無垢床の仕上げは何が良いのか?
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今日は、付加断熱をやった方がいいのかどうかの判断方法について、お話しします。
あるお客様から「断熱をしっかりやりたいんですけど、やっぱり付加断熱はやった方がいいですかね?」という質問を受けました。そのことについて解説していきたいと思います。
みなさん付加断熱ってご存知でしょうか。文字通りですが、付け加える断熱ということです。まず断熱には内断熱と外断熱があります。建物の柱とか梁のスペースに断熱を入れるのを、内断熱と言います。それに対して、柱とか梁の外側に断熱材を使うことを外断熱と呼んでいます。
簡単に言うと、付加断熱は内と外が一緒になったものみたいに捉えてもらってもいいんじゃないかなと思います。ベースは内断熱ですが、それに外断熱材を付加する。こういうことを付加断熱と言うのです。
付加断熱なんて専門的な言い回しなので、ダブル断熱と言う方がお客様にとってはピンと来るかもしれません。やる方が良いのか・悪いのかと言うと、それはやったに越したことはないです。断熱材が増えるわけですから。
また、いわゆる木地や柱とかの木材は、鉄とかアルミほどではありませんが、断熱材に比べると幾分かは熱を伝えやすいです。厳しい見方では、断熱に対してこういう所が熱橋になるとされます。
僕たちが思う熱橋は、耐震の金物なんかが貫通していて、その金属の所を熱が伝わってきてそこが結露しやすい、みたいなことを思います。しかし、こういう木材も熱橋になり得るとすると、外に断熱材を貼ってカバーするわけなので、熱の移動が防げるのです。
サーモグラフィーで見たら一目瞭然なんですけど、断熱材を貼る前に見たら、温度は厳密に言うと差があるので、柱の部分と断熱材の部分で色が変わる。でも外の付加断熱を付けると、これが途端に均一になります。なので、より良い。これは間違いがないんです。
冒頭の方の「やった方がいいですかね?」というのは、ただ良いか・悪いかという質問ではないと思います。例えば、付加断熱をやったらその分のお金が掛かりますよね。「お金をある程度掛けないと思う性能は出ないですか?」ということを心配されて、聞かれたのだと思うんです。
そうすると話は違ってきて、そもそも壁の評価はどうやってするのか、というところに戻らないといけません。壁の評価方法はいろいろあるんですけど、端的にわかるのは熱抵抗値だと思います。
例えばグラスウールよりネオマフォームの方が優秀だとか、セルロースファイバーと比べてグラスウールはどうだとか。こういうことを言う時、強弱を表すものに熱伝導率という言葉があります。これは文字通り、熱が伝わりやすい率を表わすものです。
それでいくと、物質のある厚さ単位あたりに対しては、グラスウールとネオマフォームを比べたら、ネオマフォームの方が優秀だということになります。また、セルロースファイバーとグラスウールの普通の16Kぐらいで比べたら、厳密に言うとちょっと差があるかもしれませんけど、ほぼ一緒みたいな評価になるのです。
でも、断熱の性能ということになると、熱伝導率ということだけでは評価ができないんです。なぜかと言うと、断熱材に厚みがあるからです。もちろん、薄いよりも分厚い方が良いに決まってますよね。
「◯◯という断熱材を使えば良い」と言うのは乱暴な話です。「何mmあるいは何cmの断熱材を使うんですか?」ということに左右されるからです。それを評価に置き換えたのが熱抵抗値という言葉になります。一般的に熱抵抗値は、断熱材の厚さを熱伝導率で割って出します。単位は㎡K/Wで、計算式は厚さ[m]÷熱伝導率[W/(m・K)]です。
例えば、一般的に使うことの多いグラスウール16Kの10cmだと、どうでしょう。10cmはmに置き換えたら0.1になりますから、0.1÷0.038(熱伝導率)で2.63ということになります。
また、さっき申し上げたネオマフォームはフェノール系断熱材です。外断熱に貼ってあるのは40mmのものが多い印象ですが、40mmだったら0.04÷0.02になります。グラスウールの熱伝導率0.038と比べたらネオマフォームは0.02だから、半分ぐらい熱が伝わりにくくて優秀ですよね。しかし、40mmしかなかったら1.18の熱抵抗値になります。
熱抵抗値というのは数が多いほど断熱性が高いことになるので、この比較で言うと、グラスウールがダメでフェノールがいいということにはなりません。もちろんフェノールを50mmにしたら2.5だから、ほぼ拮抗するんですけどね。
また、EPSという発泡スチロールみたいな物がありますが、我々の会社もこれを付加断熱で使っています。EPSにはいろいろ種類があるのですが、一応今回は熱伝導率0.038ということにしておきましょう。これが5cmだったら、熱抵抗値は1.31、2cm5mmだったら0.65になります。ということは、グラスウールの16Kを内断熱で使って、2cm5mmのEPSを使った場合、熱抵抗値は合計3.28になるのです。
例えば、内断熱でグラスウールを32Kタイプにして、柱の太さは大体105mmが多いので目一杯105mmを使うと、0.105から0.32になると3.28㎡K/Wになるんです。そうすると、先程の熱抵抗値と同じになりますよね。
こういう風に、内断熱にして付加断熱はなくてもいいという判断も、できないことはないです。もちろん厳密な外皮計算では、柱とか間柱の分の弱い部分のことも鑑みるから、完全に一緒にはなりません。ざっくり計算なので、あまり細かい話とは思わないでくださいね。
付加断熱をコストと両建てで、ある一定の性能を得たいと考えるなら、こういう風に熱抵抗値で押さえて、熱抵抗値あたりにコストがどうかというところで判断をしてほしいです。難しいかもしれませんが、プロの方に相談すればきちんと答えてくれると思うので、それを持ってご自分の家をどうするかを考えてみてください。
寒冷地では付加断熱をやっておいた方がいいかな、と僕も思います。しかし5地域・6地域なら、付加断熱をしなくてもある程度いけるという感触もあります。
熱抵抗値をはじめとする建物の断熱性能は大事ですが、もっと大事なことは窓の性能です。例えばEPSの50mmじゃなくて25mmで、HEAT20のG2と言われてるものをクリアしようとすると、窓は一部トリプルを使わないと難しいという印象があります。断熱性もそうですが、付加断熱したから全てがOKではなく、窓の性能も考えなければなりません。
外断熱みたいな話は、外付加と僕たちが呼んでいる、外に付加断熱をやるという方法が主流です。例えば、用途地域によって壁面後退の問題で付加断熱したら、1m取れないという問題があったりするじゃないですか。
