「土地探し」春は土地が動く時期。でも気を付けてほしいこと。
今日は、あるお客様から「春になったら土地がすごく動く時期なんですね、なぜ土地は動き出すんですか?」というご質問をいただきましたので、そのことをきっかけに、気をつけていただきたいポイントも含めて解説していきたいと思います。いつものように、僕の板書を見てもらいながら進めていきますね。
なぜ春に土地が動くのかというと、別に明確に決まっているわけではないんですけど、長くこの仕事をしている中で、やっぱり春は動き出すなという体感はあるんです。少し考えてみると、日本のライフサイクルが関係していると思うんですよね。企業であれば異動や転勤、入社や配置替えといった動きが春に集中しますし、子どもたちも入園・入学や進級のタイミングですから、それに合わせて転居するケースも多いです。そういう意味で、春はひとつの節目になりやすいんですよね。
さらに大きいのは、家づくりのスケジュールです。注文住宅は設計から完成まで、急いでも半年から8ヶ月くらいはかかりますし、その前に土地探しも数ヶ月は必要です。つまり、トータルで1年くらい見ておかないといけない。例えば「来年の4月に子どもが入学だから、それまでに家を」と考えると、今すぐ動かないと間に合わないんですよね。こうした現実に気づいた方が「そろそろ決めないと」と動き出すのが、春から夏にかけてというわけです。
また、売る側の事情もあります。年度末に向けた事業計画や決算の影響で、3月前後は販売を強化するタイミングになりますし、住宅手当や社宅制度の見直しなども重なって、市場全体が活気づきやすいんです。さらに、法改正が4月に行われることも多く、駆け込み需要が発生することもありますし、固定資産税の関係で在庫を早く売り切りたいという動きも出てきます。寒冷地では雪解けによる心理的な要因もありますよね。こうしたいろんな要素が重なって、「春は土地が動く」という状態が生まれているんだと思います。
ただ、ここで大事なのは「春だから正しい」という話ではなくて、何かをきっかけに行動に移すこと自体はすごく良いことだという点です。ただし、土地探しは土地を買うことがゴールではなく、その先の家づくりと暮らしがゴールですから、そこを見失わないでほしいんです。春は物件が出やすく、動きも活発になるので、これまで動かなかった土地が一気に売れたり、連鎖的に埋まっていくこともよくあります。そうなると焦りが出て、判断が雑になりやすいんですよね。
だからこそ必要なのが、事前の準備です。まずひとつは「判断の軸」を持つこと。この条件は絶対に外せない、この条件は妥協できる、といった優先順位をはっきりさせておくことが大事です。できればご夫婦で紙に書き出してみてください。いわゆるシンクオンペーパーですね。頭の中の考えを文字にすると、客観的に見えて整理されるので、すごく効果的です。
もうひとつが資金計画です。土地の価格だけで判断しがちですが、実際は土地+建物+外構+諸費用を含めた総額で考えないといけません。例えば土地が安くても、擁壁が必要だったり、盛り土や残土処分が発生したり、上下水道の引き込みが不十分だったりすると、あっという間に数十万円、場合によってはそれ以上コストが増えます。浄化槽が必要な地域や、地盤改良が必要なケースもありますよね。こうしたことを把握せずに土地だけで判断すると、後で大きなズレが出てしまいます。
それから日当たりも、今だけで判断しないことが大事です。春は日が長いので良く見えますが、冬至の頃はどうか、将来周囲にどんな建物が建つ可能性があるか、といった視点も必要です。今は平屋ばかりでも、将来建て替わる可能性は十分ありますから、その地域の建築条件も踏まえて考える必要があります。
最近は空き家が増えて、旧市街地の土地もよく出てきます。利便性が高く魅力的ですが、境界が未確定だったり、越境物があったりと、注意点も多いです。こういうところは不動産会社任せにするのではなく、自分たちが建てたいと思っている会社の設計や施工の担当者と一緒に確認するのがおすすめです。例えば「水道引き込みあり」と書いてあっても、実際は細い管しか入っていないケースもありますから、図面などでしっかり確認することが大切です。
さらに、ハザードマップと土地の履歴も必ずチェックしてください。浸水や土砂災害のリスク、地形、過去の利用状況などを見ておくことは基本ですし、擁壁や排水の状態も専門家と一緒に見た方が安心です。
最後に契約条件です。買付証明を出してから契約までの期間は短いので、事前に契約書や重要事項説明の内容を確認させてもらうようにしましょう。ローン特約が付いているか、更地渡しなのか、境界確定や測量の負担はどうなるのか、残置物の扱いはどうか、といった点はしっかり明文化してもらうことが大切です。開発地の場合は、インフラの維持管理の責任範囲なども確認しておくと安心です。
こういったポイントは、これまでも繰り返しお伝えしてきた内容なんですが、特に動きのある春だからこそ、改めて意識していただきたいんです。準備ができているか、聞くべきことを聞けているか、チェックすべきことを押さえられているか、そのあたりを確認しながら進めていただければ、土地探し、そして家づくりはきっとうまくいくと思います。


