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50年以上持つ家とは?(屋根編)

今回は「50年以上持つ家」という視点で屋根についてお話をしていきます。

家を建てるのであれば、どなたも50年以上の長期に渡って安心・安全で暮らせる家が欲しいなと思われますよね。
その時いろいろなことを気にされるはずです。家づくりの現場でお客様から一番よく聞かれるのは壁です。「この壁って何年持つんですか?」とか「メンテナンスにどれくらいの費用がかかりますか?」「サイディングはダメなんですか?」「塗り壁がいいですか?」「木を貼ったらどうなんでしょうか?」とかですね。

でも僕は家の耐久性を気にするなら、一番意識すべきなのは屋根だと考えます。

僕のスケッチを見てください。

1軒のお家を建てたとき、雨とか風の影響を一番受けるのは屋根になります。
耐久性において脅威となるのは何かと言うと、1つ目は紫外線です。紫外線劣化というのはなかなか強烈です。紫外線に強いと言われている樹脂のもの、例えばポリバケツとかも外に出しておいて時間が経つと、だんだん白くなってきて終いには割れますよね。それぐらい紫外線って物を劣化させる力があります。
もう1つは水です。雨漏りもあるし結露も、家にとっては大敵です。

紫外線と水のダブル攻撃で家は苛まれていきます。

屋根というものを考えた時に、いろいろな意見が出てくると思います。
瓦がいいとか、ガルバがいいとか、シングルがいいとか、コロニアルがいいとかですね。耐久性を重んじて「瓦じゃないと屋根じゃない」とおっしゃられる方もいます。確かにそうですね。瓦は紫外線に強いです。

でも、いろいろな意見がある中で、僕は表面材より下地をどうするかのほうが大切だと考えています。

表面材というのは劣化しても、目に見えるから、すぐに対処できます。(お金はかかりますが。)
でも下地は目に見えにくいので、知らないうちに傷みが進行している可能性があります。なので表面材の劣化よりも怖いなと思うんですね。

屋根には表面材を支える板があって野地板と言います。この野地板の耐久性が、実は屋根の耐久性に大きな影響があるんですね。

スケッチに3つのパターンを書いてみました。
例えば坪単価が80〜90万円もするようなハウスメーカーさんでも、分譲住宅と言われるような比較的安い家でも、屋根は今から説明するパターン1を採用されていることが多いです。

パターン1の構成を解説していきます。
まず屋根垂木というものがあります。屋根垂木の寸法はいろいろなケースがあります。50×100mmとかそういう寸法がある屋根垂木の上に、今は12mmの構造用合板みたいなコンパネと呼ばれるものをバーンと貼って、これを野地板としてることがものすごく多いです。その上にゴムアス系のルーフィングを葺いてるケースが多いですね。その上に屋根材がのってきます。

なぜこういう造りを採用しているかというと、防水性能が高くてコストも一番安く済むからなんですね。

ちなみにゴムアス系のルーフィングにはグレードがあります。耐用年数が10年のもあれば、30年、40年、50年というのもあります。このルーフィング自体にも品質があるのですが、下地は12mmの合板になっています。

このパターン1の屋根は、僕もこれまでたくさん関わってきました。でも立地条件とか屋根の形状によっては、軒先とか建物の妻側のケラバの所とかから長い時間をかけて水が少しずつ入ることがあります。それは雨水の時もあれば、結露の時もあります。その結果、野地板が傷んでしまってる、ということが結構ありました。

昔は野地板と言ったら、バラ板というのをペタペタ貼ったものを指していました。野地板自体に隙間があったので乾燥しやすかったんですね。一方で合板は強度はあるけど、接着剤で連続させているから上下の通気がしずらいです。木の中にも接着層があって、塗膜みたいなものなので覆われているのと同じになっています。

木というのは、濡れてもすぐ乾けば意外と長い期間持ってくれるんですが、水分とか紫外線に攻撃され続けていると、だんだんボロボロになっていきます。

この木の弱点に対してのアプローチがパターン2になります。僕の師匠の松尾和也先生がよく採用されている収まりになります。
屋根垂木に対して登り梁と言って、50×100mmよりも大きな100×100mm以上の寸法のものを使います。この大きな登り梁を屋根の勾配に掛けて、その上に24mmの合板を野地板として打ち付けます。

