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職人さんをその気にさせるコツ

今日のテーマは「職人さんをその気にさせるコツ」です。

以前、あるお施主さんから「うちの家づくりにいろんな職人さんが関わっていると思うのですが、その人たちに気分良く仕事してもらうってどんな方法があります?」と質問をいただいたことがあります。

僕としては「そんなに気を遣わないでください」という気持ちもあるのですが、もし機会があればこういうことができるといいかな、と思ったこともあるので、そのお話をしますね。

僕は3代続く大工の家で、おじいちゃんも親父も大工さんでした。
大工さんには実にいろいろなタイプがあって、よく喋る人もいれば、寡黙な職人さんっぽくて怖そうだったり、とっつきにくい人もいます。寡黙な人とかだと、どう接したらいいのか戸惑うこともありますよね。

「ご祝儀みたいなのを包んで、よろしく頼みますと言った方がいい」とか、昔は「酒の一升瓶を持って行った方がいい」というアドバイスをする方もいらっしゃいました。僕は、それはそれでいいと思いますが、今回の質問だと方向が少し違うかなとも思います。

スイッチが入るとか、その気になるって、ものをあげることで起きるものでもないですよね。その前提で、「こういうことがあると気持ちよく仕事できるなぁ」と思ったことを7つ書いてみました。

まず1つ目は、自己紹介をすることです。それから家族を紹介することですね。
とっつきにくいタイプの職人さんというのは、シャイな方が多いです。「上手く言えないから、職人をやっとるんや」という感じです。

でも人間同士がやりとりする上で、第一印象というのはとても大事ですよね。なので、もしそういった大工さんとこれからやり取りをするのであれば、「おはようございます」「こんにちは」といった挨拶をして、そのあとに自己紹介をしていただくと良いと思います。

「こんにちは。私は施主の○○と言います。よろしくお願いします」と言っていただくだけで、その後の意思疎通が大きく変わるはずです。さらに可能ならご家族のことも紹介できるともっと良いです。家族のために家を建てるわけですから「妻の○○です。娘・息子の○○です」と紹介してもらえると、職人側としてはものすごく嬉しくなりますし、「こちらこそよろしくお願いします」となります。

次が呼び方です。「大工さん、大工さん」と言うよりは名前も付けて呼んでいただけると嬉しいです。例えば僕なら「森下大工さん」と、○○+大工さんって呼んでいただくと、また反応が変わると思います。

もちろん仕事だから一生懸命取り組みますが、そういったコミュニケーションがあると、距離が縮まるし、職人としては「この人の一生に1回の家づくりを担当させてもらうんだな」と改めて覚悟が固まるような気持ちになります。

この2つがあれば、意思疎通はほぼ大丈夫ですと思うのですが、質問された方から「でも、もっとあったほうがいいですよね?」と聞かれましたので、さらにいくつか紹介します。

3つ目が仕事を褒めることです。例えば「すごく綺麗にできてますね」とか「わ!こんなのできるんだ!」とかです。

これは変則版になりますが、大工さんの中には、車をすごく綺麗にしていたり、道具を綺麗に並べて仕事する人もいます。それぞれにこだわりとか誇りを持ってやっていることなので、それに気付いて褒めてもらえるとテンションが上がるんです。

今、僕はこんなことを言いましたが、無理に見つけて褒める必要はありません。ただ、ちゃんと見ていただいたうえで、「この大工さんはきちんとした人だなぁ」とか「すごく綺麗に仕事しているな」「丁寧に仕事する人だな」と思う瞬間があったら、ぜひ伝えていただけると、すごく喜ぶはずです。

次は、気をつけてもらえたらうれしいなという内容です。家の工事が始まったら、気になって頻繁に行く方もいらっしゃると思います。その気持ちはすごくわかりますが、できれば現場に長居はしないことを勧めます。

例えばお施主さんのお父さんで、時間に余裕がある方だと現場に行かれて、職人さんを呼び止めたり話し込んだりされることがあります。職人さんからすると、お施主さんの家族なのできちんと対応すると思いますが、タイミングによっては現場が慌ただしかったりして、なかなかそうも言ってられないことがあります。

なので、あまり長居しないと方がいいと思います。その上で、大体いつ頃にいらっしゃるのか伝えていただけると、造り手としては非常に助かります。

仕事なので、いつもきちんと進めることが前提ですが、タイミングによっては埃まみれになっていたりする時があります。そういう時に「こんにちは」と来られると慌てますし、「いつも綺麗にしているのに今は…」となるので、事前にわかっていると作業の段取りも立てやすくなって助かります。

工場が始まると、不安になったり、不信感というと大袈裟かもしれませんが、気になってソワソワしてしまうこともありますよね。そういう時は現場監督さんに気になることを伝えていただくのが良いと僕は思います。現場監督さんと連絡がつかない場合は、担当の営業さんでも大丈夫です。職人としては、現場監督さんに伝えてもらう方が有難いです。

基本的に、何か疑念に感じたことがあれば率直に言っていただいて全然OKです。ただ、以前にこんなことがありました。お施主さんが気になることを、職人さんに直接伝えたのですが、少し誤解していることもあって、少し角が立った言い方になったようです。本当に失敗したことであれば、バーンと言ってもらえればいいのですが、この場合は職人さんがやるせない感じになってしまって、少しギクシャクする可能性があります。

ギクシャクしてしまうのは、お互いにとって良いことではないですよね。なので、もし工事が始まってからモヤモヤとしたことが出てきたら、まずは現場監督さんに伝えていただくのが良いと考えています。

最後のポイントは、お礼を伝えることです。職人さんがその気になるというか、言われて一番嬉しいのは、やっぱり「ありがとう」という言葉です。

「ありがとう」って聞く機会が少ない職人さんというのは結構多いです。なので、お施主様から直接いただくことがあれば、すごく元気が出ますし、スイッチも入ると思います。

僕の知り合いの大工さんで、強面で一見怖いなという人がいます。その人が以前担当した現場で、お施主さんの娘さんが「ありがとう」と伝えてくれたことがあるんですね。まだ小さな子で、ミヨちゃんという名前だった気がします。「大工さんミヨのお家を作ってくれてありがとう」って言っていました。その現場に僕もいたんですが「この人でもこんな笑顔になるんやな」と思うくらい嬉しそうにしていて、本当にビックリしました。

「ミヨちゃんの家 しっかりつくるからな」と言っていて、やっぱりそういう言葉があると、グッと力が発揮できるよなぁと改めて思いました。本人は僕以上に感じていたと思います。

暑い時に冷たい物を差し入れしてもらったり、寒い時に温かい物を差し入れしてもらうことも、現場で働く身としては本当にありがたいことです。

でもその前に、最初に挨拶があって自己紹介してもらって、ありがとうと言ってもらったり、仕事のことを褒めてもらったら、やっぱり人間なので気持ち良くりますよね。

スマイルはプライスゼロみたいな話ですが、こうしたやり取りがあるだけで気持ちよく仕事ができるというのは職人さんも同じです。

こうやって改めて話をすると、ごく当たり前のことというか、何でもない話になりますが、知っていただけるとうれしいなと思いまして、今回話をさせていただきました。

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