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佐藤先生からの提言:地震による地盤の被害に備える

今回は地震による地盤の被害に対する備について解説します。

今回も、2024年元日に起きた能登地方の大きな地震に際して、地震に備える家づくりについて、佐藤先生が提言されている「地盤被害に備える」というテーマで解説をしていきます。

地盤被害ってみなさんわかりますか?今回報道で、トピックに液状化という言葉がありました。私が住んでいるのは兵庫県ですが、1995年の阪神淡路大震災の時も、主に神戸周辺で液状化で被害が大きくなったとか、メリケンパークのところがぐちゃぐちゃになったということがありました。

他にも、千葉県のディズニーランドの近くで液状化が起きたとか、新潟も液状化の話をよく聞きます。特に新潟は”潟”と書くぐらいなので、そういうことが起こるとよく聞きます。

地震に対しては2つの着眼点があります。1つは当たり前のことですが、家が丈夫なこと・耐震性が担保されていることです。同時に、それだけでは対策半分みたいなもので、どういう地盤の上に建てようとしているのかという着眼点もあります。今日はこれをテーマに聞いてもらえたらと思います。

佐藤先生もおっしゃっていますが、地震の地盤被害は大きく3つあります。

1つ目が土砂崩れです。裏が山・崖で、それが崩れてきて土砂が襲ってくることです。

2つ目が地割れです。よく漫画で、地震が起こってバーッと地面が割れるということがありますが、本当にあるんです。家がそこにずり込む時もあれば、車・人が落ちることもあります。

3つ目が、冒頭に申し上げました液状化です。

僕が思うには、1つ目の土砂崩れと類似というか、同じグルーピングでいいかはわかりませんが、津波被害も挙げられると思います。今回も津波は恐ろしかったです。津波も立地の特性によって被害の受けやすさが違うと思います。

1つ目の土砂崩れ・津波と、2つ目の地割れは、これが発生したら、地震に備える要件の1つである耐震性がどれだけ高くても、被害を受けてしまいます。鉄筋コンクリートの家なら耐震性があるかもしれませんが、地盤に問題があったらポンとひっくり返ることもあります。

それに対してどう備えるべきか、まずは情報収集するかについては、1番の土砂崩れ・津波、3番の液状化に関しては、何と言ってもハザードマップをよく見ておくことです。

水害に関してハザードマップを見る人は結構いますが、地震・津波・土砂崩れに関してはハザードマップを見ない人がいる印象を受けます。

今回も、能登の地震で被害の状況がわかってきてから、改めて能登地方周辺のハザードマップを見てみました。すると、見事なまでにハザードマップに警告が記載されていました。ハザードマップは伊達や酔狂で作られているものではないので、よく見ておく必要があると思います。

ハザードマップを見ていただいて土砂崩れ・津波の危険がある場合は、様々なご事情や愛着問題もあると思うので、私ごときが言うようなことではないかもしれませんが、そもそもそこに家を持つべきなのかという検討もあると思います。

ただ、1つ対応の可能性がゼロではないのが液状化です。

液状化とはどういうことか説明します。液状化は、一般的には砂質土、要は砂が堆積された地盤でよく起きると言われています。つまり、海・川などの水源が近い所で起きやすいです。

もう少し詳細に説明します。砂の地盤は、砂の粒子が数珠つなぎのようになっていて、その数珠つなぎの間に空間があります。その空間の中に水分が侵入して、なんとなく地盤が安定している状況なんです。

ここに大きな地震力が短時間、あるいは長時間かかると、砂と砂の隙間がグチャッと潰れて下の方に固まってしまいます。粒と粒がギュッと圧縮されて、圧縮されるとすき間に持っている水分が押し出されるので、上側に水が湧くような状態になります。こういう状態を「液状化した」と言います。

絵で描くと、このように建っているお家がふにゃっと波に乗ったような感じになり、部分部分に水が湧き出すようなイメージです。

液状化すると、家が傾くことも辛いです。しかし家が傾かなくても、水道管・排水の下水管が追随できずにパキッと壊れることもあります。

家は何とか処置がしてあって耐えられたけど、周りの水道管・下水管は修理しないといけない、ということになります。これはなかなか大変で、その現場に行くまでの道路がうねうねになっていたり、液状化+地割れのようになることもあります。

これから自分の家を建てようと思っている方は、土地を買う前にまずはハザードマップをしっかり見てください。液状化はもちろん、土砂崩れ・津波の被害をどれくらい受ける可能性があるのか、しっかり見ておいてください。

見方には2つの方法があります。まずはハザードマップや地形がよくわかるものを見る方法です。最近はGoogleマップなどの便利なものもあり、こういうもので液状化の可能性を示す地形がないかどうか確認できます。

例えば有名なところでは、私が学生時代に住んでいた広島の街は川が多いです。広島の街は三角州にありますが、そういう所は長い時間をかけて川砂が堆積して地盤が作られているような背景があり、液状化する可能性があります。

