斜め配置が生む「4つの庭」 それぞれが持つ役割とは?
今回は建物と庭の関係についてお話ししていきたいと思います。建物と庭ってどういうことなんですか、というところなんですけど、家づくりっていろんな要素があって、考えないといけないことも多いですよね。その中で僕らがすごく大事にしているのが、建物の設計はもちろんなんですが、庭のつくり方やその関係性なんです。外構の計画ひとつで家の見栄えって大きく変わってしまいますし、よくあるのが、家はすごく立派なのに外構が整っていないと、どこか残念な印象になってしまうこともある。一方で、家自体はシンプルでも外構がきれいだと「いい家だな」と感じたりもするんですよね。だからこそ、この関係性がとても重要なんです。今日はそのポイントも含めてお伝えできればと思います。
まずここもモデルハウスなんですが、特徴的なのが建物の配置です。これまでの動画でもお話ししてきましたが、配置というのは本当に大事なんです。こちらは離れのガレージなので道路に対してまっすぐ建てていますが、奥の母屋のほうはあえて建物を斜めに振っています。そうすることで、敷地の中に庭のためのスペースをつくってあげることができるんですね。そして重要なのは、そのできたスペースにどんな役割を持たせるかということなんです。少し難しく感じるかもしれませんが、実際に見ていただくとすごくシンプルなので、順番にご説明していきます。
ここは玄関へ続くメインの通りで、お客様はインターホンを鳴らして入ってこられる場所です。建物が斜めになっているので、ここに三角のスペースができていますよね。ここを僕らはコミュニティスペースと呼んでいます。どういう役割かというと、地域の人とゆるやかにつながる場所なんです。道路から玄関までの距離感なので、あまり奥に入らずに済んで、心理的なハードルが低いんですよね。例えば小さなお子さんがいらっしゃるご家庭だと、ここにプールを出して近所の子どもたちが集まったり、お母さん同士がベンチに座っておしゃべりをしたり、そんな使い方ができます。椅子を持ち出して気軽に会話するのにもいい距離感ですし、お隣さんとのちょっとした会話の場にもなります。最近の外構はどちらかというと閉じたつくりが多いですが、こうした場所がひとつあることで、ご近所との関係も自然と良くなって、暮らしの豊かさにつながるんじゃないかなと思います。なのでここにはベンチやシンボルツリーを配置して、そういう使い方をイメージしています。
そこから奥に進むと、今度はプライベートな庭の空間に切り替わります。入っていくと意外と広がりを感じるんですが、これも建物を斜めにして三角形のスペースをつくっているからなんです。ここは日当たりもいいので、設計段階からウッドデッキにしようと決めていました。ウッドデッキにするということは、必然的にここに面するのはリビングやダイニングになりますよね。こういうふうに外の空間から考えて中の間取りをつくっていくと、内と外のつながりがとても自然になります。間取りを先に決めて後からウッドデッキをつくるという方法もありますが、できれば空間を先に見つけて、そこに何を置くかで中を考えるほうが一体感のある設計になるんです。
このウッドデッキは広めにとっているので、ご家族や親しい友人と過ごす場所になります。バーベキューをしたり、天気のいい日はラグを敷いて寝転んだり、すごく気持ちのいい時間が過ごせます。すぐ隣がダイニングでキッチンも近いので、食材の出し入れや片付けも楽なんですよね。こうしたアクティブな使い方をする庭なので、僕らはここをアクティブコートと呼んでいます。周囲の視線もあまり気にせずに楽しめる、そんな庭です。
さらに進むと、もうひとつ別の庭の空間があります。こちらは南側ですが建物に挟まれているので、夏は日が入るものの冬は影になりやすい場所です。その特性を活かして、ここはやすらぎコートとして計画しています。あえて植栽を入れて、落ち着いて過ごせる空間にしているんです。天気のいい日には椅子を置いてコーヒーを飲んだり、読書をしたり、風を感じながらゆったり過ごせる場所ですね。植栽があることで緑を楽しめますし、葉っぱが揺れる様子を見ていると「風を感じる」だけじゃなくて「風が見える」という感覚にもなるんですよね。以前お客様からそういう表現をいただいて、すごくいいなと思いました。日が当たりにくい場所でも育つ常緑樹などを選び、きちんと手入れをすることで、こうした楽しみ方ができる空間になります。そしてここで大切なのが、リビングからこの庭をしっかり見られるように窓を切っていることです。外でも楽しめて、中からも眺めてほっとできる、そんな位置づけの庭になっています。
実際にリビングに入ると、そのつながりがよく分かります。窓の外には先ほどの植栽が見えて、午前中はしっかり日が入るのでとても暖かい空間です。ソファにもたれてふと視線を向けると、こちらにも緑があり、正面にはアクティブコートの景色が広がる。こうした連続性は、設計の段階で庭まで含めて考えていないとなかなか生まれません。役割を持たせるというのは、単に用途を決めるだけでなく、こうしたつながりをつくることでもあるんです。
最後にこちらのスペースですが、勝手口側にできた三角形の場所で、僕らはサポートコートと呼んでいます。暮らしを支えるための庭という意味合いですね。ここには給湯器などの設備を配置します。北側の目立たない位置に置くことが多いですが、こうしてあらかじめ場所を確保しておくことで、生活感の出やすいものをうまく隠すことができます。また、自転車置き場としても使えます。自転車って置き場に悩みがちですが、最初から計画しておけば見た目もすっきりしますし、防犯面でも安心です。さらにここにはウッドデッキとつながる通路があり、離れへと続く渡り廊下のような役割も持たせています。上に庇をつけることで、雨の日でも濡れずに行き来できるようにしています。
こうして一周してみると分かるように、庭は家づくりにおいてとても重要な要素です。敷地が限られていても、建物の配置を工夫することで空間を生み出し、それぞれに役割を持たせることができます。全体のバランスを整えることで、「いい家だな」と感じていただける設計につながるんだと思います。そのためにも、最初から外構計画まで含めて考えることが大切です。実際の心地よさは図面や画面だけではなかなか伝わりにくい部分もあるので、これからいい季節になりますし、ぜひこうした空間を体感していただければと思います。お近くの方はぜひ見に来てください。


