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地震に強い家に必要な「面材」を解説します

今回のテーマは地震に強い家づくりです。
これにはいろんなポイントがあって、重要なポイントの1つである「面材」について解説をしていきたいと思います。

面材について初めて聞くという方もいらっしゃると思いますので、最初に説明をしたいと思います。僕のスケッチを見てください。

木造の建物を模型的に描いてみました。
土台があって、柱が立てられて、梁があって、サイコロのような形をしているのが基本ユニットになります。この建物に地震力がかかった時に抵抗するのが「筋交い」になります。斜めの突っ張りをイメージしてください。バツの形にクロスさせて入れる時もあれば、片側だけに入れる時もあります。

建物には水平面がありますよね。この水平面に入れる筋交いが、火打ちと言われてるものです。角を突っ張った感じで入れるようなものですね。これらは「在来工法」といって、基本的な組み立て方の1つになります。

1995年に阪神淡路大震災が発生して、あの時に木造住宅がバタバタ倒れたことがありました。一方で木造住宅の中でも全然倒れなかったものがあるんですね。それが世に言うツーバイフォー(枠組み壁工法)と呼ばれるものです。

ツーバイフォーは基本のユニットをつくるときの骨組みは同じですが、構造的な合板みたいなものをベタンベタンと貼っていきます。面で地震力に対抗するようなものを言います。

昔ツーバイフォーの業者さんが「在来木造住宅は地震が心配だけど、ツーバイフォーなら安心」「お前たちの木造はアカン」と鼻息荒くおっしゃっていたこともありました。

現在、ツーバイフォーの構造はお伝えしたとおりのままですが、在来木造工法は進化しています。筋交いの代わりに板を壁や屋根などに貼って、面で耐震性を担保する・強化するという形をとるようになりました。ツーバイフォーと同じですね。
なので今は在来工法とツーバイ工法をハイブリッドさせたものが、、木造住宅を建てる際のスタンダードになっています。

今回のテーマである「面材」は、壁の面に貼る物を指しているので「面材」と呼ばれているわけになります。家の丈夫にするためには、とても重要なものです。ただ、この面材にはいろいろ種類があるので、何を選んだらいいか分からなくなってしまう方が多いんですね。

代表的なものをザッと書いてみました。構造用合板・OSB・ダイライト・あんしん・タイガーEXボード・ハイベストウッド・モイスです。
(ダイライト・あんしん・タイガーEXボード・ハイベストウッド・モイスはメーカーの商標になります)

まずは構造用合板から説明していきます。世間ではコンパネとも言われていて、ベニヤを構造的に強化したものです。
OSBは木材のチップみたいなものを樹脂で固めたようなものです。最近ロフトなどの店舗に行くと木の板が貼ってあるところなんかがあります。そういうのは大体、このOSBが多いです。パッと見た感じはかっこよくて、近くで見ると粗野な感じがします。それも味という人もいらっしゃいます。

面材を評価するポイントは壁倍率・透湿性・防火性能の3つあると考えています。
壁倍率というのは、1枚の板を貼った時に、それが何倍の強度を生むのかという評価です。基本は1倍で、2倍大きければ壁倍率2、3倍大きければ壁倍率3になります。

透湿性は湿気の通しやすさ・抜けやすさだと思ってください。後でくわしく説明します。

防火性能は文字のとおりです。壁の面つまり外皮に貼りますよね。隣家が火事になったりすると火が燃え移ってしまうところになります。その際に燃えにくい素材を使っていれば防火性能は上がります。
面材は壁倍率・透湿性・防火性能の3つの要素で評価する、という風に覚えておいてください。

壁倍率について解説します。
一般的に構造用合板は2.5倍の耐力を作ると言われてます。普通はN釘というのを15cmおきぐらいバンバンと打つんですね。
これをより強度が出るCN釘に変えて、ピッチも半分の75mmにすると壁倍率は最高で3.7倍まで上がります。
ちなみにOSBは2.5倍、ダイライトは2.5〜3.3倍、あんしんは2.5〜3.2倍、タイガーEXボードは2.3〜最大2.7倍と言われています。(タイガーEXボードは石膏ボードを強化したようなものです。)

ハイベストウッドは2.5倍で、やり方によっては4倍くらいまで出ます。壁倍率4倍はすごいですよね。かなり強度が出ます。
モイスも2〜4倍ぐらいで、構造用合板と同じく釘のピッチの留め方で強度が出てきます。