2つ目に、液状化の履歴・歴史を確認することです。液状化した記録がある所も、要注意な箇所として見ることができます。

誤解なく言っておきたいのは、液状化の危険度が高いか・低いか、要は発生率みたいなものは、ハザードマップを見ればわかります。しかし、発生率が高いからといって、被害が大きいか否かはわかりません。家の性能や、地震の特性にもよります。

逆に言うと、発生率が低い所だからあまり被害が出ないと思っていたら、意外に大きな被害に遭うこともあります。液状化が起きる可能性がある所は、よく見極めておく必要があります。

それから、歴史が経って平野部が長い場所は、昔は砂質土だったけど今は海は随分彼方に行っているけど、うちの家は大丈夫なのか?と思う人もいると思います。

液状化の問題だけではなく、地盤の地耐力や地盤の強度は、家を建てる際に見ておくに越したことはありません。その時におすすめしているのが、スウェーデン式のサウンディング試験です。SWとか、スウェーデン標準介入試験などと呼ばれています。

どういうものかというと、

T字型の取っ手が付いたような長い道具で、先が矢じりのようにドリルになっているものを使います。これをクイッと回すと、先がドリル状なので地面に入っていきます。

地面に入っていくときに、矢じりに重りをつけておきます。25kg・50kgなどと何段階かに分けてつけて、軽いものをつけてグリッ、もう1つつけてグリッとしていきます。そうしていく中で、どのように深さが沈んでいくかを以って地盤の状況を測る試験です。

割とシンプルなやり方ですが、なかなかよくわかる試験です。ビルを建てる時はボーリング試験といって、井戸を掘るように筒状に地層をスポッとサンプリングで引き抜きます。ここまで大変ではなくて簡易ですが、これはこれで精緻な結果が出てくる試験です。

その時、土は全て同じ性質ではなくて、ミルフィーユのように何層かになっています。途中まではグリッと捻ってスッと下がる感じなのが、ある段階でグリッと捻る前に、重りをつけているだけで下がる層に遭遇する時があります。これを自沈といいます。

そうすると、この地盤は注意がいるかも、という見立てになります。例えばこれが砂質土の地盤だったら、液状化の検討が必要です。田んぼのような粘土層の時は、液状化よりも圧密沈下の危険があり、建物を建てた時にどちらかが沈んで傾く可能性が考えられます。

自沈しなくても、その地盤はどれぐらい支持力があるのか、沈み方で推定できます。地体力が3tしかないとか、5t以上あるとか、もっとあるとか、いろいろとわかってきます。

液状化の危険が疑われる時には、対策は2つあると言われています。1つは、液状化そのものが発生しにくい状況にすることです。

地中のいろんな箇所から、水を無理矢理抜いておけば、液状化しにくくなります。これは割と大掛かりな方法です。公共の建物であれば実施する予算もあるかもしれませんが、個人でやるのはしんどいと思います。

もう1つは、液状化して建物がうねりに乗り込まれても、傾いたり沈んだりしない対策をやることです。

液状化する層は地球の中心まであるわけではなくて、どこかで硬い層にあたります。その硬い層のところまで、杭状・柱状に地盤を改良する方法です。

中には鋼管杭を打つような対策をする人もいるかもしれませんが、柱状改良といって、オーガーという大きなドリルでくり抜いて、セメントミルクを混ぜて、人工的なコンクリートの杭を作って補強する方法です。

このようなことで、建物は保持できます。ひょっとしたら周りの配管はある程度被害を受けるかもしれませんが、それでも家が損傷するよりは軽微なものだと思います。

これから家を建て替えるんだけど、うちの家は液状化しそうな所だという時には、「もうこの地を去らればならぬか…」となるのではなくて、このような対策をしてください。新たに土地を買うお金に比べたら、そんなに掛からないと思います。杭を打つ柱状の地盤補強で建物を支持すれば、安全に暮らす方法が取れるということです。

冒頭で、土砂崩れ・地割れがあった時には耐震性能が高くても被害を受ける、という話をしました。しかし耐震性能が高い家は、剛性と言って強く、変形しにくいんです。

仮に地盤が粘土層で、圧密沈下して家が傾いた時は、基礎がしっかりしていればジャッキアップができて、斜めになった家を水平に戻すことができます。どちらにしても復旧しやすくなるという、非常に良いメリットもありますので、耐震性のしっかりした家を建てることと、地盤の特性をしっかり見ておくことが重要です。

地盤の状況はスウェーデン式の検査もできますが、先日の動画でも申し上げましたように、もっと精緻な試験もあります。そういうものもぜひ合わせてやっていただいて、みなさんの関係される土地に関する液状化の対策として、手を打っていただけたらと思います。

ぜひ参考にしてください。

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