それから、民法で言う50cmを切ってしまって、近隣の同意が必要になることもあります。隣の人と折り合いが悪くて取れない時であっても、付加断熱したい場合には、こういう方法もあります。内付加断熱と言われているものです。
建物は大体910mmのモジュールで割って構成されています。柱通りの外に外付加をやるんですけど、それが向かない時にはどうするかと言うと、内側に付加するんです。そういう方法もあります。
この時に1つ問題になるのが、部屋内が狭くなるという問題です。これは木造の建物に関する特権みたいなものですが、外側の外周に相当する所のグリッドだけ、少し広くするという面白いやり方があります。
そうすると、広くなった分が外に広がるので、内側に付加断熱してもトータルであまり部屋内の広さは変わらない。こうやると狭さから逃げられることもありますので、こんなことも設計の選択肢にはあるということを知っておいてください。
ここまで考えて僕が一番思うのは、お客様が本当に欲しいのは、冬は暖かくて夏は涼しい家ですよね。そう考えたら、付加断熱をやるかどうかより、日射コントロールをどうするかの方が、影響が大きいと思います。
冬場はしっかり日射取得をして、夏場はしっかり日射遮蔽をしないと、いくら断熱性能と言ったところであまり意味がないのです。これらの掛け算ということで、付加断熱は考えた方がいいと思います。これらは高度なバランスが必要です。何か端的に1つやったからいいとか、そういうことではありません。
大して知識がない住宅営業の営業マンが、会社のトレーニングで教えてもらったからといって、「付加断熱(ダブル断熱)をしてるからうちの家はいいですよ」と言い切っている人もいると思います。確かにそれでいい部分もあるけど、それより大事なこともあるということを覚えておかないと、画竜点睛を欠くという感じになる。そんな気もします。
加えて、僕は松尾先生の門下生なので、日射コントロールだけでなく空調法も掛け算に入ってきます。ここまで行って初めて快適な家で、コストバランスが良い家になるんじゃないかなと思います。付加断熱をやる時は、そんな視点を持っていただいて、判断いただけたらと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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今回は住宅ローンの頭金問題について解説します。
家づくりを考える時に、住宅ローンを利用する方がとても多いですよね。その時に最初に頭に浮かぶ問題として、頭金に関することがあります。頭金はどのように考えたらいいですか?また、どれくらいの頭金が必要ですか?という質問を受けました。
この「頭金はどれくらい必要か」という質問をよくよく考えると、2つの意味で使われることあると思います。
まず1つ目に、頭金はどれくらいの額を用意すれば、借入に関して有利になるのか、あるいは不利になるのかという意味があります。これに関しては、そんなに難しいことではありません。
1つの見極めポイントとして、住宅ローン控除があります。以前よりは控除額が少なくなりましたが、現在は住宅ローンを借りる際に、年末の借入残高に対して上限0.7%を、その年に納めた税金から控除することができます。この控除は13年間続きます。
さまざまな所得パターンがあると思いますが、例えば税金(所得税+住民税)を年間20万円納付している人の場合を考えます。頭金を支払った後の借入額が3,000万円だとしたら、その0.7%なので、21万円が控除されることになります。
しかし、控除は納税額が上限なので20万円ということになり、1万円分の控除額を損することになります。それなら、20万円分の控除で済むような形にするために、借入金額を小さく、頭金をもう少し増やした方がいいのかもしれません。
また、この控除は13年間続きます。だんだん借入残高が減っていくことも考慮して、0.7%の控除がどの程度有効かという点も検討しなければなりません。このような考え方で、どれくらいの頭金を用意すべきかという大体の答えが出てくると思います。
2つ目の見極めポイントとして、金利優遇があります。例えばフラット35では、自己資金が借入額の10%以上ある場合、金利優遇が受けられる制度があります。これはフラット35だけでなく、他の銀行でも同様の制度がある場合があります。頭金の割合によって金利優遇の幅が決まるケースもあります。
頭金をどれくらい用意すると有利か・不利かを考える際には、まずライフプランを組んで試算してみることが大切です。重要なポイントは、住宅ローン控除を13年間しっかりと受けることです。
頭金をたくさん払った方がいいのではないかと考える人は、とても堅実で慎重なタイプです。しかし、お金の問題はきちんと計算すればわかるものです。ですから、あまり怖がらずに試算して金額を検討すれば、その方にとって適切な頭金の額がわかると思います。
次に、2つ目の意味合いを考えます。若いご夫婦が、とにかく家が欲しいという気持ちになったそうで「頭金はどれくらいないと建てられませんか?」と聞いてこられたケースがありました。もっと極端に言うと、「頭金がなくても建てられますよね?」という感じでした。
こういう方にお話しする1つの考え方として、まずは家を建てるためにかかるお金を知っていただくことが重要だと思います。
土地がすでにあって家を建てる人は別ですが、土地から探す人にとっては、土地代、家の建物代、そして諸経費がかかります。諸経費には、登記費用、住宅ローンを借りる際の銀行の保証料、土地の取引手数料、火災保険料などが含まれます。
一般的に、諸経費は土地がある方でも100~150万円ぐらい、土地がない方だと200~250万円ぐらいかかります。もちろん借入の内容によって変わりますが、目安としてそれぐらいは必要です。
土地・建物代をローンで払うのは当たり前ですが、このケースの質問をされる方は、諸経費分も住宅ローンで何とかならないだろうかという考えだと思います。
商品にもよりますが、住宅ローンに諸経費分も上乗せして払うことは可能です。しかしそれでも、完全に現金がゼロで家を建てるのは難しいです。これが結論です。
なぜかと言うと、例えば土地から探す方の場合、気に入った土地に申し込みをする際には手付金が必要になります。通常、土地代の1割が手付金となるので、現金がなければどうしようもありません。
また、住宅会社や工務店と契約する際に契約金が必要な場合もあります。これもすべてが始まる前に一度出さなければならないため、ここでも現金が必要になります。後からそれを住宅ローンに上乗せすることはできるかもしれませんが、当座は現金が必要になります。どうしてもお金がない場合は、親御さんなどに借りないといけないかもしれません。
