家づくりで起こりがちな失敗(床下エアコン編)
相変わらず冬は寒いですよね。この寒いシーズンになるとよくいただく質問として、床下エアコンを考えているんですけど、何かポイントはありますか、みたいなお話が本当に多いんです。今日はそのあたりのお話をしようと思ってまして、この前も最近知り合った工務店の技術者の方と話をしていたら、床下エアコンを今度やるんですけど初めてなので、どんなポイントがあるんですか、という話になったんです。そこで、こういうところで失敗しがちだから、ここは気にしといた方がいいかもしれませんね、みたいな話をしたら、えらく喜んでいただけたんですね。なので今日は少しマニアックな話になるかもしれませんけど、これから床下エアコンを考えられている方がいらっしゃったら、少しでもお役に立てたらと思って、そのあたりをお話ししていきたいと思います。いつものように僕の拙い板書を見てもらいながら聞いてもらえたらと思うんですけど、床下エアコンについては基本的な話は過去にいっぱいしてきているので、今日は大体概要を知っている方向けの、いわば応用編というか、現場の人間の目線の話だと思ってもらえたらありがたいです。
そもそも床下エアコンって、僕たちが最初に取り組み始めた頃は、どこに床下エアコンをつけたらいいんですか、という問題がありました。みんなリビングとかダイニングを暖かくしたいという気持ちが強いので、居室の下にエアコンを設置して、そこを一生懸命温める、ということをやっていた時期があったんです。ただ、そのときに一つ弊害として出てきたのが、居室はいいんですけど、非居室、いわゆるユーティリティとかトイレ、水回りの部分ですね、そういうところが寒くなりがちやったんです。基礎がわかる人なら想像つくと思うんですけど、そういう水回りって間仕切り壁が多くて、その下に基礎が立ち上がっていることが多いので、床下が細かく仕切られてしまって、暖気がうまく行かないんですね。慣れてないと特にそうで、サーキュレーションファンをつけて、なるべく暖気を送るように調整したり、そんなことをやってた時期もありました。
そんな中でいろいろ試していくうちに、非居室側に床下エアコンをつけるパターンも増えてきました。例えば一階にファミリークローゼットとかデイリークローゼットをつくって、その一角にエアコンを置く、というケースですね。これが今は一番多いかもしれません。そうすると、水回りがだいたいその周辺に集まっているので、脱衣場やトイレがすごく暖かくなるんです。居室については、床下からダイレクトに暖気が行くようにしておけば、パッシブ設計での日射取得もありますし、結果的に十分暖かくなることが多いんですね。そう考えると、朝一番に床下エアコンを稼働させたとき、起きてすぐに着替えたり、顔を洗ったり、トイレに行ったりするわけですから、まず水回りが暖かい方が不快じゃないんです。そのあと居室に行って朝食を食べる頃には、日も昇ってきて室温も上がってくる。こういう流れを考えると、このパターンもなかなかいいんじゃないかなと思ったりします。なのでまず大事なのは、居室側にするのか非居室側にするのか、その方針をしっかり考えることですね。
それともう一つ大事なのが、床下エアコンというのは、床下空間全体を一つの大きなチャンバーボックス、空調する空間として捉えて、そこ全体を温める、という考え方やということです。エアコンから吹き出た暖かい空気が隅々まで行き渡ることが目標になるので、エアコンをどこに置くかというのは、暖気のスタート地点をどこにするか、という意味になります。暖気が滞留せずに全体に回るためには、床のガラリ、暖気の出口がバランスよく配置されていないと偏りが出てしまいます。例えば一階が20坪前後なら、ガラリは10カ所くらいは欲しいですし、もっと言うと、ガラリの開口面積として600平方センチメートル以上は確保しておきたいところです。これが足りないと、エアコンが勢いよく風を出しても逃げ場がなくなって、床下の温度がすぐに上がりすぎてしまうこともあります。配置としては外周側を意識して、掃き出し窓の近くや、キッチンの足元などに出すのもいいですけど、忘れてはいけないのが脱衣場やトイレです。ここはむしろ一番暖かくないとアカン場所なので、必ずガラリを設けてほしいところですね。
そのためには、床下で暖気がちゃんと回るように、間仕切り部分に陣通口をできるだけ多く設けたり、地中梁を使って強度を確保しながら空気が滞留しないようにすることがとても重要です。このあたりは過去の動画でも何度も解説しているので、わかる方も多いと思います。ただ、どうしても間仕切り基礎が必要な場合もあります。その場合、外周は気密をしっかり確保する必要がありますけど、間仕切りのところは基礎を20センチほど下げて、基礎パッキンを入れられるようにしておく、というやり方もあります。基礎パッキンの隙間は2センチほどですけど、暖かい空気は上に上がるので、床面との間で空気が融通しやすくなって、空気だまりができにくくなるんです。スリーブを入れて貫通させる方法もありますが、基礎パッキンの方が施工的には簡単で、気密処理の手間も少ないので、これは一つおすすめできる方法かなと思います。とにかく、ガラリの配置と開口面積、ここが一番失敗しがちなので、ぜひ注意してもらいたいポイントです。
もう一つ、エアコン本体まわりの話です。床下エアコンは、だいたい幅1メートル、高さ60センチくらいの開口を取って設置することが多いんですけど、当然フィルター掃除のために蓋を開けられないといけないので、床との間に一定の隙間が必要になります。ただ、ここを開けっぱなしにしているケースがたまにあるんですね。これは必ず蓋、もしくは埋木のようなもので塞いでほしいところです。木でもいいですし、スタイロフォームのような加工しやすい材料でも構いません。できるだけピッタリ、1ミリ2ミリの隙間もないくらいが理想です。極端に言えばテープで塞いでもいいくらいなんですけど、掃除のたびに剥がすのが面倒なので、現実的ではないかもしれませんね。ただ、ここをきっちり塞ぐことがとても重要やということは、ぜひ覚えておいてほしいです。せっかく作り手がきちんとしていても、使う人が邪魔やからと外してしまっているケースもあって、それでは性能をロスしてしまいます。
なぜそこまで重要かというと、エアコンは上から空気を吸って温め、下に吐き出す仕組みになっています。この上部をピタッと塞ぐことで、床下全体がチャンバーボックスのようになって、内部に圧力がかかるんですね。その圧力があるからこそ、ガラリからスムーズに暖気が吹き出して、空気が引っ張られて、淀みなく全体に回るようになります。これが床下エアコンで一番大事なポイントと言ってもいいくらいです。知っている人には当たり前の話なんですけど、知らないと、えっ、そんなこと、という反応になることもあるので、ぜひ注意してもらえたらと思います。
最後に音の話です。居室側に床下エアコンを設置した場合、人によっては運転開始時の音が気になることがあります。床下エアコンは位置が低いので、ソファに座っていると耳が近くなってしまうんですね。そういう場合は、正面のガラリを塞いで、側面や廊下側からリターンを取る、という方法があります。廊下は人があまり長くいる場所ではないですし、温度も低めなので、そこから空気を吸って温めて供給することで、音の問題も解消しつつ効率も上がる、というケースがあります。間仕切りの裏側から吸うなど、いろんなバリエーションが考えられるので、そこは設計に応じて検討してもらえたらいいかなと思います。