ちなみに筋交いのスタンダードは、厚みが1.5cm、幅が9cmのものを1倍とします。厚みを3cmにしたら1.5倍、厚みを4.5cmにしたら2倍になります。

柱のような9cm角の筋交いであれば3倍出ると言われてます。
筋交いでも厚みを選べば強度は出るので、枠組工法の人が「在来工法はアカン」と言うのは半分の事柄しか見てないうえでの評価になります。

次は透湿性です。
この中で一番求めやすいというか、買いやすいのは構造用合板になります。ただ、構造用合板って木を薄切りにしたものを樹脂の接着剤で固めているので、強度は出るけど湿気が通りにくいです。樹脂の塗膜が何層にもなっているのと同じなのでね。
OSBボードも同様で樹脂で固めてるから透湿性はあまり良くないです。

一方でダイライト・あんしん・タイガーEX・ハイベストとかは、すべて透湿性がいいと言われてます。

「透湿性が良い=良い面材」というのには訳があります。
壁の断面を描いてみました。

壁は外壁があって通気層があります。赤のところが面材だと思ってください。それから断熱の層があって、多くの場合は気密シートがあって、石膏ボードがあるという構成になっています。

気密シートが入っているので、部屋からの湿気が壁の中に入ったとしても壁体内結露が発生しないように工夫はしています。ただ、完璧に発生しないようにすることは難しいので、面材でもカバーしておきます。湿気が入ったとしても、面材に透湿性があれば湿気が逃げて、どんどん乾いていってくれますよね。

断熱材というのは乾燥すればするほど断熱性が高まっていきます。壁体内結露が起こる条件も外していけるので、この透湿性はとても重要なポイントです。

構造用合板とかOSBはたしかに求めやすいです。でもモリシタでは透湿性を重視したいので、使うのはやめた方がいいかなと思ってます。

防火性の視点で言うと、ハイベストウッドは木の繊維みたいなもので作られているから燃えると言えば燃えますよね。なので防火性は少し低いです。
ただ表面にサイディングのような防火性能がある外壁を持ってきたら、トータルで考えたときの防火性は担保できます。透湿性もいいし、壁倍率も確保できるし、なおかつハイベストウッドって結構安いので、サイディングと組み合わせるのはとてもいいです。

一方で表面に杉板やEPSという発泡スチロールみたいなものを貼って付加断熱をする場合、ハイベストウッドはおすすめできません。杉板やEPS自体に防火性がないので、防火性がない壁になってしまいます。安いし透湿性はあるし壁倍率も出ますが、防火性には難があるんですね。

なので外壁の選び方によってはハイベストウッドもいいよ、という選択肢があることをお伝えしておきます。

「あんしん」やモイスは防火性もいいですが、価格が高いです。それから大工さんにとっては「腰が砕けるー」と思うくらい重たいです。施工性が悪いという点もあるので、その分、大工さんの手間賃が上がります。全体的なコストが上がるので、3つ評価ポイントで判断すると良い物だけど、使い方には工夫がいるという面材になります。

そういう中で僕が1つおすすめしたいのがタイガーEXボードです。
石膏ボードだから不燃材で、かつ湿気をよく通します。壁倍率が低いのは難点ですが筋交いとハイブリッドに組み合わせて補えれば、うまく使えるものになります。これもハイベストウッドのように組み合わせや使い方次第ですね。

なので、ハイベストウッドは外壁の種類で防火性能を担保する、タイガーEXボードなら筋交いの選び方で強度を担保する、という2つの方法がコストバランスが似ているなと思います。

今回の話を踏まえた上で面材を決めてもらうと、地震に強くて、壁体内結露も起きにくくて、さらに火事にも強いという家の実現につながりますので参考にしてみてください。

最後に注意点で、「壁倍率が高いほうがいい」と考えて壁倍率ばかり優先する人が時々いらっしゃいます。

でも強い壁というのにもデメリットがあります。
強い壁というのは、強い応力(台風力や地震力)を受ける壁です。なので強い壁は強い力を受けた分、踏ん張る必要があります。そうするとホールダウンのアンカーボルトに、ものすごい強度が必要だったり、基礎も複雑な鉄筋を組む必要が出てきます。

価格が上がったり、施工しにくい要素になるので、それ自体に強度があっても家全体を考えると力がかかりすぎて弱点に変わってしまうこともあります。

先程お伝えしたように、タイガーEXボードは壁倍率がイマイチですが、使い方次第で上手にバランスが取れる面材もあります。

なので使い方や他のものとの組み合わせも考えて面材を選ぶと、コストを抑えて機能も充実します。工務店さんとかハウスメーカーさんの担当者に、その辺のことをよく相談されて、自分たちに一番フィットする選択をしていただければと思います。

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