さらに、家づくりが始まると、今住んでいる所から引っ越すので、引っ越し費用がかかります。また、工事中には祭祀があります。地鎮祭で神主さんにお礼を包んだり、上棟の際に大工さんに差し入れをするのにも、お金が必要です。これらはローンに関係なく現金が必要になるため、現金がなくては家を建てられないということになります。
2番目の質問をする方で「私の年収がこれぐらいなんですけど、建てられますか?」と聞かれたケースがあります。このような考え方も結構乱暴だと思います。例えば、若い方で年収600万円だったらそこそこ貰われている方かなと思いますが、子どもが1人のケースと3人のケースではやはり違います。ケースバイケースで、年収がいくらだからどう、という決め方はできません。別の尺度で考える必要があると思います。
このような質問をされる方には、私はちょっと危うさを感じます。60歳ジジイの説教がましい話になりますが、家が欲しいのはわかります。しかし、現在手元に貯金が全然ないのに家を建てたいと考えるのはちょっと待ってほしいと思います。その前に、果たして自分たちが今貯金ができているのかを確認してほしいのです。
住宅ローンを返す期間は長いです。35年ローンであれば、例えば現在30代前半の人であっても、65歳以上まで支払いが続く計算になります。仮に65歳定年の会社だとしても、定年後にまだ支払いが残っている状態は望ましくありません。年金からローンを払うなんて苦しいことはできません。
そうすると、どこかで繰り上げ返済をするべきなんです。少なくとも65歳で定年になった時には残債をなくして、そこからは年金で暮らすようでないと、危なっかしいですよね。
そのためには、住宅ローンを返しながらも同時に貯金をする必要があります。これは家を建てた後に考えればいいということではありません。私は、家計を適切にやりくりする基本的なスキルだと思います。厳しい言い方をしますが、貯金ができていないのに住宅ローンを借りて家を建てることは、時期尚早だと思います。
説教がましく言っている父ちゃんみたいに聞こえるかもしれませんが、まさにそうなんです。自分の娘のことを思えば、そういう気持ちです。
そして、最近の報道では年金だけで老後を暮らすのは厳しいと言われています。一説では2000万円程度の貯金が必要と言われていますから、ますます貯金が必要になります。今回はローンを返済することだけを考えた話ですが、老後の資金問題も別の尺度で考えなければなりません。
ですから、今回の質問を考える時は同時に、自分たちはどれくらいのペースで貯金できているか、貯金ができる家計のやりくりになっているか、ということも頭に置いていただいて、どのように頭金に取り組むかを考えていただくのが一番健全だと思います。
説教がましい話だと感じられた方がいらっしゃったらごめんなさい。しかし、「良薬は口に苦し」という言葉もあります。もしアイタタッと感じられた方がいらっしゃったら、この話を肴にゆっくりと家族で話し合い、作戦を練っていただければと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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今日は、「家づくりを本格的に始めようかな」と思っている方に向けて四方山話をお話ししたいと思います。
それは、この10年間ぐらいの間に、ずいぶん家づくりに対する考え方が変化したというところです。そういうことについて今日は喋っていきます。
昔話で恐縮ですが、30年以上前、日本の家づくりを考える時に呪いの言葉があったと思うんです。欧米の方が日本に来て、日本人の暮らしを見て揶揄した「うさぎ小屋」という言葉です。年長者の人は聞いたことがあると思いますが、最近の若い人はわからないですかね。「日本の家はうさぎ小屋みたいだね」とバカにされたような感じがありました。
ちょうど日本が怒涛のように成長していたから、世界から「Japan as No.1」とか「おお!」と言われていました。ただ一方で、「ちょっと変なんじゃない?」と思われる感じもあったんです。そうして揚げ足を取るような形で、そんなことを言われた時代がありました。
業界全体というか、日本人の意識の中で「くそー!」みたいな感じだったのでしょうか。僕は大手ハウスメーカーに勤めていたことがありますが、大学生の時もそうでした。
住宅設計するにあたって、1人あたりに必要な面積の目安を先輩から教えてもらえるんです。その先輩たちが言っていたのは、1家族のうち1人あたり9〜10坪ぐらいの広さを見ると、「うさぎ小屋」みたいにバカにされない家になると。それを頭に置いて、プランニングの全体のボリューム感を出してください、みたいな話がありました。
1人9坪ぐらいだと、4人家族だったら36〜40坪で計画する感じです。40坪と聞いたら結構大きいですよね。5人家族に至っては、お子さんが3人いらっしゃる家なら45〜50坪ぐらいの家がいいと僕たちは若い頃に解釈していました。
実際に約30年前、現場の最前線にいたハウスメーカーの営業マンさんが「お客様にウケたプラン」と言っていたのは、4人家族で36坪のプランが多かったです。
一方で、30年ぐらい前の日本の家には、高気密・高断熱の家もありました(パッシブ設計のOMソーラーさんとかも学生の頃に憧れました)。しかし、ああいうものは一部の尖ったマニアの人が好むもの、みたいな感じがその頃の家づくりにはあったのです。
考えてみると、ローコスト住宅が登場したのは1995〜2000年ぐらいでした。ローコスト住宅には売りがあったものの、営業現場では「同じ値段なら大手のハウスメーカーさんより大きな家ができますよ」とか、「同じ面積だったらコストが安くなる」というフレーズが使われていました。
ローコスト住宅時代もうさぎ小屋への反発があったのかわかりませんが、「家はある程度規模が必要だ」と言って、大手ハウスメーカーさんはどんどん仕様が良くなって装備が充実して、高くなっていったようです。彼らは上場企業ですから、売上を右肩上がりに上げていかなければならないのもあったと思いますが、それがスタンダードで実に良いものだという空気感がありました。
翻って言うと、うさぎ小屋以前の日本の家屋に対する考え方は極端でした。昔の長屋に暮らしていた人たちは、玄関を開けたらすぐ土間があって奥には一間があって、そこで家族が寝たり起きたりして、炊事場は共同の井戸でした。井戸端会議なんて言葉がありますが、炊事場を長屋の中の一角に中央に寄せて作っていた頃からの風習ではないかと思います。
