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室内ドア(建具)の種類とメリット・デメリット

今日のテーマは「室内ドア(建具)の種類とメリット・デメリット」です。

私の板書を見てください。まず室内ドアには大きく3つの種類があります。
開き戸・引き戸・折れ戸になります。引き戸のバリエーションに吊り戸というのもありますので、今回は「開き戸」「引き戸・吊り戸」「折れ戸」と書きました。

まず開き戸です。開き戸には「片開き戸」というのがあります。
ドアには吊元と言って蝶番を取り付ける側を指す言葉があります。左吊元・右吊元とあって「片開き戸」はどちらか片側だけ開くというものです。これは一番ポピュラーです。長所はコストが一番安く済むことです。壁の制約があまりないのでスイッチ類とかも付近に付けやすいです。

もう1つ大きなメリットに音漏れが少ないことがあります。片開き戸というのはラッチがあって、カチッと閉まります。戸当りの所にモールとかがあればグッと圧着するので音の抜けが少ないです。トイレの音が気になるとか、寝室で音漏れするのが気になるという場合は片開き戸が一番いいです。ちなみに防音ドアは片開き戸と決まっています。

次が両開き戸です。観音開きなんて古風な言い方もしますよね。押し入れとかに使うことが多いです。この両開き戸の1つのバージョンとして親子ドアというのがあります。親子ドアで一番よく見るのは玄関ドアです。 家具の搬入とか掃除をする時に、小さい袖の所が開くものがありますよね。大きなほうが親で小さい方が子ということで親子ドアと言われます。

普段、子と言われている方は固定しておくことが多いと思います。フランス落と言ったりもします。昔はリビングなんかでも使われていましたが、最近は少なくなったと思います。

2つ目の引き戸になります。日本人は引き戸が好きですよね。最近だと若い人もよく取り入れられています。

引き戸で何がいいのかというと、ドアが開く方の空間を邪魔しないということです。
大抵、引き戸には下側に戸車という小さいタイヤが付いています。その下の床側にレールとか敷居の樋が切ってあって、その上をスーッと動くことで開閉します。ただ、これだとレールの溝にホコリがたまったりしますよね。このデメリットに対してできたのが吊り戸です。上吊りですね。

最近は金物とかレールとかがいろいろ改良されて、建具自体は宙に浮いている仕様になっています。レールは上の方にあります。水回りみたいに、人の出入りが多くて、ホコリ・体毛とかが落ちやすい所で、最近は非常に重宝されています。掃除がしやすいですからね。

引き戸と吊り戸のどちらにも一番多いもので、片引き戸というのがあります。
普通の壁が10cmぐらいだとしたら、その半分ぐらいの薄い壁があって、もう半分のスペースに扉が収まるというものです。日本人は非常に馴染みがあるものですね。

ただ、住宅営業の人の中には、片引き戸を作るのを嫌う人がいます。なぜかと言うと値段が上がるからです。1.5倍ぐらいは上がるはずです。

例えば片引き戸が好きな人だと、あらゆる扉を片引き戸にしたいとおっしゃられます。1ヵ所なら1.5倍で済みますが、それが10ヵ所とかになると結構な値段になりますよね。見積もりが高くなって嫌な表情になられるのを避けたいので、「ちょっと片引き戸は…」という反応をとられることがあります。

片引き戸に近いもので、引き込み戸というのがあります。
片引き戸は半壁の中に納まりますが、引き込み戸だと壁の中にすっぽり入るような仕様になります。

例えば隣に部屋があって、収納を取りたいときがあるとします。そうすると戸がしょっちゅう開閉するのは不便ですよね。玄関とかリビングのような、多くの人が目にする空間だと戸が見えるのはデザイン的にあまりよくないから引き込み戸にしたい、というケースもあります。当然、値段は片引き戸よりも掛かります。

引き込み戸のデメリットは掃除がしにくいということです。結構ホコリが溜まるのに、掃除がしづらいです。あとは僕たちのような住宅業者としても仕事がしにくいので、あまりやりたがらない人もいます。
掃除が大変だったという人もいます

次は引き違い戸を紹介します。これは最もスタンダードな引き戸・吊り戸です。
メリットは片引き戸と違って両方から通れることです。戸を外せば1間の空間が確保できる、というのもあります。

引き違い戸に対して、引き分け戸というのもあります。時代劇に出てきそうな感じのものです。あれは4枚の襖で引き分け戸になっています。両側に戸袋を持つというパターンもできます。扉を開けた時に1間という空間が空くのは解放感があっていいですよね。リビングと続きの部屋に引き分け戸をやると、引き違い戸より空間的な繋がりが強化できるのもいいところです。

3枚建ての引き戸・吊り戸もあります。普通、引き違い戸の下のレールは2本ですよね。3枚建ては3本、扉の枚数も3枚で段々に入れていくものです。これのいいところは、どちらかにガーッと開けたら1間の空間ができるところです。3枚外せば1間半という繋がりが持てます。敷居の幅は取りますが、4枚建てとかもできますね。一般的な家だと4枚建てぐらいが限界だと思います。

そういうようなものがあります

引き戸・吊り戸のバリエーションの1つで、アウトセット吊り戸というのがあります。
先程、片引き戸は半壁、戸袋を作らないといけないと言いました。アウトセット吊り戸だと、壁はそのままに、その外側にレールを付けて扉を開くことができるというものです。