これは1つ目のものより強度が上がるし、なんと言っても合板に厚みがあるので、下地がゴソゴソになったり、バキバキに傷むのを抑えられて耐久性が高くなります。12mmと24mmって数値で示すと分かりにくいかもしれませんが、並べて見ると結構違います。

コストは上がりますが、何十年後も野地板の安全が担保されているということは、建物の耐久性があまり落ちてないということになるので、それだけの価値があります。
さらに松尾先生はゴムアス系のルーフィングではなく、透湿ルーフィングを使われています。

ゴムアス系というのは名前のとおりゴムなので、水も何も通さないようなものですが、透湿系ルーフィングというのは湿気は吐き出してくれます。商品名だとタイベックとかウルトになります。金額が少し張りますが、メーカーが50年以上の耐久性があるということを言ってますので、性能は非常に良いものです。

3つ目のパターンが2重野地板というものです。予算が許すのであれば、ぜひこれをおすすめします。

2重野地板ということなので、野地板が2枚あります。それぞれ厚さ12mmですが、登り梁の上に、まずは12mmの野地板を貼るんですね。その上にゴムアス系のルーフィングを貼ります。僕なりの言い方をすると一次防水です。ここは雨が入ることは少ないので、ゴムアス系のルーフィングでいいと僕は考えています。

このルーフィングの上に1重垂木を並べて、その上に野地板の12mmを貼り、その上に先程出てきた透湿ルーフィングを張ります。そして最後に屋根材ですね。こうすることで通気ができますし、透湿ルーフィングを使っているから、仮に上の野地板が水分を持ったとしても乾燥を促進できます。

透湿ルーフィングを選ぶ際、技術者の中には「透湿ルーフィングは確かにいいんだけど防水性で比べるとゴムアスの方がいいんじゃないの?」という意見を持っているケースもあります。

そういうことも考慮すると、透湿ルーフィングは湿気を吐き出してくれるのはいいけど、もしかすると雨漏りみたいなことが起きるかもと想定して2重にして、下側はゴムアス系ルーフィングを使うのがいいかなと考えています。

ポイントは、野地板をいつも通気をさせて乾燥を促進させる、カラカラの状態をキープするということになります。

パターン2・3はパターン1に比べるとお金が掛かります。ゴムアスルーフィングより透湿ルーフィングの方が金額が高いです。でも、それだけの良さがあります。

一方で、透湿ルーフィングは耐久性もあるし、湿気もなくしてくれるけど、防水性に関してはゴムアス系のほうが少し強いかもしれません。なのでパターン3のように野地板を分厚くして2重にしておけば、透湿ルーフィングを使うことへの不安が緩和されるのでは、と思います。

「家には水が1滴でも入ったらアカン。阻止せなアカン」と考える人が結構いらっしゃいます。でも家は潜水艦とは違います。「隙間はあるけれど水が切れていくようにしているから、防水性が担保されていますよ」というのが家づくりの収まりになります。なので水が入るのを阻止できているかどうかというのを、そこまで心配されなくても大丈夫です。

最後にガルバの話もしておきます。
瓦というのは波があるので、ルーフィングとの間に隙間が生まれて通気が確保できます。でもガルバはペチャンと置くから、上側の通気する量が少ないんじゃないかと心配される人がいらっしゃるんですね。この不安に対して、最近いいものが出てきました。ガルバの屋根の一種で通気立平というものがあるんです。

日頃家づくりについて、いろいろお世話になっているハウゼコさんという会社さんが特許を取られています。

もともとガルバは平板みたいなのを連続させて、繋いでいくようにして葺いています。通気立平は折り曲げて形成されているので隙間ができるんですね。(僕が言うと簡単に聞こえますが実際にやるのはすごく大変です。)そういう風にして、透湿ルーフィングとガルバの間の通気を促進します。

以前は「網状態」と言って、網目みたいなのを上に入れる方法もありました。今も使われることがりますが、結構お金が掛かります。
でも通気立平だと、網状態ほどお金をかけずに同様の性能が担保できるので、通気立平という形でより野地板の乾燥を促進していくことを実施することもあります。

家の耐久性を高めるなら、何百万円もかけてタイル工事をするより、屋根にお金をかけるほうがいいと思います。(金額も何百万するようなものではありません。)
野地板とか屋根材の形状を工夫することのほうが、トータルで50年以上持つ家というのに近づきます。

今回は技術論だったので、難しいなと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、少し頭に置いていただいて家づくりを進めていただければと思います。

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