その頃の暮らしはある面は超合理的で、その一間で家族が起きたり寝たりして、朝ごはんを食べたらちゃぶ台を畳んで、休みの日はゴロゴロするような感じでした。小さいけど結構すごい叡智だったと思います。
話は変わりますが、2009年に「シンプル族の反乱/三浦展」という本が出版されました。副題は「モノを買わない消費者の登場」です。この本によると、物を消費しない若い人たちが増え、手仕事や自然素材に回帰する傾向があるということです。
ちょうど僕もその頃から、家づくりをお手伝いするお客様の意識がガラッと変わったような印象を受けていました。例えば、小さな家で豊かに暮らそうという潮流です。もっと言うと、うさぎ小屋に反発して大きくしたけど、小ささの中に豊かさがあるんだということに気づいた瞬間でした。
小さな家にすると何がいいかと言うと、小さくした分コストが減るじゃないですか。総額を抑えるという意味もありますが、ちょっと絞れた分だけ質の良いものにできますよね。断熱性能や省エネ性能を高めて、光熱費を抑えながら人間も快適に、冬は暖かく夏は涼しく住む。こんなことを考える人が多くなってきました。
ローコスト住宅を支えたものに新建材の発達があったのですが、これが自然素材に回帰していきました。また、同じ敷地でも小さい家にしたら、スペースが空くから庭が作れます。家自体が小さくなるので、壁・屋根の面積も小さくなり、メンテナンス費用も抑えられますよね。
何より一番は、面積が小さいと物が広がらないから掃除とか片付けがラクだということです。こういう風に家づくりが変わっていきました。
具体的には、例えば同じ約8.5mぐらいの宅地でも、間口が狭い場合は小さな家を建てて、庭を作るスペースを確保するなどの工夫ができます。小さな家であっても、光を取り込みやすく、植栽やウッドデッキを取り入れることで、豊かな空間を実現できます。
先ほど36坪と言いましたが、比較的面積を絞れば、今の4人家族なら最大32坪でも十分だと思うぐらいの広さはあると思います。もっと言うと、断捨離に絞った感じでやれば、26坪や22坪ぐらいまで絞ることもできるはずです。
面積を絞る時、大胆に言えば玄関が必要かどうか、ということも考えられます。一般的に「いきなりリビング」と言って、外国の家のようにドアを開けたらリビングが現れるというものがあります。
みなさんが一番好むのは、廊下をなくすことです。廊下がない家では、廊下分だけ家を小さくできますよね。また、昔は空調設備が効きにくかったため、家を小さく区切って採暖する方法がありました。ワンルーム使いで広々と、家中どこでも温度を一定で使うことができました。
最近は、囲まれた空間のウッドデッキや植栽などを使って、家と庭の中間領域みたいなものを作ることがよくあります。これとコンパクトにすることを組み合わせて、吹き抜けやロフトを使って、床面積を減らせます。いつも使わないロフトや吹き抜けを使って光を取り入れるなど、小さくなる中でも工夫次第で家を豊かにできます。
最初は、あまり考えずに広い方が良いという考え方が広がっていたのかもしれません。それに対して、アンチとして家が小さくなることに取り組むようになったのでしょうか。もしかすると、これは一種の集団無意識なのかもしれませんね。
最近はウッドショックがあったり、コンクリートや住設機器の値段が上がったりしていますが、家を小さくすることで総コストを抑え、それが安上がりにつながることもあります。総額が変わらなくても、なんとか手に入る値段を粘り強く維持できるというイメージもあります。
この10年で一番変わったことは、本質的な価値に回帰し、家を小さく考えることに取り組むことです。ただし、ちょっと田舎の方や郊外に行ったり、2世帯住宅などでシニアの方が絡んでくると、未だに家を大きくすることが美徳だとか、夢の実現だとかいう考え方があるようです。
法事をやるために二間続きの広い和室など、今は必要ではないスペースが必要だと言う人もいるようですが、実際にはどうでしょうか。法事などは家で行うのでしょうか。昔はお葬式も家で行うところが多かったですが、今は葬儀会館で行うことが一般的になってきました。つまり、広いスペースは必須ではなく、自分たちが本当に豊かに暮らすために間取りを考えればいいと思います。
今日は四方山話として、このような話をご紹介させていただきました。若い人には釈迦に説法かもしれませんが、まだこの考え方に慣れていない人もいるかもしれません。これからの家づくりを考える上で、このような視点を持っていただけると嬉しいです。ぜひ参考にしてみてください。
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今日のテーマは「注文住宅はどこまで注文できるのか?」です。
先日、他社でご検討されていたお客様から、こんなことを言われました。◯◯社さんは注文住宅が対応可能ということで打ち合わせをしたのに、「これをやりたい」と言ったら「それはできないです」と言われたと。それでそのお客様は憤慨されていました。
そういう風に思う人も多いと思います。こういう失敗は時間の大きなロスになるので、今回はそのあたりの予備知識に関してお話ししていきます。
まず、注文住宅とは一体どういうことか。お施主さん自身がこういう間取りにしたい・設備はこれをつけたい・◯◯メーカーのキッチンにしたい・外壁はこれを塗りたい・内部はこれを貼り付けたいと言って、注文していくことです。
要は、家の隅々まで自分のこだわりを詰め込んで、言わばフルオーダーでできること。そう定義しても、多分みんな文句はないと思います。
それでは冒頭の話がなぜ起きるかと言うと、この注文住宅というものの定義が、個人の方はもちろん業者さんにすら幅があってあやふやだからです。
一方、自由設計という言葉も聞きますよね。最近はコストの関係で、「この規格で気に入っていただけたら価格はここまで頑張ります」という、規格住宅と呼ばれる家がたくさん作られています。それに対して、本当に自由にやりたいなら自由設計という形もありますよ、というものです。
注文住宅と自由設計は、似ていますよね。定義は法律で定まっているわけではありませんが、多くの大手ハウスメーカーさんは自由設計と言っています。大体のプランは間取りだけでなく仕様も決まっていて、間取りの変更だけできることが多いです。
キッチン等の設備を選ぶことはできても、2社のメーカーの中から・3パターンの中からという感じで、内・外装の仕様も含めて非常に選択肢が限定されています。言い換えれば、自由設計はハウスメーカーさんの場合セミオーダーということです。
