッとやるようなものは、あまりおすすめしないです。

リアルな場でお願いするとしても、いきなりプラン作ってくださいとかではなく、充分な絞り込みがあった上で前提を確認してから、ご依頼いただければと思います。その方がみなさんの家づくりの時間は無駄になりませんし、一歩前進するはずです。

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