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今回は、リノベーションの相談に行く時に、注意してほしい事について解説します。

最近、リノベーションの相談が増えています。新築は一種の飽和状態で、「家も余っているしリノベーションをして家を長く使おう」という合理的な考えが高まっています。その中でリノベーション案件が増えた時に、お施主さんが業者さんへ相談に行くことが増えると思います。その時、双方が気持ちよく話し合いができるように進めることが大切です。そこで今回はリノベーションの相談に行く時に、注意してほしい事について解説します。

私が業者の立場で困るのは「大体どれくらいでできますか?」という予算感の質問です。どうやって答えたら良いのか、現場でもよく悩みます。

一方で、お施主さんの立場からすると、こちらから「今回のリノベーションに関して予算はいくらですか?」と聞くと、お施主さんが少し当惑される時があります。

この時お施主さんが思うことは、おそらく「予算を聞かれても、どんな工事で、どれぐらい費用がかかるのかがわからないから相談しに来ているのに」「お宅の家だったら、これぐらいかかります、といったわかりやすい説明をしてくれ」「予算を言ったら余分な提案をされそう」「予算1000万円と言ったら、もう少し高めに提案しても大丈夫と思われそう」「打ち合わせをしたら追加の内容が出てくるから、今の予算は低めに言っておこう」みたいなことだと思います。

要するに、リノベーションの相場・目安を知りたいから相談に来たのに、「予算はいくらですか?」 と聞かれても「それがわからないんだよ」みたいな思いがあると思います。しかし私がその質問をする前提理由はそうではなくて、お客さんの予算を聞いた上で、その予算で希望通りのリノベーションができるかどうかをお答えしてあげたいんです。

例えば、百貨店に行って「コートはいくらですか?」と聞かれても店員さんは困ると思います。「フルオーダーですか?」「お気に入りのブランドはありますか?」「素材は何が良いですか?」とかを聞かないと、金額は言えないと思うんです。コートを買う経験はみなさん多いと思うので困らないと思いますが、家づくりに関しては未経験の方も多いので、そういう話の延長として捉えてください。

なので業者の方が「ご予算はどれくらいですか?」と聞いたら、当惑するのではなくて「リノベーションで何をしたいのか」を思うままに話してほしいです。「お風呂を変えたい」とか 「キッチンはLIXILの〇〇がいい」とかです。具体的に何をしたいかを、小出しでもいいので言ってほしいです。

2つ目に、今の家が築何年か、間取り・面積・周辺環境はどうかなど、家の具体的な情報やも相談してほしいです。

3つ目に「リノベーション」で想定している範囲についても教えてほしいです。床や壁、水回りだけを入れ替えたいのか、全て綺麗にしたいのか、性能を向上させるリノベーション(断熱、耐震)をしたいのかなどです。
また、「絶対にこれじゃないとアカン!」みたいなこだわりも教えてほしいです。「床は無垢の素材がいい」「塗り壁にしたい」とか素材に対するこだわりなどです。

こういうような前提や、どういうことをやりたいのかを、予算を聞かれた際に話してほしいんです。

これらを聞いた後に改めて「どれぐらいのご予算をお考えですか?」と聞かれると思います。いろいろ要望・考えを聞いた上で予算を聞くのは、業者さんの頭の中では最初に聞いたより具体的になっています。

例えば、本当は1000万円の予算を考えているお客さんに対して、私が700万円・800万円のプランを出したとします。しかし他社で1000万円の予算を伝えてプランをもらった場合、700万円・800万円のプランは見劣りしますよね。同じ土俵で比較してもらえないと業者は辛いです。だから本当の予算を知りたいという思いがあります。

一方で、予算が700万円しかない方に1000万円の見積もりを出したら、見た瞬間に「高っ!無理」 となりますよね。値段が高い理由の説明もしたいんですが、値段を見た瞬間にNOとなってしまい、話し合いがギクシャクしてしまうのが嫌だという思いもあります。

それから「ご予算は?」と聞いたら「いくらお金を払うことができるか」を聞かれていると思う方も多いんですが、違います。私が聞きたいのは、「いくらの予算のプランを作ったらいいか」ということです。これを聞かないと予算と実際の金額が乖離してしまいます。なぜかというと、お客さんにたくさん理想を聞いたことを全て叶えてあげたくて、たくさん含めると予算が高くなってしまうんです。私もおせっかい心のせいで、そういう失敗が多いです。

それでも予算を言いたくない人の真理は、相見積もりしたいという気持ちがあるからだと思います。 金額を比較して安いところにお願いしようという風に思う方が多いんだと思います。

しかしリノベーションに関しては、相見積もりはプロでも難しいと思います。なぜなら業者さんによってレベルが違うからです。同じ項目でも業者によって中身が違うことはよくあります。

それから性能向上を目指すリノベーションに関しては、耐震診断力や、耐震補強を担保する技術の提案力は、会社によってすごく差があります。また、暖かい家を目指したい場合には断熱材を入れればいいと思っている人が多いですが、私からしたら断熱材よりも気密を高める方が、満足感は高いと思います。

私は、比較をしたいから相見積もりを取る、というのは無理があると思います。

そこで私がおすすめするのは、予算700万円に対して、700万円で理想にどれだけ寄せれるかというプランをまず1つ作ってもらうことです。そしてもう1つ、金額は予算よりも上がるけど、より理想的なプランを作ってもらうやり方です。そして他社と相見積もりするのではなく、その会社さんに出してもらったプランの中で比較する方が良いと思います。お施主さんは、予算内に収めたプランに対してどこまでのことができるのか、そこまでできると工務店は自信を持って言えるのか、ということを工務店さんに突っ込んで聞く方が、リノベーションの工事は成功すると思います。

予算はどれくらい?という質問と、その質問を業者さんが聞いている真意や、見積もり提案に要求するものを軸にすると、リノベーションの相談はうまくいくと思います。ぜひ参考にしてください。