洋服でフルオーダーだと、きちんと全部測ってくれてぴったりに作ってくれます。セミオーダーは、A体・B体・AB体みたいに分けてあって、比較的体型に近いものを持ってきて「ちょっと襟を詰めます」みたいな感じじゃないですか。
冒頭のお客さんは、業者さんが自由設計という意味で注文住宅と言っているところに、お客さんはフルオーダーだと思って行ってしまったことの齟齬で起きた問題だと思うのです。
注文住宅にしたいと言うと、実はお客様が細かいオーダーをしなければいけません。どういうものを注文するか、ざっくり説明します。
まず工法です。木造なのか鉄骨なのか、鉄筋コンクリートなのか。木造でも在来工法なのか、ツーバイフォーあるいはツーバイシックスなのか、木造大断面ラーメン構造というのもあります。鉄骨造も、実は重量鉄骨というタイプと軽量鉄骨というものに分かれるのです。
RC造は鉄筋コンクリートの1種ですが、柱梁ラーメン構造と壁式という工法があります。これらのうちどれを選びますかと聞かれて、急に選べるでしょうか。
断熱・気密も、内断熱もあれば外断熱もあります。外の付加断熱・内の付加断熱、天井断熱、屋根断熱、床断熱なのか基礎断熱なのか。断熱のやり方や場所だけでもこれだけのバリエーションがあるのです。
もっと細かく言うと、断熱材もグラスウール、フェノール系、ロックウールなどいっぱい種類があります。それも全部注文しようと思えばできます。逆に、どれにしたいですか?と問われるということです。
外装もサイディング、モルタル塗り、漆喰塗りもあります。ガルバリウム鋼板でやる時もあるし、ALC造というものもあります。
さらにもっと根本的なのがモジュールです。1軒のお家って何畳とかで表わすことが多いじゃないですか。ざっくり90cm×180cmが一般的な畳の寸法で、サイズの基準になります。私たちが尺と呼ぶものは、1つのマス目が910mm×910mmのものが多いです。915という寸法でやる変則の家もあります。
お歳を召している方は、よく「本間(ほんけん)じゃないとアカン」とおっしゃいます。あれは955mm角です。今は鳴りを潜めましたが、一世を風靡したメーターモジュールという1m真四角のものもあります。
このモジュールをどう取るかによって、家はまるっきり変わります。同じ6畳と言っても、尺の6畳とメーターモジュールの6畳は広さが違うのです。
ちなみに私は尺を勧めることが多いですが、なぜかと言うとメーターモジュールはマスが大きすぎて、面積の割に間取りが面白くないしやりにくいからです。
どんどん専門的になっていきますが、階高・天井高も決める必要があります。建物は柱と梁で構成されていて、横架材と言われる梁の寸法の所を階高と言います。これを何m何cmにしますかと聞かれても、普通は答えられないですよね。
天井高はさらに内側の区切りで、一般的には2.4mが多いです。建築基準法的には2.1m以上と言われているから2.1mでもいいし、勾配天井であれば一番低い所が2mでも別にやれます。
カッコいい外観の家が欲しい、と言う人が時々いらっしゃいます。階高はみんな気にしていませんが、実は家の外観には階高が影響するのです。
一般的には、階高が低い方が建物はカッコよく見えます。少し低めで重心が下がっている方が、美的です。一方で天井高が十分欲しい、2.4mあるいはもっと高い2.7mにしたいとなると、外観を綺麗にするのはプロでもしんどいバランスになります。
屋根の形状も、ハウスメーカーさんはほとんど寄せ棟ですが、切妻・片流れの方が太陽光発電を載せるのに有利なので、多く選ばれています。
もっと言うと、空調方法もあります。大手ハウスメーカーさんはこれまで、エアコンはお客様でどうぞでした。ヤマダ電機さんとか量販店さんに行って、自分で普通のエアコンを買っていました。
今や全館空調が当たり前になりつつある中で言うと、空調室を作る全館空調もあれば、アメニティエアコンでダクティングするものもあります。
私たちが得意としている床下エアコンとか小屋裏エアコンとか、人によっては階間エアコンという1階と2階の間を利用するエアコン方法もあります。
床下エアコンは、寒い地方だとFF式のストーブを使うやり方もあります。こうしてちょっと言っただけでも、これほど多くの選択肢があるのです。
冒頭に怒っていらっしゃった方が注文住宅をしたいとなると、工法・断熱・気密・モジュールなどを1個1個理解して決めていかなければいけません。でも事実上、それを素人の方が決めてプロの方に「こういう内容で注文住宅を検討してほしい」とは言いにくいですよね。
注文住宅という言葉の持つ意味に憧れるのはよくわかります。本当に望むなら、自分がそこまでの判断ができるかを考える必要があるということです。しかし実情は、全てを決めたいわけじゃなくて、こだわりを実現したいだけなんだというケースが多いと思います。
だから注文住宅を利用する時は、現実的には自由設計という形で、たくさんある選択肢の中で自分がこだわりを実現したいところを明確にしてください。
例えば屋根断熱にしたいなら、屋根断熱ができる業者さんなのか確認が必要です。あとのことはよくわからないので、逆にプロの立場から「これが今いいですよ」というのがあったら教えてほしいというスタンスの方が、一番スムーズにいきます。
これがないと、実は階高を抑えたいということになったりします。もっと怖いのはモジュールです。尺のモジュールとメーターモジュールを複合でやりたい時も稀にあるからです。
こだわりを絞れば会社さんは一定数絞られます。もっと言うと、木造は得意だけど鉄骨はそこまで得意じゃないとか、サイディングを張るのは得意だけど塗りは得意じゃないとかもあります。注文住宅・自由設計と謳っていても、そこが何なのか見極めが必要です。
最後に注文住宅の欠点を言うと、当たり前ですがプランニングする時間が長くなります。設計検討も工期の一部なので、工期はゆったりしてもらわなければなりません。プランニング検討と同時に構造検討もいるので、ある程度の余裕が必要です。
自分の要望を盛り込んでいくので、予算がオーバーしてしまう傾向もあります。その反対に良いこととしては、プランニングが自由にできたり階高が自由にできたりしますよね。
草原の一軒家なんかはあまり関係ありませんが、都市部で建て込んでいる所に建てる時は、うまく敷地の中を縫って太陽に素直な家(冬はしっかり日を取り込んで夏はしっかりカットする家)が作りやすいです。
あとはいろんなことが選べるので、引き算の家づくりができます。理想の家をやろうと思うとあれもこれもとなりますが、本当に必要なものは意外と少なくて、実は引き算がしっかりできる家づくりをする方が最終的に結構いい家になります。
