真四角の家にねじれ屋根。個性的な外観と動きのある空間。
今日は、このモデルハウスの屋根の形状についてお話ししたいと思います。
この屋根、すごく独特な形をしていますよね。実はここ、設計の中でも一番悩んだ部分なんです。本当に最後の最後まで悩みました。というのも、この建物は6m×6mの正方形になっていて、普通であれば真ん中に棟を通して、両側に切妻で落としていくような形がセオリーなんです。あるいは片流れで屋根を上げるとか、そういう形が多いんですけど、今回はそれをしたくなかったんですね。
1つは、外から見た時のファサードというか、外観を意識したかったということ。そしてもう1つは、中に入った時にどう感じるかを大事にしたかったんです。そこで今回チャレンジしたのが、対角線上に棟を乗せる形です。こっちとこっちに向かって梁が通っていて、この柱一本で支えているんですけど、向こう側は三角に屋根が落ちていくような形になっています。反対側も同じですね。
こういう三角で落ちていく屋根にすると、低いラインがそんなに多くならないんです。普通に真ん中で切妻にすると、低い高さのラインがこの辺にずっと入ってくるんですけど、今回は対角にしているので、落ちてくる部分が三角の角みたいになるんですね。だから空間が広く感じられるんです。ちょっと変わった、何とも言えない空間に仕上がったかなと思っています。
ただ、これは実際に見てもらわないと、本当の良さがなかなか伝わらないかもしれません。ちょっとここに模型がありますので、簡単にご説明します。これが北側の正面から見た形で、ここに尖った棟があります。そして、こちら側から見たファサードがすごく綺麗というか、少しおしゃれな雰囲気に見えるようにしています。
でも、この屋根ですごく悩んだのが樋なんです。普通だったら、既製品の屋根は棟があれば両側に真っ直ぐ樋がつきますよね。でも今回は対角に棟を持ってきているので、こちら面とこちら面に向かって屋根が下がっていくんです。ここが一番低い尖った部分になるんですけど、樋をここにもここにもかけないといけない。しかも、下がっていく形に合わせて取り付ける必要がありました。
さらに一番大きな問題が、この角なんです。雨が降ると、水はこう流れていきますよね。この部分は距離が一番長くて、しかも樋もここで角になるので、水がものすごい勢いで集まって落ちてくるんです。既製品の樋だと、水がそのまま飛び越えて、お隣の敷地に流れてしまう可能性もある。それがすごく悩ましくて、板金屋さんともかなり打ち合わせを重ねました。
工事中には、実際に屋根ができた段階で水を撒いて、どれくらいの勢いで流れるかを確認したんです。それを見ながら最終形状を決めました。屋根はガルバニウム鋼板なんですけど、しっかり雨が降って水の膜ができると、わりとスーッと流れてくれるので、普通の樋でもあふれることはなかったんです。でも、夏のスコールみたいに急にバーッと降ると、乾いたガルバが濡れるまでの間、水が粒で跳ねるように流れていくんですね。すると樋を飛び越えて、水がバンバン外へ出ていってしまうんです。
だから、どこまでの距離なら樋にちゃんと入るのか、そして角に近づくにつれて勢いが増す水をどう収めるのか、そこが本当に難しかったです。最初は「樋を大きくすればいいやん」という案もあったんですけど、そうするとデザイン的にすごく重たく見えてしまう。樋だけが大きくなって、全体のシャープさがなくなってしまったんです。
最終的には、この角にカバーを付けることにしました。雨が勢いよく流れてきても飛び出さないように、板金で専用のカバーを作ったんです。そうすることで、お隣さんにご迷惑をかけることもなく、きれいに納めることができました。既製品を使いながら、難しい部分だけは職人さんの知恵と技術を借りて収めていく。こういうのが、ものづくりの楽しいところだなと思いますし、新しいチャレンジでもあります。
今回のモデルハウスでは、それがうまくいったかなと思っています。新しいことに挑戦すると、必ず課題も出てきます。でも、それによって「これができたなら次はこういう形もできるかな」と、どんどん可能性が広がっていくんです。このモデルハウスづくりは、本当に良い経験になりましたし、実際に中から見た時に「こういう風に感じるんや」というのも、作ってみないと分からないことでした。
やっぱり、僕ら自身が体感してみないと、本当の良し悪しというのは分からないんですよね。だからこれからも、どんどんこういうチャレンジをしていきたいと思っています。
ぜひ実際に来ていただいて、この空間の感じを体感していただきたいです。模型や写真、画像だけでは、本当に伝わらない部分が多いんです。どんな形なのか、なかなかイメージしづらいという方もいらっしゃると思いますので、ぜひ実物を見て感じていただいて、皆様の家づくりの参考になれば嬉しいなと思います。


