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原油高に左右されない、注目の断熱材セルロースファイバー。

実は今、中東情勢の悪化といいますか、そういう問題でナフサが不足しているということは、みなさんもご存じだと思います。実際に僕たちの建築業界でも、なかなか資材が入ってこないとか、先が読めないという情報がたくさん入ってきています。国は「足りていますよ」と言っているんですけど、実情としては物が入ってこない、あるいは手に入らないという状態が続いているとよく聞くんですよね。あとは怖いのが値上げです。いろんな材料が毎週のように何%上がるというFAXが私どものところにも流れてきています。その中で特に気になっているのが断熱材です。やっぱり断熱材がないと、本当に工事が先に進まないんです。だから、いろんな業者さんも断熱材を集めている、そんな状況だと思います。今回は、私たちが注目している断熱材をご紹介したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

今回、私がオススメといいますか注目しているのが、この断熱材です。「セルロースファイバー」といいます。ここにも書いてありますけど、原材料は新聞紙や段ボール、木片のチップをすごく細かく裁断して、そこに腐らないように、また多少の防火性を持たせるためにホウ酸を混ぜた断熱材なんです。実は昔からある商品なんですけど、最近は自然派志向の方を中心によく注目されていると思います。ただ、まだまだ大々的には知られていないと思いますので、今回はセルロースファイバーのメリット、そしてデメリットをお伝えしたいなと思います。

まずセルロースファイバーのメリットなんですけど、こちらに書いてある5つです。1つ目が施工性、2つ目が耐火性、3つ目が調湿性、4つ目が防虫性、5つ目が遮音性になります。他にも細かい特徴はたくさんあるんですけど、よくこの5つの性能が優れていると言われています。ここから1つずつ説明していきます。

まず1つ目の施工性なんですけど、この断熱材は吹き込み施工が可能なんです。普通のグラスウールでしたら、大工さんが手で材料を入れていくのが一般的なんですけど、このセルロースはまず壁にシートを貼って、そのシートに小さな穴を開け、掃除機のようなノズルを差し込んで中へ吹き込んでいくイメージです。かなり強い圧力で吹き込むので、隅々まで断熱材が入りやすいんです。どうしても手作業だと大工さんの意識や技術で施工精度に差が出ることがありますが、吹き込み施工なら、もちろん熟練の職人さんと経験の浅い職人さんでは多少差はあるかもしれませんが、一定の経験を積んだ職人さんならムラなくしっかり施工しやすいんです。現場には大きな新聞紙の塊のようなものが届いて、それを手でほぐしながら機械へ入れ、ホースを通して勢いよく吹き込んでいくという施工になります。ですので、施工性が高く、隅々まで断熱材が行き届きやすいのが1つ目のメリットです。

続いて2つ目が耐火性です。原材料が新聞紙や段ボール、木だと聞くと「燃えるんじゃないの?」と思いますよね。すごく燃えそうなイメージがあります。でも、そこへ先ほどもお話ししたホウ酸を混ぜているんです。そのため、火をつけても燃え広がりにくく、炎が出にくいという特性があります。

僕がここで説明するだけではなかなか信じられないと思いますので、以前、倉庫で実験した映像があります。代表的な4種類の断熱材を並べました。スタイロフォーム、発泡ウレタン、グラスウール、そしてセルロースファイバーです。この4つに同じ時間だけバーナーで火を当てて比較してみました。

スタイロフォームは比較的すぐに溶けて向こう側まで貫通してしまいました。熱にはあまり強くない断熱材です。次の発泡ウレタンは、映像でも勢いよく火が出ていました。自己消火性があると言われていますので、時間が経つと火は収まっていくんですが、火が当たった瞬間はバーッと炎が上がるので、ちょっと怖いなという印象があります。次がグラスウールです。こちらは火はほとんど出ませんでした。スタイロフォームよりは熱に強いんですけど、長時間火を当てると穴が開いてしまいます。そうなると、その穴を通って火が広がる可能性があります。最後がセルロースファイバーです。これは表面が黒く炭化するんですが、火はほとんど出ませんでした。

さらに面白いのが、その黒くなった表面を削ってみると、中は新品のような状態で残っているんです。つまり表面だけが炭化して、中までは火が進んでいないということなんですね。これもホウ酸の効果と言われていますので、防火性が高いというメリットがあると思います。こうして比べると、その違いがよく分かる実験だったと思います。