有名な伊礼先生なんかは、引き算の設計ですよね。あらゆるムダが排除されていて、純粋に大事なものだけ残ると素晴らしい設計になります。
自分はある程度こだわりもあるけど時間も短縮したいとか、決められないことはプロに決めてほしいなら、標準化がしっかりしている会社さんがいいです。あるいは大手ハウスメーカーさんもいいと思います。
大手ハウスメーカーさんは工業化認定を受けているので、やることをすごく制限しています。一番の理由は、より安全に間違いがないようにということです。それ故に、ギリギリを攻めて本当に欲しいものをやることはちょっと苦手みたいな構造もあります。
大手に対して注文住宅というスタンスで望むなら、そこを理解していないと時間のムダになったり、思った家にならないことがあります。
本当のフルオーダーになると、設計事務所さんとかゼネコンさんの施工でやっていくと思いますが、その時は予算がオーバーしやすくなります。
工務店もそうですが、設計事務所さんでも標準化がある程度取り組まれているところを選んで、本当の意味で自分にフィットする家を望んでいくのが正しい道ではないでしょうか。
注文住宅という言葉は誰でも使うけど、非常に広い意味があって、ポイントは意外と狭いんだということだけ理解してもらえたらいいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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今日は、住宅業者や工務店さんを選ぶ際の基準の1つとして、社長さんのタイプについて紹介します。題しまして、社長のタイプで変わる住宅業者・工務店の傾向と対策です。
世の中にはいろんなタイプの社長さんがいらっしゃいます。こんな風に類別してはいけないのかもしれませんが、今日は僕の独断と偏見で類別していきます。
まず1つ目に、営業系の社長さんがいらっしゃいます。元トップセールスマンの人や、大手ハウスメーカー出身、パワービルダーさんなどで成績を上げた営業マンの人が、住宅会社の社長として創業されるケースです。
この方たちは営業上がりなので、口八丁手八丁と言う感じです。コミュニケーション能力が高くて話しやすい人や、人との関係性、話し合いを重視する方が多い印象です。売りが強い、押しが強い面もあるので、時に思い切った値引きもしてくれる方もいらっしゃいます。
家の商品を選ぶ時に、「この家は売れるのか?」という視点で家を考える印象もあります。また、ちょっと失礼な言い方ですが、お客さんを見る時に「このお客さんは家を買えるのか?」という点に割とシビア・敏感な印象があります。
さらに、イケイケの営業だった人に時々いらっしゃる印象ですが、商談の中で言った・言わないという話があるケースもあります。社長がそういう方であれば、その会社の全員がそういうカラーになっていく、ということもあります。
また、少々悪口みたいになりますが、技術に関して疎い点もあります。いい意味でこだわりがないと言ってもいいかもしれません。しかし何と言っても話しやすいという点があると思います。
営業系の方と似たタイプで少し違うのが、不動産系社長です。このケースも、元不動産屋さんのトップセールスマンの方が多いです。デベロッパーという言葉がありますが、そのように土地の開発・土地の入手情報・中古住宅の情報に関して強い印象があります。
営業系の方と同じように、そのお客さんが家を買える・買えないということにはすごく敏感です。営業系の人を熱血漢と言うならば、不動産系の人はドライな印象もあるかもしれません。
しかし、例えば集合住宅を建てる場合となると、これは一種の投資案件になります。その場合、常に利回りを考えるという点では、不動産系の方は非常にいいパートナーになると思います。いい土地を探して家を建てたい人にとっては、このような社長が率いている会社は頼りになる印象があります。
3つ目が、技術系社長です。これは設計系・工務系の2つに分かれると思います。両方を兼任する場合もあります。かく言う私もこの1人かなと自分では分析しています。ベテランの設計マンや工務マンの人が会社を立ち上げるパターンが多い印象です。
このタイプの方は技術者なので、すごく話が上手かと言うとそうではありません。頑固、飾り気がない、朴訥(ぼくとつ)といった人が多い印象があります。
一方で、こだわりが結構ある面もあります。安請け合いはしない、でもきっちり仕事をする、という感じの人が多いです。特に私が思うのは、家づくりがものすごく好きな人が多い印象です。
4つ目に、技術系の1つの派生で大工さん系の社長さんがいらっしゃいます。このパターンの方は元大工さんですから、現場に強いです。施工の何たるかをよく知っています。
一方で、職人さんと言うと話しにくい、無口な人が多いのも事実です。喋りやすい職人さんもいらっしゃいますから一概に言えませんが、人によってはコミュニケーションが下手なのかな、という印象もあります。
また、これは意外かもしれませんが、痒い所に手が届くような設計はちょっと苦手と言う方もいらっしゃいます。さらに、古手の方は断熱・気密に関して疎い方が多い印象もあります。
丈夫な家を作ることができるという自負はあります。しかし、例えば耐震性では、大工さんが丈夫に作るという要件以外のポイントも関わってきます。そういう点を勘で埋めてしまっている場合もあるので、その人が大工の時代、あるいは工務店の社長になってから、どのように勉強されたのかも含めて見る必要もあるように思います。
しかし、大工さんとして工務店や住宅業者をしている方は、何より家づくりが好きな人が多いです。自分が手をかけて仕事をしてきた方ですから、手仕事に対するこだわりもあります。材料選びにも目が利いたりするという良さもあります。
5つ目に、リフォーム系の方がいらっしゃいます。これは最近出てきた方々です。異業種から参入してきた人がリフォーム業を立ち上げて、さらにリフォーム業の売り上げアップを狙って、新築やリノベーションを手掛けているケースです。
やはりそういう方は、人の懐に飛び込んでいくような思いきりの良さがありますから、話しやすい方が多いです。優柔不断なタイプのお客さんなら、「決めましょう」と言ってくれるので、物事が前に進みやすいという良さがあります。スピード感も、とてもあるように思います。
一方で、一言にリノベーションと言ってもくくりがあります。お客さんから最近特に要望されるものは、高性能リノベだと思います。しかし、高性能リノベ・高性能新築のようなものに関しては少々苦手であったり、知識が不足している人もいらっしゃる印象もあります。
しかし、スピード感や小回りの利くリフォームをなさっている方なので、アフターケアなどは細やかにやってくれそうな印象があります。
