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2025年版 間取りより駐車場を優先した方がいい理由

先日うちの山下社長が「土地の読み解き方」という動画を出させてもらったんですけど、その中で「間取りを一生懸命作る前に、まずは駐車場を優先した方が、いろんな面でうまくいきますよ」という話を彼がしていたみたいなんです。それを受けて、「間取りより駐車場を優先した方がいい理由って、何なんですか?」と聞かれたんですよね。

何年か前にもこの話をさせてもらったことがあるんですけど、すごく大事なことなので、基本の確認という意味も込めて、今回はもう一度解説させていただきたいなと思います。いつものように、僕の板書を見ていただきながら、解説を聞いてもらえたら嬉しいです。

まず、「駐車場を優先した方がいい」というのは、僕は師匠の松尾先生からも言われていることなんですけど、さらに輪をかけて言われたのが、飯塚豊先生からだったんです。飯塚先生は「間取りの良し悪しって、みんなすごく気にするし、間取り集とか間取りを成功させる本みたいなのもたくさん出てる。でも、その“良し悪し”は、敷地と建物の関係で決まることを忘れないでね」とおっしゃっているんです。「敷地はどれも唯一無二だよ。団地で隣同士の土地でも、厳密には同じじゃないよね」と。ですので、これから家づくりを考えるときには、必ず“世界に一つしかない土地”で家を考えるんです。その時、世界に一つしかないものと建物との関係で、この間取りはいい・悪いの評価になるんですね。敷地と建物の関係についてちゃんと頭に置いておかないと、そもそもいい間取りなんてできるわけがない、という問題提起なんです。

そうなってくると、敷地との関係をちゃんとヒアリングしておかないといけない。「どんなことをお施主さんは考えているんだろう?」みたいなことになってくるんですけど、その時に意外と漏れがちなのが“駐車の仕方”なんですよね。あるいは、お施主さんがどんな車に乗っているか、みたいなヒアリングが、後回しになってしまいがちです。どうしても「まずは家から」とか「予算があるから、○○坪ぐらいの家」といった感じになりやすいですし、特に経験の浅い若い担当者の場合は、そういうことが起こりやすいんですよね。

それで、例えば「私、絶対に縦列駐車は嫌なんです」と奥さんに言われたり、女性には縦列駐車が苦手な方が多いですよね。男性は「どっちでも停められたらいい」という方が多いんですけど、縦列駐車が嫌となると、もう全然話が違ってきます。それから、車種によってもいわゆる内輪差と言うんですかね、最小の回転半径と違って、内輪差がある車だと当然駐車場のサイズに影響してきますし、今は大丈夫でも将来お子さんがいる家庭で「大きなファミリーカーが欲しいな」「バンみたいな車長の長い車を買うかもしれないな」なんてこともありますよね。僕の友人のK社長なんかも車好きで、「特殊な大きな車をちょっと考えているんだ」みたいな話もあったりしますから、将来そういう車を買う可能性があるなら「ちょっと考えておこうかな」ということも出てきますよね。

それから、将来車を買い替えることもあるでしょうし、お子さんが大きくなったら「ワンボックスの大きな車を買おう」とか、経済的に余裕ができたら「ラングラーっていう大きな車に乗りたい」とご主人が思っていたり。そういう野望があるご家庭もありますよね。将来そういう車を手に入れる可能性も含めて、夢の確認もしておかないと、今は大丈夫でも将来的に「この敷地じゃ無理だった…」ということになりかねません。あと、将来シニアになったら“リベンジ消費”がある、なんていう話をひとつ入れておいた方が、あとで困らなくていいんじゃないかな、と思ったりします。

つまり、敷地と建物の関係は、一言で言うと“配置”なんですよね。家の配置。その時に「1に車、2に庭と木、3・4がなくて5に家屋」、家屋なんかは最後でいいんです。だから「どこに車を置くか」「どこに庭を持つか」というのがまず大事なんですね。特に最近思いますけど、今日は駐車場の話ですが、庭も一緒に考えないといけない。庭があることで建物に光や風が呼び込まれるんです。日当たりや風通しを考えない人はいませんよね。でも、それは何で決まるかというと、家にどんな窓をつけるかということもあるんですけど、やっぱり庭がどこにあるか、ということがとても大きいんです。だから、これは絶対に考えておかないといけない。設計者たるもの、車・庭木・家の3つの要素を同時に考えるということが大切なんですけど、理屈の上では建物は最後、という感覚がないと、変な配置になってしまうこともあるんですね。つまり、変な配置になると、変な間取りになってしまう。こんな間取りじゃなくてもよかったんじゃないの?と思うことが出てきてしまうんです。

