戸建住宅の主なランニングコストと考え方
ついに日本も金利が上がってきましたね。新聞を見ても住宅ローンが上がっていくという記事が出ていますので、家づくりを真剣に考えている方ほど、家の値段や住宅ローンのことが悩ましいなと感じておられるんじゃないかなという印象なんです。そこで今日は、そういう方に向けて「お金」という視点の中でも、ランニングコストについて少し解説していきたいと思います。いつものように板書をご覧いただきながら、僕の話を聞いていただけたらと思います。
僕は一戸建てのランニングコストには5つの視点があると思っています。一般的には4つと言われることが多いんですけど、僕は5つだと考えています。まず1つ目が水道光熱費。暮らしている限り、これはずっとかかりますよね。2つ目が固定資産税。不動産も家そのものも固定資産ですから、毎年きちんとかかってきます。3つ目が火災保険。必ずしも加入義務があるわけではないですが、暮らしている以上リスクはありますし、特に市街地では延焼の可能性もありますから、地震保険も含めて備えておく必要があります。更新は5年ごとが多いですが、これも継続的な負担です。4つ目がメンテナンス費用。メンテナンスフリーの家に憧れる方は多いですが、完全に不要な家は存在しません。タワーマンションのような建物でも必ず手入れが必要です。そして5つ目が医療費。この視点も大事だと僕は思っています。
まず水道光熱費ですが、比較的コントロールしやすいのが光熱費、つまり電気代や燃料代です。家庭で一番エネルギーを使うのは何かというと、統計上は「お湯」なんです。昔は台所で冬になると水しか出なくて、お母さんたちは霜焼けになりながら家事をしていました。それが給湯器の登場でお湯が当たり前になった。日本人はお風呂好きですし、シャワーだけの方が増えたとはいえ、やはりお湯の使用量は多いんです。次に多いのが暖房。例えば外気温が0℃のとき、室内を23℃にしようとすれば23℃分上げなければならない。これは大きなエネルギーが必要です。3番目が冷房。夏にエアコンは贅沢だと言われた時代もありましたが、例えば35℃を27℃にするなら7℃下げるだけでいい。暖房に比べるとエネルギーは少ないんです。
だからランニングコストを抑えるには、まず給湯はエコキュート、ガスならエコジョーズ。特にエコキュートはヒートポンプを使うので効率が高い。そして暖房もヒートポンプ式のエアコンが最も省エネです。さらに断熱・気密性能を高めること。ここにコストをかけても、光熱費削減で十分回収できる可能性があります。例えば4人家族30坪の家で月3万円かかっていた光熱費を1万円未満にできれば、月2万円、年間24万円の改善。10年で240万円です。つまり240万円以内の性能向上コストなら、ランニングコスト面では有利と言えるわけです。
さらに今はインフレの時代です。電気代も年3%ほど上がっていますし、今後さらに上昇するかもしれません。そこで重要なのが太陽光発電と蓄電池です。5〜6kWで100万円前後。現在は4年間24円での買取制度もありますし、売らずに自家消費すれば実質その単価で電気を使えるということ。将来電気代が倍になる可能性も考えると、長期的には有利です。30年程度は大きな出費なく使えるケースも多いですから、ランニングコストを固定化する「先物買い」のような感覚ですね。
固定資産税は地域や構造、仕様によって変わりますが、木造でも年間10万〜20万円程度、都市計画税があればさらに加算。月にすると1万円以上です。火災保険も構造で変わります。鉄筋コンクリートは安いですが建築コストは高い。木造でも省令準耐火構造にすれば保険料を抑えられます。ただし構造表しなどデザインを優先すると適用できないこともあるので注意が必要です。
そして大きいのがメンテナンス費用。例えば外壁を12年ごとにメンテナンスすると、60年で5回。1回150万円なら750万円。屋根も24年ごとに100万円なら2回で200万円。合計約800万円。60年で割ると年13万円、月1万円強は積み立てておく必要があります。マンションでは修繕積立金を払いますが、戸建ては自分の意思次第。だからこそ毎月積み立ててほしい。積立NISAなどで運用すれば、将来の備えにもなります。DIYで費用を抑える工夫もできます。平屋なら足場なしで塗装できることもありますし、ウッドサイディングも手入れ次第で長持ちします。
最後に医療費。断熱・気密性能を確保し、換気や空気浄化にも配慮する。例えば集塵装置を入れることでアレルギーや風邪のリスクを減らせる可能性があります。暖かい家、涼しい家は女性や子どもの負担を減らします。僕も64歳になりますが、年齢を重ねると在宅時間が増えます。だからこそ住環境は医療費にも影響するんじゃないかなと思います。
金利が上がり、イニシャルコストに目が向きがちですが、これからはランニングコストが生活の質を左右します。目先の安さではなく、トータルで豊かになる視点を持っていただければ、家づくりの幅が広がるんじゃないかなと思います。ぜひ参考にしてみてください。