6つ目に総務系社長という方がいらっしゃいます。総務・企画・経理などの経験が多くて社長になった、管理型の社長さんです。
最近、工務店業界や住宅業界ではM&Aというものが流行っています。親会社から経営出向という形で社長さんを派遣されるようなケースでは、総務型の管理者のような人がいらっしゃることもあります。
きっちり・かっちりしていますが、あまり家づくりの矢面には出てこないタイプの方も多い印象です。一方で、ご自分がその専門性には弱いということをわかっていらっしゃいます。ですから、技術系や営業系の責任者の方をきちんと理解して、部下の力を上手に生かしています。チーム力がある社長さんだと思います。
一口に住宅会社・工務店と言っても、社長さんの成り立ちというのは結構大きなポイントです。こんな視点も持っていただいて業者さん選びをしていただくのも、面白いと思います。
それ以外感じることとして、社長さんの趣味・道楽があります。例えば車好きとか、スポーツが好きだとか、そういうものです。キャンプがものすごく好きな方、格闘技が好きな方、農業をやっている方、花・植物が好きな方、華道・茶道に精通している方、旅行が好きな方、読書がものすごく好きな方など、たくさんありますが、そういう点もお施主さんにとっては重要だと思います。
なぜかと言うと、お施主さんの好きなベクトルと社長さんの好きなベクトルが似ていると、話が弾んでいいアイデアが出たりするケースがあるからです。
車好きと言っても、一概には言えません。例えば、ベンツやマセラッティのようなスーパーカーみたいな車が好きな人もいらっしゃいます。お金儲けして人生成功したからという、トロフィーのような所有で持ちたい車好きの人です。
一方で、純粋に車が好きなんだという人もいらっしゃいます。私の友人の小暮さんも、とても車好きです。子供のように車を愛しています。ですからとても手間暇をかけています。なんせ綿棒を使ってホイールを磨くような人なので、異常なぐらい偏愛しています。
このようなこだわりの強さは、もう1つの極である「家が好き」という所の中にも発露することがあります。最近は、SNSでぽろっと発信したり、ブログでこだわりを書いている社長さんも多いです。そういう所もチェックされると面白いと思います。
また、その社長さんが創業者の方か、2代目・3代目かということによっても違います。創業者の方は、パワフルで決断力がある、押しが強い所があります。
一方、2代目・3代目の方は人当たりがいい方がいらっしゃる印象です。先代からのいい番頭さんがいらっしゃるようなこともあります。例えば押しの強い人が苦手な方や、強力な親御さんがいらっしゃってそれに対してストレスを感じているような方は、2代目・3代目さんの方が話が合うと思います。
いろんなことを言いましたが、社長さんの色はやはり社風に現れます。その会社が何を大事にしているかということは、やはり社長さんに影響されます。
もっと言うと、家づくりは社長1人でできるわけではありません。ですから、その社長さんがチームとしてどんな風に束ねているかという所も重要だと思います。
何より、社長さんご自身が本業である家づくりについてよく勉強しているかどうかが大事です。時代はどんどん変わります。技術要求も変わっていきます。その勉強を、チームネットワークとしてできているかという点も、最終的には大事になると思います。
業者さん選びでも家づくりの方向性が決まるということを知っていただければと思います。こういうことを言ってしまうと自分にプレッシャーがかかるので、今汗をかいていますが、こんなことを考えていただいたらいいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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気持ちのいい春が来たので、それにちなんで気持ちのいいリビングとは何かについて考えたいと思います。
みんな気持ちのいいリビングが欲しいじゃないですか。新築を設計するにあたって、間取りを作る時に一番最初に考えるのはリビングの位置じゃないかと思います。
なんたってリビングというのは、家族みんなが一番集まってきて一番長くいる空間ですから、ここの快適性がものすごく重要になってきますよね。だからここは優先順位が高くなることはとてもよくわかります。
「気持ちのいいリビングとは?」という質問を考えた時に、一番よく出てくるのは日当たりがいい場所です。日当たりがいいリビングはいいですよね。これに併せて、風通しも良い方がいいです。
そしてもう1つ大きい要件が、景色がいいことです。穴蔵で何も見えないリビングよりは、外の良い景色が見える方が快適ですよね。そういうことも全部踏まえて、リッチで豊かな感じが醸し出されていくのだと思います。
実際にいいリビングがどんな風に作られているのかを考察していきます。日当たりがいいかどうかは、みんな気にしていると思います。しかし、おざなりになっているというか後回しになっていると僕が感じるのは、景色の良さです。
例えば、日当たりを望む人が土地をもし選べるとしたら、南側道路を選びますよね。南側に道路がある敷地で考えた時には、南側に玄関を持ってこないといけません。駐車場も都市だったら2台ぐらい必要です。
日当たりがすごくいい良い土地を買って、いい感じには建てられたと思うけど、結果どうなるかと言うと、南側のリビングの窓からは車のお尻しか見えないのです。車好きが車を眺めたい気持ちはあるけど、ちょっと意味が違いますよね。車好きの人って前から見たいのではないでしょうか。だから、ちょっともったいない感じがします。
もっと言うと、道路から車1台分と言ったら5mぐらいしか離れてないから、高低差がないと道路と近いのです。そうすると、日当たりのいいリビングもついついカーテンを閉めるという現象が起きてしまいます。
前も他の動画で語りましたが、「日当たりを求めてたんじゃないの?」と。日当たりも中途半端になって、景色も良くない。ここの土地に家を建てた醍醐味が半減したみたいなことが起きてしまうのです。
例えば僕だったら、同じ南側の敷地を与えられてもこんな風にします。車の駐車場を2つ並びにせず、知恵を絞って南入りではなく西入り・東入りにします。車を横に置く分だけ、5mの半分ですから2.5mしか取れないかもしれませんが、リビングの前に庭を持ってくるのです。
そうすると何が良いことがあるかと言うと、庭と車との間に目隠しのフェンスができたり、植栽を植えられたり、あるいはデッキができたりします。デッキの上にプランターを置いてもいいし、植栽を植えたりしたら景色が良いですよね。リビングから緑が見えたり、子どもたちが外で遊んでるのが見えたりすると、ウキウキすると思います。
