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結露を引き起こす「熱橋」について解説します

今日のテーマは結露です。結露には目に見えるものと、目に見えないものがあります。今回は目に見えない結露で、それが発生する原因となる「熱橋(ヒートブリッジ)」についてhお話しします。

スケッチを見てください。
木造の建物の骨組みは、柱があって梁があって組まれています。
今の時代は耐震性を非常に重んじてるので、骨組みの接合部に鉄の金物を使って充分な補強をします。一方で、それが故に大昔の家ではあまりなかった、目に見えない所の結露が起きやすくなっています。これがヒートブリッジなんです。

例を1つ挙げます。柱と梁を引っ付けてる接合部の断面図と2階の床を支える梁の断面図を描きました。

直行した梁がぶつかる所は“ほぞ”が切ってあって、木と木が接合しています。地震とかで大きい力が加わったとき、ここが抜けてしまわないよう、羽子板のような形をした金物を埋め込んでいるんですね。

この金物は、水平方向の梁に対してはボルトとナットでグッとしっかり緊結しています。垂直方向の梁に対しては奥に通してあって、外周側からボルトでネジを巻いています。つまり、近くに外気があるので、外が寒ければ、この金物にも冷気が伝わって、水平方向の梁についているボルトとナットにまで届いてしまいます。

例えば外に停めてる自転車のハンドルって、冬になると冷たいですよね。鉄はやっぱり金属なので冷熱をそのまま伝えてしまいます。

垂直方向の梁に通してある金物が冷えるのは結露にあまり関係ないですが、部屋内に入ってくるのは問題があります。部屋内は人がいるから暖房で暖められていますよね。ところが金物は冷たいので温度差が生じます。

「熱橋」という文字を見ると「熱い!!」と思うくらいの熱が伝わっていく橋だと思ってしまいがちです。でも、この場合は冷たいのが伝わっていって、ここの表面温度を下げるんです。そうすると温度差が生じます。人が過ごす空間には水蒸気が発生していますよね。また建物が持ってる元来の水分とかがあると、表面に結露が発生します。これが典型的なヒートブリッジの1つの現象です。

これに関しては対策をしていないといけないです。
表面結露が発生しても短い期間で気がつけばいいですが、寒い時期というのは大体3ヶ月ほどありますよね。しかも天井の中とかにあって見えないところで進行しているので、気が付いたときには天井にシミができていたり、ひどいと「雨漏りしてる?」となってしまいます。

ちゃんとした施工をされてる会社さんは心配ないですが、これから家を建てられる方は、担当者の方にヒートブリッジについてどういう対策を取られているのか聞いてみてもいいと思います。

先程のボルトやナットに対して、モリシタがよくおすすめしている対策が2つあります。1つはウレタンとかで断熱材の被覆を付けるものです。海老天の衣みたいな感じですね。

もう1つのおすすめが外側を座堀して、丸い断熱材のキャップをピタッと付けるものです。これはキャップするだけなので簡単です。さらにモリシタでは、このキャップの上に気密テープを貼ります。貫通部は隙間の要素にもなるので、断熱をちゃんとしたうえで気密テープを貼ると、より強力になります。それに仕上がりもきれいです。

ウレタンを吹き付けるのは、結構技術が必要です。なかなか均一にできないです。なので、僕は個人的にキャップと気密テープの方がいいと思っています。
金物が入るところは表面の被覆がちゃんとできてないと、のちのち結露の原因になることがありますので知っておいていただきたいです。

このお話をしたうえで、うちの会社は柱・梁の中の隙間に充填断熱というものをしています。グラスウールとか繊維系の断熱材を入れています。

そうするとスケッチのようになります。(実際の骨組みは、この絵よりも細い柱とかを使って細かくできています。)緑色で描いたところのように、隙間に断熱材を入れているんですね。

この図を見たとき、人によっては、「金物だけじゃなくて、もっと広範囲なヒートブリッジもありますよ」という話をされることがあります。
それはどういうことかと言うと、天井付近の断面図を見ながら解説していきますね。

まず柱があって、間に断熱材が入っています。木部と断熱材というのは、熱伝導率というか熱抵抗値というものが違います。木は鉄ほどは弱いことはないですが、断熱材に比べたら劣ります。なので冬場の寒い夜とかにサーモグラフでみると、骨組みと断熱材が色が違うんですね。ということは「この木もヒートブリッジじゃないですか?だから充填断熱はダメじゃないですか?」とおっしゃっているのだと思います。

それはおっしゃる通りです。ただ、間違いではないのですが程度の問題でもあるんです。

例えばモリシタでは、今、外壁の性能を検査するのに、いわゆる「U値」というものを算出してお客様に説明をしています。で、それを合計したものを「UA値」と言って、1軒の家の断熱性能を数値化する目安で作っています。

この「UA値」は、弱いところと強いところの合算で、ちゃんと計算をしています。
なぜなら1軒の家には、どれだけ外断熱をしっかりしていても、充填断熱をしっかりしていても、必ず窓がありますよね。窓というのは絶対に、外壁と比べて熱抵抗値が弱いです。