続いて3つ目のメリットは調湿性です。何度も言いますけど、もともと木を原料としているので、木と同じように湿気を吸ったり吐いたりする性能があります。グラスウールにもある程度そういった性能はありますが、それよりも優れていると言われています。ただ、これを使えば結露しないという話ではありません。壁体内結露というのは断熱材だけで決まるものではなく、その先にどんな板を張るのか、どんなクロスを使うのか、外壁がサイディングなのか塗り壁なのか、そういった透湿抵抗の組み合わせが非常に大切です。一般的には冬型結露が心配と言われてきましたが、最近の暑さを考えると夏型結露もしっかり考えていかなければいけません。その上で、材料として調湿性を持っているというのは大きな特徴だと思います。

続いて4つ目が防虫性です。これもホウ酸のおかげなんですが、昔はホウ酸団子をキッチンなどに置いてゴキブリ対策をしていましたよね。ホウ酸には害虫を寄せ付けにくい性質があります。また、調湿性があることでジメジメしにくく、カビの発生も抑えやすくなります。これはうれしいポイントですよね。ゴキブリが苦手な方にもメリットがあると思います。

最後が遮音性です。この遮音性こそ、セルロースファイバーを有名にした性能と言ってもいいと思います。細かい木繊維が音をしっかり吸収してくれるので、外へ音が漏れにくくなりますし、反射ではなく吸収するので室内でも音が響きにくいと言われています。

実際に簡単な実験をしてみました。壁の厚みを再現した約10cmの箱を用意して、中に防犯ブザーを入れて音を鳴らします。まず高性能グラスウール10cmで覆ってみると、音は小さくなるんですが、まだしっかり聞こえます。次に同じ厚みのセルロースファイバーを載せてみると、全然違います。かなり耳を澄まさないと聞こえないくらいまで小さくなります。今回は実験用なので完全に密着していませんが、しっかり密着すればほとんど聞こえなくなると思います。やっぱり遮音性は非常に高いので、シアタールームや防音室などの壁に使うだけでも、一定の効果が期待できるんじゃないかなと思います。

ここまでセルロースファイバーの特徴を5つご紹介しましたが、もちろんいいところばかりではなく、デメリットもあります。大きく分けると2つあります。

まず1つ目は初期費用が高いことです。材料代もありますが、専用の職人さんが施工する必要があるので、施工費が一般的な断熱材より少し高くなります。昔は2〜3倍くらいと言われていましたが、最近は普及が進み、使う会社も増えてきました。大量に施工する会社では単価も下がっています。うちも屋根は必ずセルロースを使っていますので、今では2倍も差はないと思います。

さらに最初にもお話ししたように、一般的な断熱材も3〜4割ほど値上がりすると言われています。そうなると家全体の初期費用は上がりますが、グラスウールとの価格差は以前ほど大きくなくなってくると思います。また、セルロースファイバーは日本国内で調達できる材料が多く、ナフサの影響を受けにくいとも言われています。もし今、断熱材が入らず困っている方や、これから着工を迎える方でしたら、セルロースファイバーへ変更することで工期を守りやすくなる可能性もあります。そういう選択肢もぜひ視野に入れていただければと思います。

もう1つのデメリットは、経年変化による沈下です。吹き込んだ断熱材は自重がありますので、特に壁では年数が経つと少しずつ下がると言われています。そうなると上部に隙間ができてしまう可能性があります。ただ、これも施工方法や材料の改良によってかなり軽減できるようになっています。

一般的には密度50〜60kg/㎥程度、あるいは62〜63kg/㎥くらいで施工する会社が多いそうですが、うちの職人さんは65kg/㎥くらいになるよう調整して施工していると言っていました。ただ、詰め込みすぎればいいというものでもありません。断熱材は材料の間に適度な空気層があることで本来の性能を発揮します。そのバランスを崩さない範囲で、自重による沈下を防ぐよう施工することが大切なんです。

また最近では、セルロース自体にデンプンを混ぜた製品もあります。デンプンが糊のような役割をして木材へ付着するため、自重で落ちることがほとんどなくなると言われています。そういった製品を使えば、このデメリットもかなり小さくできるのではないかと思っています。

ナフサの影響で材料が入らなかったり、高騰したりというのは、僕たち建築業界にとって本当に大きな問題です。でも見方を変えれば、影響を受けにくい材料や、日本で作られている材料を見直す良い機会でもあると思います。そこから新しい発見や、新しい材料との出会いもあるかもしれません。僕たちも根気強く情報を集めながら、お客様にできるだけご迷惑をおかけしないよう努めていきたいと思っています。もし今、家づくりで悩まれている方やご心配な方がおられましたら、会社の担当さんにぜひご相談いただいて、少しでも良い解決策を見つけていただければと思います。

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