木造住宅は耐力壁というものが必要です。耐力壁を考えると「ここは半壁にできないな」ということがあって、吊り戸が付けられないことがありました。でもアウトセット吊り戸なら、今までは吊り戸が付けられなかったところにもできるようになります。これはすごく便利です。ぜひ知っていただければと思います。

併せてお伝えしたいことがあります。
最近は軽い力で開く引き戸が好まれますが1つ欠点があります。それは勢いよく開けた時に、バチンって強く当たるとか、指を挟んだりする危険があるということです。これらを緩和するために、ゴムの戸当りを付けたり、ストッパー付きのレールを入れて怪我を防ぐというのがありますので、一緒に覚えていただけたらと思います。

最後に折れ戸を紹介します。
開き戸と同じで、片折れ戸・両折れ戸があり、もう1つ中折れ戸というのがあります。

片折れ戸と両折れ戸は観音開きのように開くものですね。開き戸と違って扉が畳まれるので、出っ張りが少なく済むのが特徴です。例えば廊下のような空間に片開き戸があると、人が通るスペースを邪魔してしまいますよね。片折れ戸、両折れ戸ならそういうことが緩和されます。

ただ、建具としては複雑になるので故障は多いという欠点があります。勢いよく開け閉めすることを何年もしていたら、蝶番が壊れたり割れたりする可能性もゼロではありません。あと、必ず折り代が要るので想像よりもフルに開かないというのがあります。間口としては狭くなるんですね。

なので、お布団を入れる収納に両折れ戸を使うと、思ったよりも入り口が開かなくて、お布団をグッと折って仕舞わないといけない、ということがあります。

中折れ戸も説明します。スケッチに書いてみましたが伝わっていますか?
普通、戸は1枚ですが、中折れ戸は2:1みたいな感じで構成されていて、蝶番が2ヵ所付いています。なので、扉がカキッと畳まれて、扉の旋回半径というのが小さく済みます。片折れ戸とか両折れ戸と一緒で、扉を開けた向こうの空間に対しての制約が少なくなります。

たださっきも言いましたように、折れ戸は複雑なので故障しやすいというのがデメリットです。しっかりした蝶番を使ったりしないといけないので、コストも掛かります。片開き戸の金額が1にだとしたら、中折れ戸は3ぐらいになります。

ただ、コンパクトな家を希望されていて、空間的にどうしても中折れ戸を使った方がいいこともありますので、状況に合わせて選んでみてください。

ここまでいろんな室内ドアを紹介してきました。最後に最近登場したハイブリッドな建具も紹介したいと思います。「ひきドア」というものです。ちなみに「ひきドア」は商品名で、大建工業さんが出されているものになります。

スケッチに、よくあるトイレと廊下の配置を描いてみました。
一見、3枚建ての扉に思えますが、この扉は途中まで引き戸として引き込まれて、最後にパカっと開きます。さらに「ひきドア」は180°開きます。

まず開けた時には約60cmの幅があります。引き込まれたら1mほど開いて、180°フルに開けたら1m10cmぐらいになるというようなことが起きます。これはすごいことです。

例えば、将来、両親が車椅子生活になった場合、「トイレを広くしないといけないですよね?」と考える方が多くいらっしゃいます。でも一方で、そういったことになるのは大分先のことだから、今はトイレにそこまでのスペースを取りたくないという考えもあると思います。

そういうとき「ひきドア」を使うと、廊下の空間を一時的にトイレ空間に取り込むことができるので、車椅子の方でも使いやすくなります。また、自宅で介護となると粗相をして便器周辺を掃除する頻度が高くなると思われます。「ひきドア」だと扉がパカっと180°開くので、便器周辺が掃除しやすくなります。そういう面でもすごくいいなと思った商品です。

将来のことを考えて、これだけの開口は確保できるように柱を入れないようにしておく。その上でリフォームする時期が来たら施工してもらうというのもいいですよね。

ただ、この「ひきドア」には1つ欠点があります。価格が高いです。片開き戸の6倍ぐらいはするかもしれません。(製品にバリエーションがあるので調べていただければと思います。)

現場施工の建具になると、蝶番はどうしても一般の蝶番を流用という形になります。ここまで極端な力がかかるような想定の蝶番ってなかなか無いです。あったとしてもデザイン的に野暮ったかったりします。なので、こういう所は上手に建具の専門メーカーさんの商品を活用されることをオススメします。大建工業さんや永大産業さん、パナソニックさん、LIXILさんなどがいろいろな商品を出されていますのでね。

ちょっと値段は張るかもしれませんが、いい建具を使うと今あるスペースを活用することができます。僕は土地を買うようなものだと思っています。そう考えると決して高くはない買い物だと思います。

ちなみに僕の場合、室内ドアは基本引き戸・吊り戸派です。モリシタでは全館空調を手掛けているので、家の温度差が小さいです。なので、室内ドアを閉める必要があまりないですし、家族と住む空間ですので「扉は開けっぱなしでも問題ない」と考えるお客様が多いからです。

それぞれにニーズやメリット・デメリットがあるので、いろいろバリエーションを知っていただいて間取りを考えていただくと、満足度の高い家づくりにつながるはずです。

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