そういうことで、ここから基本的な話に入っていきます。例えば4m道路があって、南道路になる配置なら、直角駐車が一番典型的ですよね。この場合、だいたい2.5m~5mぐらいは最低必要です。最低5mと言っても、内輪差を考えたらコーナーはすみ切った方がいいぐらいなので、厳密に言うと2.5m~3mくらいあった方がいいかもしれませんね。ハッチバックみたいに後ろが開く車や、ボックス型で荷物の出し入れが多い場合は、扉を全開にするために5.5mくらい必要なこともあります。これくらいの寸法はやっぱり必要なんですよね。

それと、北側道路の場合は縦列駐車が生きてくるんです。もちろん南側でもいいんですけど、縦列駐車だと奥行きが2.5mしか取られないので、建物を北に寄せて建てられるんですね。そうすると南が開けやすいという利点があるわけです。じゃあ「うちは北側道路だから、縦列駐車で行こう」という考え方も出てきます。そうなると、最低でも7m、女性だったら8mぐらい欲しい人もいるかもしれませんけど、最低7m×2.5mみたいな感じで必要になります。こういう寸法を知っておいてもらって、大体この組み合わせで駐車位置をどこに切るか考えていくと、1台なら1台、2台なら2台、人によっては3台という場合もありますよね。

たとえば「うちは将来子どもが大きくなって、うちの子も15歳で、すぐに車に乗るようになると思うから、たぶん子どもの車も1台置いておかないといけない」という場合、3台駐車も考えておかないといけない、なんてこともあるかもしれません。もちろん、子どもはいずれ独立するものですから、短期間なら近くの駐車場を借りるという選択肢も含めて考えてもいいと思います。こういったことを考えながら、まず駐車場を配置して、次に庭をどのあたりに置くかを決めて、最後に家屋がくる。そういう流れになっていくんですよね。

そうした時に、家の間取りの良し悪しは、敷地と建物の配置の関係性で決まってきます。それによって本当に間取りが作れるかどうかが分かれてくる。みんな、いい間取りを作りたいと思っているのは当たり前ですから、ここを忘れないようにしたいなと思います。うちの山下は、実務でもこの点を大事にして「まずは駐車場から考えていきましょう」とやっています。

あと、1つのやり方として、駐車の好き嫌いもありますよね。僕は絶対に“出船型”で車を停めたいんです。バックで入って、出る時はスッと前向きで出たい、というタイプなんです。これも出る時に時間がかかるとイライラしちゃうので。一方で、僕の友人は「家に入る時にとにかくサッと入りたい」というタイプで、これは“入り船型”になります。出る時はゆっくり見られるし、前の道路も広いから気にしない、という場合ですね。どちらがいいかによって、車を停める位置も変わってきます。

それと、さっきもちょっと言いましたけど、2.5mで車を停めると結構いっぱいになるんですよ。大型車だと本当にギリギリで、横を通る時に“カニ歩き”しないといけない。カニ歩きでも大丈夫、という方もいれば、「カニ歩きは嫌だなぁ」という方もいますよね。特にお年寄りだったら、ドアを十分に開けられないと出にくいですし、そうなってくると2.5mではなくて3mくらいあった方がいい、もっと広くてもいい、という話になってきます。両方ともフルドアで気にせずバンと開けたい、という方はそれくらいあった方がいいですよね。

それから駐車場を配置した時、庭との関係も含めて、「自分のリビングから何が見えたいですか?」というのも大事です。たとえば南側道路で、リビングが南にきた場合、リビングの前が駐車場になるケースが多いと思います。「もうしょうがないわ」と思う方もいると思いますが、僕はちょっとわがままなんですけど、できたら車のお尻よりも緑が見えた方がいいなと思うタイプです。若い時は忙しいのであまり気にしないかもしれませんが、年を取って家にいる時間が長くなった時、庭を眺められるのはすごくいいものですよ。僕は60代のお父さんですから、きっと皆さんもすぐその時期が来ますし、その時「こうしておいた方がよかったな」と思うこともあると思います。もちろん、「俺は愛車の後ろ姿が大好きだ!」という方もいますから、それはそれでOKです。そこは個人の好みなので無理に押しつけるつもりはありませんけど、そんな風に思ってもらえると、駐車場もうまくいくし、間取りも含めた家の中の満足感も高まるんじゃないかなと思います。

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