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Q&A:断熱材は屋根と壁それぞれどんなものを使ったらいいですか?

今日も動画を視聴していただいている方からいただいた質問に、少しお答えしていきたいと思います。いただいた質問というのは、少し前にも解説した内容にちょっと似ているんですけど、断熱材に関するご質問なんですね。断熱材って大きく分けると、屋根と壁というパートに使われると思うんですけど、それぞれどんなものを使ったらいいんですか、という質問でした。それに加えて「同じ材質に揃えた方がいいんですかね」という、わりと素朴で基本的な疑問ですね。なので今日はそのことをネタに、少し解説をしていけたらと思います。いつものように僕の板書を見ていただきながら、なんだかんだ世間話に付き合ってもらえたらうれしいなと思います。まず結論をサクッとお伝えしておくと、屋根と壁の断熱材は必ずしも同じ材料に揃えなくていいです。もう言い切っておきます。揃えてもいいですし、揃えなくてもいいです。どちらかというと、あなたが建てたい家の間取りとか断面構成とか、そういう条件に合わせて適材適所で材料を選ぶのがいいんじゃないかなと思います。

ちなみに屋根に関しては、僕は繊維系のセルロースファイバーを使うことが多いんですけど、グラスウールでもロックウールでも全然いいと思います。ただ、厚みは大体最低でも20cmくらいは欲しいですね。最近は夏の暑さがかなり激しくて、しかも長期間続くようになってきましたから、個人的には25cmくらいあった方がいいんじゃないかなというのが僕の基本的なスタンスです。ただし、屋根断熱で大事なのは断熱材だけにフォーカスすることじゃないんですね。断熱性能を担保しながら、家の耐久性をどう維持していくかという視点がすごく大事です。屋根まわりで一番傷みやすいのはどこかというと、実は「のじ板」なんです。みなさん屋根材をカラーベストにするか、ガルバリウムにするか、という話はよくされるんですけど、もちろんそれも大事なんですが、それ以上にその下地がどういう材料で、どういうふうに保全されるかの方が重要だと僕は思っています。どれだけ立派な屋根材を使っていても、下地ののじ板がボロボロになっていたら意味がありません。だから、のじ板の上下にどれだけ通気・換気がしっかり考えられていて、空気の流れがスムーズになっているか。ここがすごく重要なんですね。僕は屋根の断熱を考えるとき、断熱材の種類だけじゃなくて、こういう納まりも含めて判断しています。

一方で壁の断熱材については、コストパフォーマンスで考えるとグラスウールとかロックウールがいいんじゃないかなと僕は思います。コスパというのは、以前動画でもお話しした熱貫流率、いわゆるU値の話と関係してくるんですが、その辺は少し分かりにくいところもあるので、よかったらまた別の動画も見てもらえたらと思います。基本的には繊維系の断熱材を使って、防湿気密シートをしっかり施工して気密を取る。そして外側には外壁の通気層を設けて、万が一壁の中に湿気が入ったとしても、速やかに乾いていくような復元性のある構成にする。こういうグラスウール断熱の組み方が、バランスとしてはいいんじゃないかなと思います。もちろんコストを気にしないのであれば、ネオマフォームみたいな高性能断熱材を使うという選択もありますし、他の方法もあります。ただ、どんな材料でも結局は施工や構成がきちんとしていれば問題ない、というのが僕の考えです。

それから最近は「できるだけ高性能な家にしたい」という方も多いですよね。その場合、今の一般的な充填断熱というのは柱と柱の間に断熱材を入れるので、厳密に言うと柱や間柱の部分は木材であって断熱材ではありません。ここは熱橋、いわゆるヒートブリッジになって、少し熱が逃げやすい場所になるんですね。それが気になる方は、外側にボード状の断熱材を貼る付加断熱、あるいは外断熱のような形にすると、ヒートブリッジがかなり減るので安心感は高くなります。こういうふうに考えていくと、まさに適材適所ということなんですよね。屋根と壁を同じ材料にするかどうかよりも、家全体の構成の中でどう使うかの方がずっと大事だと思います。そして断熱材の性能や種類だけでなく、コストがどれくらいかかるのか、さらに空調計画や空間計画まで含めてトータルで考えてほしいなと思います。

さらに言うと、断熱材ばかりに注目してしまう方が多いんですが、同じくらい重要なのが気密です。例えば充填断熱をする場合でも、気密シートを梁までしっかりまたいで施工することが大切です。昔の家では、断熱材自体は入っているのに床下の冷気が壁の中に入ってしまったり、梁のところから空気が抜けてしまったりするケースがよくありました。いわゆる気流が壁の中に入り込む状態ですね。こういうことがあると、せっかく断熱材を入れていても性能が大きく落ちてしまいます。それからオーバーハングといって、2階の床が1階の壁より張り出すような設計をすることもありますよね。ベランダなんかもそうですが、こういう部分は断熱材の連続性が途切れたり、気流が入り込んだりしやすいので注意が必要です。断熱材を入れたのに、気密が取れていなくて空気がスースー通ってしまう、ということが意外と起こるんです。

もう一つ、天井断熱を厚くする場合の注意点もあります。天井断熱は断熱材を積み重ねるような形で施工することが多いんですが、屋根の垂木部分には通気を確保したいんですね。ところが断熱材がそこに入り込んでしまうと、通気層を狭めてしまうことがあります。こういう場合は、板のようなものでスペースを確保したり、断熱材を少し削ったりして、垂木の通気を邪魔しないように納めます。これは気流止めというより、通気や換気をしっかり機能させるための工夫なんですね。こういうディテールが実はすごく重要なんです。

気流の話で思い出したんですが、先日僕の友人がモンゴルに行ったらしいんです。冬はマイナス20℃くらいになる、とても寒い地域ですね。それでアウトドアメーカーのモンベルの、かなり立派な冬山用ダウンジャケットを着て行ったらしいんです。ところが馬に乗ったときに、ウエストが絞れていなくて下から風がスースー入ってきたらしいんですね。マイナス20℃の風がヒューっと入ってきて、こんなに分厚いダウンジャケットを着ているのに、めちゃくちゃ寒かったと言うんです。それで「森下さんがいつも建築で気流止めが大事だって言ってますけど、ダウンジャケットも同じですね」と笑いながら話してくれて、僕も「せやろ」と言って盛り上がったんです。これ、すごく分かりやすい例えですよね。ごついダウンジャケットというのが、いわば分厚い断熱材なんです。でも下から風が入るなら、薄いダウンでも風が入らない方が絶対に暖かい。これが気流の怖さなんですね。

だから断熱材の話になると、どうしても材料の性能ばかりに目がいきがちなんですけど、実際の建築はもっとトータルなシステムなんです。どこか一つだけを強くしても、全体がバランスよく機能していなければ意味がありません。人間の体と同じで、いろんな仕組みが精緻に連動して動いているんですね。なので断熱材の種類だけで判断するのではなく、気密や通気、納まりまで含めてきちんと考えてくれる設計者や施工者と家づくりをしてほしいなと、僕は心の底から思っています。寒い季節はこういうことを実感しやすい時期でもありますので、ぜひその観点をもう一度大事にしていただけたらうれしいです。

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