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斜め配置で4つの庭をつくるメリット

家づくりを考える時に、建物の大きさや形がなんとなくイメージできてきた段階で、一番最初にやらなきゃいけないこと――それは「敷地に対して家をどう配置するか」ということなんです。ここをちゃんと考えないと、家づくりは良くなっていかないというのは、これまでも違う動画でいろんな角度からお話ししてきましたが、今日はその中でも“極めつけ”のようなアプローチを1つ、ご紹介したいと思います。題して「斜めの配置をして4つの庭をつくる」。この配置のメリットなどを、少し掘り下げてお話ししていきますね。

ある敷地の中にA案・B案という感じで配置を描いたものです。ざっくり言うと、四角い敷地に対してスクエアな建物を常識的に配置した場合、こういう形が多いと思うんですよね。北側にできるだけ寄せて、縦列駐車で2台分の車を確保しつつアプローチも取って、南側を東西に長くしてデッキをつくって…いかにも“それらしい”配置。お隣の家も左右にあって、まぁ普通はこんな感じかな、と思われる方が多いと思います。

でも、今から15年ほど前になりますかね。九州に「シンケンスタイル」さんという、僕らから見たら本当にカリスマ的な設計施工の会社があって、その代表の迫社長――工務店業界では神様みたいな方なんですが――その迫社長のお話を読んで、すごく驚いたことがあるんです。それが「建物の軸を30度ずらして配置してみると、非常に豊かな家になる」というお話。今日は正直その“受け売り”なんですけど、これがなかなか受け入れがたいというか、設計者の中でもこの形を一度考えてみる人は少ないんです。ましてやお施主さんに提案すると、「え?斜めに?」と驚かれる方が今でも多いです。

もちろんうちの会社でも、全部が全部を斜めにしているわけじゃありません。でも、斜め配置の家も実際にあります。まず大事なのは、「配置を考えるときに何を軸にするか」。これはあくまで敷地の方位です。どちらが北か、どちらが真北か、磁石で測ると磁北と真北には7~8度くらいの差があるんですけど、そのくらい細かく意識して敷地図に落として考えることが大切なんです。

現場監督の立場から言うと、通常は道路や隣地、あるいは後ろの塀に平行に建物を配置するのが当たり前です。「平行を基準にして積み出しをする」なんていう現場の慣習もあるので、平行じゃない配置というのは、正直ちょっと手強い。だからなかなか“斜めに振る”という発想には行かないんですよね。

でも迫さんは言われました。「平行配置だと、東西に長く伸ばす家が多いから、どうしても妻側の壁面が隣家に近くなる。その結果、水回りの窓が隣と向かい合ってしまったり、視線がぶつかったりすることが起きやすい」と。特に北道路の家だと、道から玄関のドアがすぐ見えてしまうような配置にもなりやすいんです。それに、南側の庭に大きな木――今で言う“シンボルツリー”――を植えようとしても、うまく配置できない。せっかく植えても、南の窓から見えず、葉っぱが隣に落ちて迷惑をかけてしまう、なんてことも起きやすい。

そんな時に迫さんが提案されたのが、「建物を30度斜めに置いてみなさい」というもの。やってみると、まず駐車スペースが縦列じゃなく直角駐車に変えられたり、角が境界に寄っても意外と圧迫感がないことに気づいたりするんです。そして何より驚くのが、南側の庭に“奥行き”ができること。リビングから外を眺めたとき、庭がすぐ終わらず、少し奥行きを感じられる。それだけで空間がぐっと豊かになるんですよね。

例えばそこに大きな木を1本植えるとします。落葉樹なら春は新緑、夏は深い緑、秋は紅葉、冬は枝だけになって光を通す――四季の移ろいが家の中にまで届くようになります。もし桜やもみじのような木を植えたら、春には花を楽しみ、夏は木陰をつくり、冬は光を取り込む。まさに“暮らしの中の季節”が感じられるようになるんです。

そしてこの30度という角度。実は太陽の動きともすごく相性がいいんです。夏至の頃は東から30度ほどずれた方向から日が昇り、冬至の頃は逆に30度ほどずれた西寄りから沈む。つまり建物をその角度に振ることで、夏の強い西日を落葉樹でうまく遮りつつ、冬にはその葉が落ちてやさしい光を取り込む。朝日は東から斜めに差し込み、夕方には西の光が家の中をやわらかく包み込む。斜め配置にすることで、光の取り込み方がぐっと豊かになるんです。

さらに視線の抜け方も変わります。道路からの視線は斜めに抜け、隣家の窓と窓が正面でぶつからない。しかも距離が自然と長く取れるから、プライバシーも守られやすい。草木を植えればその効果はさらに高まって、まるで小さな森の中に自分の家があるような雰囲気になるんです。

僕の友人で群馬県の小暮社長も、時々この斜め配置をされています。群馬に行った時に拝見したんですが、ずらっと並んだ普通の平行配置の家の中で、小暮さんの設計した家だけが斜めに構えていて、それがもう痺れるほどかっこよかった。ほんの少しの角度の違いで、ファサードの印象がまるで変わるんですよね。

僕の住む兵庫県姫路市のような都市部では、敷地が限られているからこそ、この“斜め配置の効果”はより絶大です。実際にうちでもそういう事例があります。たとえばある北道路の家。南側はすぐ隣家が建っているのに、建物を少し斜めにしただけで、2階の窓からは空しか見えないようになった。1階には光が届きにくくても、2階からの光が降り注いで、家全体が明るくなる。これもまさに斜め配置の恩恵なんです。

僕自身も60代になって、家で過ごす時間の心地よさを若い頃よりずっと意識するようになりました。内と外のつながりが強い家は、本当に豊かだなと思います。今この動画を撮っているのが10月なんですけど、秋の風に吹かれながらデッキで柴犬のコタロウの頭をなでて、奥さんに内緒でビールを一口…最高ですよね。こういう時間が生まれるのも、斜め配置で外との距離が自然にできるからこそなんです。

だから、これから家づくりを考える方には、ぜひ一度“遊び”のつもりでもいいから、斜め配置を試してほしいです。設計者の方も、3Dパースや模型で体感してみると、「あ、これはいいかも」と感じられると思います。迫社長がずっと提唱されている「敷地の魅力を発見する」という考え方――まさにその入り口の一つが、この“斜め配置”なんじゃないかなと思います。隣や周囲の景色を斜めから眺めたとき、豊かになるかどうか。それを感じ取ることが大事なんです。

ちなみに、うちの山下社長が今、新しいモデルハウスを計画しているんですが、実はこの「斜め配置で4つの庭をつくる」というテーマに挑戦しています。2026年1月には本格的にオープン予定で、現在工事が進行中です。都市部の限られた土地で、どうやってこの発想を活かすのか。完成したらまた動画でも紹介しますが、お近くの方はぜひ実際に見に来てください。きっと、「斜め配置ってこういうことか」と感じてもらえると思います。

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