回遊動線は当たり前。家事楽動線と立体で考える収納設計術。
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今日は、実際にお引き渡しをする前のお施主様のお家をお借りして撮影をしているんですけど、今回みなさんに見てもらいたいのが、ダイニングとキッチン、そしてパントリーとの関係性についてです。そういうところを中心に、今回はご紹介をさせていただきます。
ここのお施主様はお料理がすごく好きで、特にお菓子とかジャムを作って販売されたり、みなさんに配ったりするのがお好きな奥様なんです。このお家は建て替えなんですけど、ご要望として一番強かったのが、そういうお料理を楽しめるキッチンやダイニングにしたいということでした。前のお家は、先ほども言いましたけど、すごく大きいお家だったんですが、キッチンは壁に向いていて収納もほとんどありませんでした。だからタンスなどを置いて、そこにしまっていた感じだったんです。そこで今回は、こういう対面キッチンをご提案して、一番料理を楽しめるレイアウトを考えてみました。
早速ご紹介します。
僕たちが中の設計を考える上で重要なのが、キッチンとダイニングとの位置関係なんです。大きく分けると2つあって、ここがキッチンだとすると、この前にダイニングテーブルがあるパターンと、横に置くパターンがあります。このどちらを選ぶかで、LDKの間取りはすごく変わるんです。この辺は中心となる位置を決めてからレイアウトしていくんですけど、今回は家事のしやすさを一番に考えて、その横にダイニングテーブルを置きました。だから料理を作ったらすぐ出せますし、ご飯を食べていて何か取りに行く時もすぐこちらへ行けるんです。横並びは移動しやすいんですね。
僕がよく言うのは、ここに座る方が一番料理をする方や家事をされる方になることが多いということです。奥様の場合もあれば、夜はご主人様が料理をされるご家庭なら、ご主人様がここに座ることもあります。このダイニングテーブルとキッチンの関係性は、間取り全体にも大きく影響しますし、家事のしやすさだけで考えると、この横並びが一番使いやすいのかなと思います。
ただ、こういうレイアウトにした時にデッドスペースになりやすい場所があります。それが横のカウンター部分です。ここは収納を作ることもありますし、収納でなくても家事カウンターを作るとちょうどいいんです。パソコンを置いて調べ物をしたり、奥様の作業スペースにしたり、お子様がいらっしゃるご家庭なら勉強カウンターにもできます。その場合は椅子を置いてあげれば勉強できますよね。
だから、こういうところはデッドスペースになりがちなんですけど、用途を持たせてあげることで使いやすい場所になります。そして、このお家の一番の特徴はここから先なんです。
ここはパントリーなんですが、広いでしょ。3畳弱くらいあるんですけど、すごく広いです。こだわったのがこの長さなんです。普通だったらこちらとこちらに収納があって、その間を通り抜ける形が多いんですけど、今回は別の空間も作りたかったので、どうしても幅に制限がありました。だから目いっぱい取って、収納はすべてこちら側にまとめています。
先ほども言いましたけど、この方はお菓子やジャムを作られるので、こういう瓶がすごく多いそうなんです。以前は箱の中から取り出していて、それが面倒だったそうなんですが、今はちゃんと並べて収納できます。ここ一面に並べてもスペースは十分残りますし、作るための機械や道具も置けます。果物もたくさん買ってこられるそうなので、一時的にこういう場所へ置くこともできます。
奥行きもこれくらいあれば十分なので、並べて収納しながら作業もできます。横の動きだけで完結するような形ですね。これだけあれば十分だと思います。
そして、ここは空いているでしょ。ここには冷凍庫を置かれます。冷蔵庫は別の場所に置くので、冷凍庫専用です。ここまで幅を広げて置いてあげるんです。少し出っ張る形にはなるんですけど、それでも人は通れますし、一番使い勝手がいいんです。冷凍庫から出してすぐキッチンへ運べますからね。
だから、あえてここを斜めにしているんです。もし真っすぐだったら窮屈なんです。冷凍庫を置くことが分かっていたので、少しだけ壁を斜めにすることで間口を確保しています。ほんの少し斜めに切ってあるだけでも、感じ方が全然違うでしょ。使い勝手はもっと違ってきます。
こういうパントリーが欲しい方はたくさんいらっしゃるんですけど、大事なのは何を置くのかを決めることです。例えばホットプレートのような60cmくらいある大きなものは、ここには置きません。別の場所に置いてもらいます。その代わり、こういう小物類を並べるなら、これくらいの奥行きが最適なんです。
冷凍庫を置くことが分かっていれば、こういう設計もできますし、棚も必要な分だけ用意できます。この下も置くものが決まっているからこそ計画できるんです。だから最初に何を置くかを考えて、必要な棚の数や奥行きを決めてあげるのがパントリーづくりのコツなんです。それだけで使い勝手は全然違います。
もしこういうパントリーが欲しいという方は、綿密にレイアウトを考えて、立体的に考えることをおすすめします。図面というのは普通、上から見た平面図しかありません。そこに収納や棚5枚と書かれているんですけど、それだけではなく、正面から見た図面も作ってもらって、棚が何枚あって高さが何cmあるのか、瓶を何個並べるのか、そういうところまで収納ごとに考えてあげると、本当に使い勝手が良くなりますし、失敗もしづらくなります。だからパントリーこそ、立体的に考えることをおすすめしています。
確かに、何を置くかが決まっているからこそ、ここまでしっかり考えることができるんですよね。広い方がいいとおっしゃる方もいるんですけど、実際にはそんなに広くなくても十分だったということもあります。その分ほかの空間を広くしたり、家全体をコンパクトにしたりすることもできます。収納はちゃんと考えてあげると、大きなスペースがなくても十分に収まるんです。
そして、もう1つお伝えしたいのが、この扉を開けると玄関なんです。だから買い物から帰ってきた時に、果物などをたくさん持っていて重たいでしょ。そういう時でも、こちら側からすぐパントリーへ入れます。すぐにしまえるので、この動線は料理好きな方や、まとめ買いをされる方にはすごく有効なんです。お水などをたくさん買う方だったら、本当に大変ですもんね。
ご要望としては、キッチンと玄関をなるべく近くしたいということでした。でも大きなパントリーも欲しいし、ダイニングともつなげたい。そういうご希望があったので、今回はこういう一直線の動線を考えてみました。一直線でつながっているからこそ、すごく使いやすい動線になっています。
それと、ここの扉がありますよね。ここはウォークスルークローゼットになっていて、こちらを抜けるとトイレや洗面の方へ行けるんです。先ほど見てもらったように、キッチンの横にダイニングを置くと回り込まないといけない場合があるんですが、この動線が1つあるだけで、向こうへ回らなくてもこちらから廊下や洗面へ抜けられます。
この動線も作りながら、ただの廊下にしてしまうともったいないので、1階で着るものなどを収納できるスペースとして活用しています。
全部の動線がちゃんとつながっているんですね。よく回遊動線という言葉がありますけど、それは当たり前ではなくて、この空間にどの空間をつなげていくかで家事のしやすさは変わります。そういうことを1つずつ考えていくのが設計の面白さでもあり、難しさでもあるのかなと思います。大変ではありますけど、それがうまくいったらこれだけ便利な動線になるんですよね。お客様にも喜んでいただけますし、それが一番楽しいです。


