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Q&A:注文住宅で契約後に金額UPしてモヤモヤしない方法は?

今日は、いつも動画を見てくださっている方から「注文住宅の契約後に金額が上がって、工務店さんやハウスメーカーさんとギクシャクしてモヤモヤすることがある。あれを避ける方法はないですか?それと、どこまで図面や約束事を決めておけばいいんですか?」というご質問をいただきました。とても本質的で、すごいなと思いましたので、全体の流れとその中身を、いつもの板書のイメージでお話ししていきますね。

まず、モヤモヤ・ギクシャクは大きく二つ。着工までのプロセスで起きるものと、工事が始まってから起きるものです。今回は「事前にどこまでやっておくべきか」という切り口でしたので、着工までの流れを整理します。会社の形態は設計事務所・ハウスメーカー・パワービルダー・工務店と様々ですが、基本は同じ。情報収集ののち「基本設計(いわゆる間取り)」→基本設計が固まれば「確認申請や各種申請」→並行して「実施設計(mm単位で収まり・構造・設備まで詰める)」→それでようやく「着工」です。間取りと立面・簡易断面だけでは工事はできません。実施設計と申請は行き来することもありますが、要は施工者がわかる図面・仕様に落とし込むことが肝心なんです。

契約面の流れも押さえておきましょう。会社によっては基本設計前に「設計契約」を求めるところもあれば、基本設計は無料のところもあります。ただし最終的には「請負契約(仮契約・申込と呼ぶ会社も、法的には契約行為で同じ)」が必要です。その後、着工前に「追加変更契約」を結ぶのが一般的。棚を増やす、キッチンを上位グレードに、窓を追加…打合せで出てきますからね。会社によっては最初を仮契約、追加変更を本契約と呼びます。着工後も軽微な変更を受ける会社・受けない会社があり、増減精算で最終清算します。この枠組みをまず理解しておいてください。

モヤモヤの最大要因は金額の上下です。たとえば2,500万円で請負契約したのに、気がつけば2,900万円…となると、そりゃモヤモヤしますよね。これを抑える鍵は「実施設計に基づく詳細見積もり」です。仮の仕様・概算のまま契約すると、後で「言ってたのと違う」が生まれます。相見積もりをするにしても、同一の設計図書・仕様で比較しないと意味がありません。面積や仕様が各社でバラバラの見積もりは、読み解く力がないと安く見えるだけのことも多いので、ここは要注意なんです。

業者の本音も少し。詳細見積もりのために何十枚も図面を何度も描かせた末、全部白紙に…というのは正直かなり疲弊します。お客様は王様でいいのですが、同じ王様でも「暴君」より「名君」の方が、現場の気持ちが入り、家の仕上がりは良くなります。ですから「ここで確定する」場面では腹をくくる、その前段では遠慮なく検討する、というリズムが大事かなと。

資金計画も重要です。契約金額2,500万円としつつ、「オプションで+いくらまでなら決断できるのか」「想定外が出たらどの上限まで許容か」を明確に。上限が1円でも超えたらノーなら、その範囲でできることだけに絞るか、ダウングレードの検討になります。上限を共有してもらえると、業者側も提案の軌道が定まり、お施主さんのモヤモヤがぐっと減るんです。

注意点として、地盤調査のタイミングは要確認。請負前に調査して補強の要否と費用を把握していれば安心ですが、契約を先に迫られ、その後の調査で杭や表層改良が100〜150万円必要と出ることもあります。地域での改良発生傾向を持つ会社もありますが、最終的には資金計画上の予備枠と、調査の実施タイミングを見ておいてください。ここは大きいです。

仕様の明確化もコストコントロールの柱です。キッチン・お風呂など設備のグレード、照明・カーテンは含むか別か、含むならどの程度か。電気の基本仕様(例えば6畳で二口コンセント何個までなど)を仕様書または図面で暫定でも明記。空調計画も同様で、どの機器をどこにどう置くのか。ルームエアコンの配管ルートで外観の美観を損ねることもあるので、外観とセットで詰めておくと後悔が減ります。

外構工事の扱いも要チェック。請負に含むか別か、見積りの前提は何か。外構ほど差が出るものはなく、道路と敷地のレベル差、アプローチ距離、土留め・擁壁の要否で大きく変わります。レベル差50cmアップでステップ・土留め・コンクリート費用は跳ねます。営業・設計の経験値によって見落としもあるので、ここは目を光らせてください。植栽も侮れません。子育て世代は手が回りにくいですが、一本の木で家はぐっと良く見えますし、実のなる木も楽しい。外構は後回しにすると何十年も手つかず…という家も見ますので、計画段階である程度盛り込むのがいいかなと。

建築費の内訳も理解しておくと安心です。本体工事(基礎・骨組み・屋根等)に「設計料」を明示する会社もあれば込みの会社もある。本体外では外構・カーポート・サイクルポート・物置・屋外給配水・電気・ガス・太陽光・蓄電池などが別途になりがち。どこまで請負に入っているか明文化を。さらに「諸経費」は盲点です。住宅ローンの保証料・手数料などは金融機関へ支払うもので、工務店の取り分ではありませんが、家づくりに必要なお金として把握が必要です。

土地ありで建てる方と、土地からの方では諸費用が変わります。土地ありなら規模にもよりますが100〜150万円程度で収まることも。土地購入を伴う場合は仲介手数料などで200〜250万円はよくあります。ローンの借り方でも保証料が変わります。小さいけれど気にしてほしいのが水道メーター(分担金)。これは諸経費に計上するのが合理的です。受負工事費に入れてしまうと消費税10%が掛かり、わずかでも余分に払う形になり得るから。諸経費の説明はしっかり聞いて、内容をチェックしてください。

工事が始まってからの「近隣対策費」も稀に発生します。防音型シートを求められるなど、個人差が大きい部分です。着工前の挨拶では「お互い様」と言ってくださっても、始まると気になる方もいますから、資金計画の予備枠で想定しておけるとより安心です。

図面は、可能なら実施設計まで完了しているのがベスト。そこまでが難しければ、基本設計段階でもコストに効く仕様書やベース図面は最低限持っておきたいところです。あとは「言った・言わない」を防ぐため、打合せ記録を必ず残す。最近はAIが優秀で、ボタンひとつで文字起こしから要約までできます。一言一句はもちろん、要約して「つまりこういうことですよね」を両者で確認しておくと、齟齬が減ります。業者側が積極的にやる場合もありますし、お施主さんがAI要約を作ってLINEやメールで共有するのも良い方法。スレッドとして記録が溜まり、後から追えるのもいいですよね。

こんな感じで、家づくり周辺の「モヤモヤの芽」を事前に摘むポイントをお話ししました。私ももう5年ほどYouTubeで発信していて、「前にも話したな」というテーマが増えてきましたが、お施主さんにとっては毎回が初回で真剣勝負。1年前・3年前の情報は古く感じる方もいらっしゃいますし、同じ話でも繰り返す意味はあるんだと最近よくわかってきました。家づくりを始めたばかりで素朴な疑問がある方は、コメント欄でも、モリシタ・アット・ホームへ直接でも「こんなこと教えて」があれば遠慮なくアップしてください。

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