弱いところもあり強いところもあるのが1軒の家というものです。なので外断熱のUA値=0.5という家があった場合、充填断熱が0.5という家は熱橋があるから弱いということではなく、アベレージで同じであれば同じ性能ということになります。

これを把握していないのに恐怖心を煽るような説明をする人が時々いらっしゃいます。あまり知識のない営業の方が言うことがあるので、それに巻き込まれないようにしてほしいです。

「たしかにヒートブリッジは怖いけれど、あくまでアベレージで、家の性能は見ないといけないですよ」というのが僕の意見になります。

その上で充填断熱をしていても「ここの柱の所のヒートブリッジが嫌だな」と思ったときは付加断熱という形で対策ができます。外側にもう一重断熱材を包む感じですね。外断熱と充填断熱の複合になります。僕たちは付加断熱という言い方をしますが、営業的にはダブル断熱なんて言い方をすることもあります。そういう選択をするとより良いです。

僕らが住む姫路の6地域の感覚で言うと、夏場はあまり付加断熱の恩恵は感じないです。でも真冬の寒い時は、暖房を付け始める時間が1〜2時間変わります。その分ダイレクトに光熱費が変わりますので、やっぱりやるだけの値打ちはあります。

ただ暖房を付けている限りは暖かいので、住んでいても実感しにくい部分はあると思います。なので壁のヒートブリッジに関しては「それぐらいのものなんだ」という風に思っていても大丈夫です。

この話は本州で6地域であることが前提です。長野県とか北海道のような、ものすごい寒い地域に家を建てる場合は話が変わりますので、住むエリアを考慮して担当の方などに相談をしてください。

その上で今日最後のトピックとして、ヒートブリッジで何気に怖いのは屋根があるというのをお伝えしておきます。

屋根を瓦にしてもコロニアルにしても、どちらにせよ野地板には釘止めというものをします。(わかりやすく説明するために、スケッチをでは大げさに描きました)

建てられた家を見ると釘が野地板からポチョポチョっと出ていたり、裏から回って見ると屋根の瓦を留めたりコロニアルを留めてる釘が見えることがあります。これがヒートブリッジの原因になることがあるんですね。

今回は天井断熱の家の絵を描いています。
外の屋根の温度と、断熱材が入ってない屋根裏・小屋裏の温度って、びっくりするくらい違います。日によって差はありますが、僕のイメージだと、日没してグーッと温度が下がったころになると家の中にある余熱が下から上がってきて、温度差が顕著に出ます。

その時に釘の先に結露することがあるんですね。釘がヒートブリッジしてるというやつです。姫路は比較的温暖な地域なのであまり発生しないんですが、ちょっと山間に入った郡部の方とか日本海側とか行ったら結構見られることだと思います。

まだ、こういった知識がない頃、こんな経験がありました。

「雨漏りする」という連絡が来たので確認をしに行ったんですね。でも、上から水を撒いても何も起きないので、おかしいなぁと思ったんです。でもお客様は「夜になったら雨漏りするんだ」とおっしゃっています。夜に雨は降ってないので、ますますおかしいなぁと思って調べたら、釘を伝って露がポタポタ落ちてて、それを雨漏りだと勘違いされていたんですね。雨漏りではなく結露水でした。

そのときは「釘の頭を発泡ウレタンか何かで全部潰したほうがいいよね」「たくさん釘を入れているから大変だけど、そうしようか」となりましたが、今はもっと簡単な対処方法があるのでご紹介します。

建てた家に人間が住んでいれば、呼吸とか料理などで部屋内には水分が発生しますよね。この水分は上に上がろうとします。で、上がって小屋裏に入った場合、部屋と小屋裏に温度差があれば湿気となって表面に悪さをします。

ここで大切なのは、小屋裏に水蒸気が入って行かないようにカットすることです。なので天井面に気密シートを貼ってバリアします。

現代の家づくりでは気密性を重視していますから自動的にできている話になりますが、昔の家だと断熱材は厚くしていても、気密はあまり考えていない家が多くありました。

その家に関しては内側に気密シートを使うと、温度差は緩和しにくいですが、水分を抑えることができるので結露の助長をある程度食い止めることができるようになりました。

完璧にしようと思うと熱橋止めのために、付加断熱とかも必要ですが、今お伝えした方法でも深刻は被害は回避できたという事例があるので知っていただければと思います。

天井面だけじゃなく、間仕切りの上とか外壁の上とかも、気流止めみたいな感じで湿気が上がらないようにしたほうが良いです。

以前、別の動画でも解説しましたが、屋根型のヒートブリッジを緩和したり、阻止するためには、暖かさをキープするのも重要だけど気流止めも重要という話をしました。

▼壁内結露を防ぐ「気流止め」をチェックする
https://www.m-athome.co.jp/movie/kiryudome_check

▼暖かい家の基本中の基本「気流止め」を解説します
https://www.m-athome.co.jp/movie/atatakai_kihon_kiryudome

これらを知っておくと、より快適で、不具合が起きない暖かい家ができると思いますので参考にしていただければ思います。

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