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造作家具で選ぶべき木材を解説します

最近、造作家具を作りたいという方が増えています。家具屋さんが作る独立した家具と違って、造作家具は大工さんに作ってもらいます。この時に使う素材に、フリー板と言って、無垢の木を繋いだ集成材があります。これを使って、大工さんにシンプルでカッコいい家具を作ってもらう方が多いです。

造作家具について打ち合わせをしていると、お施主さんから「木の種類ってどんなのがあるんですか?」「何を使ったらいいんですか?」という質問を受けます。少し絞った話になりますが、それについて解説をしていきたいと思います。

フリー板は、僕が知る限りで12種類ぐらいの樹種が流通しています。フリー板と言えば、一番よく使うのがゴムの木。ラバーウッドです。まぁまぁ綺麗な木で、材質としては少し柔らかいぐらいです。加工はしやすいし、釘もビスもよく効きますので、大工さんが使うのに苦にはならないと思います。塗装に関しては、ペーパー掛けをうまくやらないと、逆目になったりしてうまく乗らない時があるので注意です。ごくスタンダードで、使い勝手の良い木ではあると思います。比重は水1に対して0.64なので、やや重たいです。持ったらずっしりします。ある程度の厚みにすれば、たくさんの本を入れる本箱やベンチみたいな物にも向くため、多くの方に好まれます。

今回は、厚み2cm×幅60cm×長さ2mのサイズで、それぞれの樹種の価格を比較します。通販サイトでフリー板を売っている会社を調べましたが、これは完全ではありません。仕入れ先でバラつきがありますから、目安にしてください。ゴムなら大体1枚で2万円ちょっとぐらいします。

次に多いのがタモです。ゴムに比べてやや硬いです。粘りがある感じです。ゴムと同じく加工はある程度できます。釘もビスもよく効くので、個人的にはタモはすごく好きです。優しい木目で、柾目もありますけど、タモの真骨頂は板目のうねりのある木目かなと思います。
ゴムに比べると高くて、3.9万円。タモでやりたいけど、ゴムにするという人も多いです。

次に多いのがメルクパイン(メルクシパイン)です。この木はパインと言うぐらいですから、柔らかくて優しい感じがします。加工もやりやすいし、釘もビスも効かないことはない。予算を抑えて優しい木肌でやりたい人にはいいです。比重は0.4なので軽いです。価格も安いので、目立たない所、例えば下駄箱の棚板みたいな所はパインでもいいと思います。ただ、あまり水に強くないため、土足で水が付くような所には向きません。一定の厚みがあれば気にすることはないと思いますが、注意をしてください。また、パインはややヤニが出やすいです。フリー板は加工してありますが、ヤニを持つ時もあるので、塗装する時には注意してもらえたらと思います。

ここからは和風っぽい感じになります。使用頻度も低めです。まずはアカマツという木です。松の木ですから日本には馴染みが深いですね。アカマツはパインに比べて硬いです。加工は、ゴムやタモに比べたらずいぶんやりやすい。釘も一定効きます。意外かもしれませんが、耐水性があります。例えば茶室の水屋(茶器を洗う所)にも使いますが、その時はフリー板ではなく、1枚物の薄く切ったものを使うことが多いです。フリー板は基本的に、接着剤や組子でくっつけている物なので、バシャバシャ水が掛かる所には向かないです。樹種としては強いということを知っておいてください。比重は0.53なので、ゴムやタモよりはちょっと軽いです。

次がベイトガ(ベイツガ)。これは柔らかいし、加工しやすいです。柾目ですごく綺麗ですが、割れやすいのであまりオススメはしないです。価格が安くて1万7千円台ぐらいなので、今まで紹介した4つの樹種と比べるとグッと安くなります。

そして次がナラです。ナラの木は、フロアにしても家具にしても良いです。重いし硬いし、風格と言うか重厚感があります。高級な家具に使われるので、フリー板でもそれなりの風格が出ます。ただ、この木はとても硬いので、ビスや釘を打つ時に下穴をやっておかないと、ビスが折れたりします。それぐらい強烈です。比重は0.7なので、これまでの樹種で一番重いぐらい。厚い板を使うと、持つのも大変です。大工さん1人で作業できないとなったら、それだけ手間賃も余分にかかるので、そこは考慮してください。価格は46,000円なので、一番高いです。それだけの重厚感はあると思ってください。

次がヒノキ。日本人にはすごく馴染みがありますね。ヒノキは、節があるタイプと節がないものに分かれます。どっちも比重は0.41なので軽いです。アカマツと同じで耐水性があり、水に強いです。一方で、ヤニは結構出ます。「ヒノキのいい香り」と言うじゃないですか。いい香りがするのはヤニがあるからです。樹脂の成分が匂うんです。これは2.8万円ぐらいなので、極端に高くはない。物によっては節が目立つのもありますが、節が味というのもあるので、そういうのが好みの人は使ったらいいと思います。和風にも使えます。そして節がないタイプ、無節です。これは柾目ですごく綺麗です。耐水性もあります。しかしこれもヤニが気になるので、そこは割り引いて考えておいてください。

フリー板は、多くの場合ペーパーやすりをかけて表面を整えることが多いです。ヒノキやベイトガみたいな物に関しては、かんなをかけてもらう方が木肌が綺麗になるかと思います。これは大工さんの力量や、やってきたキャリアにもよるので、全ての方ができるとは限りません。実際に現場が始まったら、相談されてもいいかなと思います。

次は、ヒノキと来たらスギですよね。スギはとにかく軽いし、加工しやすいです。ただ、ヒノキに比べるとやや割れやすい。意外だと思いますけど、ゴムやタモなど硬い木に比べたら耐水性はあります。価格も2.4万円で3万円を切ってくるので、比較的安くはできます。

次にカバザクラ。樺はある程度重いし、硬さもあります。でも優しさはあります。多少うねりもあるので、風格があります。加工も比較的しやすいし、水にもまぁまぁ強いのでオススメです。比重も0.42で、ゴムやタモに比べたら軽くて扱いやすいため、大工さんが好む印象があります。価格は4万円ぐらい。ナラほどではありませんが、そこそこします。

最後にウォールナット。今、人気がありますよね。気になっている人も多いと思います。重厚感があって硬いし、色が綺麗で美しい。特徴は、木の中にタンニンという成分が多いことです。タンニンはだんだん黒くなっていきます。年季の入ったウォールナットのテーブルって、黒いじゃないですか。好き嫌いがありますが、私は結構好きです。床とか框みたいなものに使うと、すごく綺麗だなと思います。今はウォールナットの家具が流行りだから、こういう所と合わせるのもいいですね。ただ、ウォールナットは比重0.6で重いです。そして何より、7.6万円ぐらいするので一番高いです。最近ウォールナットは品不足になっているので、早めに注文した方がいいと思います。一番美しいのは、フリー板じゃなく1枚物だとは思います。でも、ちょっとしたベンチみたいな所でウォールナットの輝きを作りたいという人もいると思うので、そういう時はフリー板を選ぶといいと思います。

人によって感覚は全然違いますので、ぜひ現物を見てください。私はタモが好きと言いましたが、ゴムの方が好みという人もいらっしゃいます。パインがすごく優しくて好きという人もいらっしゃいます。触れば、全然違うということがわかります。現物を見てもらうために、こんな木があるよということで樹種を紹介しました。ぜひ頭に留めてもらえたらと思います。

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