エアコン中休み! 秋にやっておきたい4つのお手入れ
ようやく長かった夏も終わりつつあって、ようやく涼しくなってきましたね。そうなると、人間って元気なもので、あれだけ恋しかったエアコンも一旦止めて、窓を開けて風を通すような季節になってきますよね。今日は、そんなこの時期だからこそ知っておいていただきたい「エアコンのお手入れ」について、少しお話ししたいと思います。いつものように僕の板書を見ながら聞いてもらえたらと思います。
さて、この夏も本当に暑くて、高温多湿でジメジメして嫌になるほどでしたけど、そんな中でエアコン君は本当によく働いてくれました。エアコンの中にあるフィン、つまり熱交換器の部分に冷たい冷媒が通って、除湿をして結露させた水を外へ流すという働きをしてくれていたんですね。今の時期はちょうど中休みでエアコンを止める方も多いと思いますが、だからこそぜひやっておいてほしいお手入れがあるんです。今日は大きく4つ、お話しします。
まず1つ目は、外回りやフィルターのお掃除です。これが基本ですよね。フィルターを外してみると、驚くほどホコリが溜まっていると思います。リビングなんかだと油汚れがついていることもあるので、はたきや掃除機でホコリを取ってから、中性洗剤で洗って水洗いしてもらうといいです。「うちは自動掃除機能付きやから大丈夫」と思われる方もおられるかもしれませんが、あれも完全にキレイにはしてくれません。特にダストボックスの中にホコリが溜まっていることが多いので、そこも忘れずにチェックして、きれいにしておきましょう。
2つ目は少しハードルが上がりますが、内部の汚れの掃除です。まずは取扱説明書を見ながら、カバーの外し方を確認してください。無理やり外すと爪が折れたりしますから注意です。カバーを外したら、吹き出し口のルーバー(スラット)も取り外せるタイプが多いので、外してみてください。ファンが外せる機種なら取り外して、ファンの奥にあるラジエーター部分を拭いてあげるといいです。その際は必ず電源プラグを抜いて、電子制御部分には水がかからないように養生しておきましょう。
それから、ホームセンターなどで売っているエアコン洗浄ムースやリンスを使うのもおすすめです。まずムースで汚れを浮かせて、リンスで仕上げるとコーティングのような膜ができて、次に汚れがつきにくくなります。もし内部がひどく汚れていたり、手が入らない構造の場合は、プロの業者さんにお願いするのもいいと思います。
3つ目は「ドレインポンプ」を使った排水ホースの掃除です。これ、すごく大事です。ドレインホースという細い管が室外機に向かって伸びていて、結露した水を外に排出しています。そこにスライム状の汚れが溜まって目詰まりを起こすことがあるんですね。ホームセンターで売っているドレインポンプという道具を使って、ホースの口に当ててシュポシュポと吸い出すと、ドロッとしたスライムが出てくると思います。これが水漏れの原因になるので、特にまだホースの中に水分が残っているうちにやるのがポイントです。乾いてしまうと固まってしまって取れませんからね。
そして4つ目。最後に「送風運転」をしてください。フィルターや内部を掃除した後は、エアコン内部にまだ水分が残っています。そのままだとまたカビが発生してしまうので、送風モードで3時間ほど回して乾かしてあげましょう。送風機能がないエアコンでも、冷房を最高温度に設定して風だけを送るようにすれば同じ効果が得られます。これをしておくことで、冬まで気持ちよく使える状態を保てます。
今回この話をしたのには理由があって、ここ3〜4年ほど、夏場にエアコンが壊れるという話をよく聞くようになったんです。特に山の中や田んぼに囲まれたお家で多いんですが、街中でも起きています。その多くが「ガス漏れ」で、冷媒管に小さな穴があくという故障なんです。以前はほとんど聞かなかったトラブルなんですが、最近急に増えました。
これは気候変動の影響で、高温多湿の状態が長く続くようになり、エアコンが想定以上の除湿を繰り返すことで、内部が錆びやすくなっているんだと思います。さらに、自動掃除機能の過信も原因のひとつかもしれません。自動で掃除してくれるとはいえ、すべてのホコリを取っているわけではありません。そうした汚れが水分と混ざってスライム状になり、金属の腐食を進めてしまうんです。
それに加えて、メーカーもコストダウンや省エネ性能の競争の中で、以前より耐久性が下がっている可能性もあると、専門家の間では言われています。中にはステンレス部品をスチールに変えたケースもあるようで、これが錆びの原因を助長している面もあるかもしれません。最近では「ギ酸」という空気中の成分が銅管を腐食させるという問題も指摘されています。
ただ、メーカー側もそれを認識していて、耐久性の高い合金を使った部品を供給し始めているという話もあります。そうはいっても、発売までには時間がかかりますし、私たちが今すぐできることは、やはり「お手入れをしっかりすること」なんですね。
うちにも85歳になる母がいますけど、「壊れるからエアコンを切っとけ」とは言えません。健康を守るためには、やっぱり24時間でもつけておくしかない。でもその中で、送風運転を取り入れたり、エアコンを乾かす時間を作ったりすることで、少しでも負担を減らすことができます。たとえば日中家に誰もいない時間帯に送風モードで乾かしておく、夜中の数時間だけ送風運転を入れる、そんな工夫もいいと思います。
最近では、ネイチャーリモやスイッチボットなど、スマホで家電を自動制御できる機器もありますよね。あれを使えば、エアコンのオンオフや送風モードへの切り替えを自動化できます。こうしたものを活用して、少しでもエアコンの負担を減らし、長持ちさせていくのが、これからの時代の知恵じゃないかなと思います。
そしてもし余裕があれば、1台に頼りすぎず、エアコンを2台に分けて運用するのもおすすめです。どちらかを休ませながら使うと負担が減りますし、万が一片方が故障しても安心です。
これからのエアコンは、「使いっぱなし」ではなく「手をかけて育てる家電」になっていくのかもしれません。なるべく自分でできる範囲の手入れをして、長く気持ちよく使っていけるようにしていただけたらと思います。