玄関を西にやったおかげで、限られた間口の南を全部開口にできるから、より日当たりに貢献するじゃないですか。翻って、冬場に日射取得ができるから、暖かい家にもなります。もっと言うなら、目隠しのフェンスをすることによって、南側道路の弱点だった外からの視線を遮断することもできるから、より落ち着いた空間になりやすいのです。
それからこんな例もあります。道路が西・東にあったりする敷地で往々にしてあるのは、間口が絞られていて東西には長いという所では、大体こんな配置をします。間口が限られているから仕方ないとは思いますが、なぜか隣家があるのに判で押したように南側に大きな窓を持ってきたりするのです。
そうすると、南の窓なのに隣家があるおかげでほぼ日は入りません。なおかつ隣家の北側って大抵は裏側みたいな所なので、カッコいい家が見えるのではなくただの壁が見える可能性が高いです。下手したらエコキュートの貯湯槽があったり、ゴミ箱が置いてあったりするかもしれません。
また、南側に部屋を持ってきたいですよね。だから、西入りのさらに北側に入り口を持ってきて、南側の居室を確保するあまり駐車場を南に寄せて2台取りがちです。
そうじゃなくて、あえて北側に駐車場を2台分作って、南の空間に庭を考えるというやり方があります。例えば吹き抜けを持ってきて、1階の窓からはあまり光は入らないけど、2階の吹き抜けの窓からは光が取りやすいことがよくあります。あるいは、東側はうまく光が入ってきそうな隙間があれば、ハイサイドライト(高窓)をつけて、東の朝日を入れていくみたいな感じで明るさを取ったりするのです。
気持ちのいいリビングという要件を考えていくと、リビング(の位置)を考えることに併せて、駐車場の位置というか配置の仕方をどうするかが重要になります。でも、「後で考えたらいいや」とか、ぼんやり考えてる人が多い印象です。これは残念です。ぜひプランが始まったら、ここの視点は持っておいてください。
最後に、ここのところ飯塚豊先生が言われている、家が豊かな空間を作るためのポイントをご紹介します。それは、中間領域というものが必要だということです。中間領域という言葉に耳慣れていない人のためにも、説明しますね。
よくあるのは、デッキの上にパーゴラがあるやつです。大抵デッキがある所って、内側がリビングというケースが多いのですが、外部だけど内側と連なって延長された曖昧な空間。つまり、外でも内でもない空間を中間領域と言います。
今の季節、「桜の木がうちにも1本あったら良かった」と思っているお父さんもいるんじゃないでしょうか。奥さんからは「毛虫が出るからやめて」と言われるけど、僕なんかは「毛虫は自分が取るから桜を植えさせて」というタイプのオヤジです。年に一度また春が来たなと、またみんなで桜を見られたことにとても郷愁を感じるタイプなので。
日本の昔の縁側とか濡れ縁とかもそうだし、街のカフェで言うならオープンカフェです。アウトドアリビングと呼んでもいいし、中庭という感じで表現する場合もあります。こういう風な空間をリビングと繋げられるとなお良いです。これが豊かさを作る1つのキーだと思います。庭との繋がりをリビングとセットで考えないと、いかにもリビングはもったいないということです。
まとめていきましょう。気持ちのいいリビングを作りたいとみなさん思っていると思うのですが、日当たりだけに囚われず、景色の良さとは何かをいつも心に置いておいてください。それをクリアするには、駐車場の位置・配置と庭との繋がりということも覚えておいていただきたいです。
この三位でリビングを考えてもらうと、きっと満足してもらえるリビングになると思います。ぜひ参考にしてみてください。
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今日は観葉植物の飾り方についてご説明します。
家づくりを考えていく中で、いよいよインテリアのことを考える段階になると、観葉植物を上手に飾るということが頭に浮かばれると思います。しかし、こういう風に思い付く方は実は少数派で、最後に家具を入れる時になって「観葉植物を何か置けるかな?」と考えるのが、どちらかというと現実かなと思います。
私たちが建てさせていただいたお家で、竣工後にお邪魔させていただくと「この家なんか感じええな」と思うお家がよくあります。そういうお家の多くに、上手に観葉植物を飾られているという点があります。
このように、上手に観葉植物を飾られているお家の奥様方に聞いたお話や、観葉植物を販売するプロの方に伺ったお話について、みんなでシェアしたら楽しいかなと思う内容がありましたので、解説していきたいと思います。例えばカフェに行った時に、観葉植物があるカフェとないカフェって、全然違いませんか?ここで、観葉植物が持っている力とは一体何なのかということを考えてみます。
一番は何と言っても、緑のリラックス感・温かみがあります。
それから、家の中に置く1つの効果として、蒸散作用があります。観葉植物も当然生き物なので、湿気を出してくれるんです。お家の奥様たちが水を撒くと、観葉植物はそれを吸収すると同時に放出もしてくれます。観葉植物には蒸散的・加湿的な力もあるということです。さらに、空気中の有害物質を吸着してくれて処理してくれる効果もあります。その力があるから、この緑の星である地球は、これだけ人間や動物がいても、たくさんの植物のおかげで美しい状態が長くキープされているんですよね。つまり、光合成をしてくれるということです。例えば二酸化炭素を私たちが出しても、植物はそれを使って光合成して、きれいにしてくれます。ですから、観葉植物を置くことはとてもいいことです。
最後に、風水的な効果もあります。風水的に、観葉植物の置き方でいろんなことが変わると言われます。そして、何と言っても縁起がいいですよね。縁には、そういう力が効能としてあると思います。それならば私もプロの端くれとして、お客さんと観葉植物の話題になった時にどんなものを勧めてあげたらいいのかと思い、プロの方に「初めての場合はどんなものがいいんですか?」と聞きました。すると、4つの植物を教えてくれました。
1つ目はガジュマルです。南の方で、水辺で根っこがグニャッとしている植物がありますが、その根っこのモッコリした感じの上にきれいな葉があるものです。2つ目はポトスです。葉の真ん中に黄色味が強くある、緑がすごく鮮やかなものです。3つ目はパキラです。幹が女の子の三つ編みのようになっていて、その幹がギューッと伸びた上に緑がパッと開いた形をしています。樹形がとても綺麗なものです。4つ目はカシワバです。枝ぶりが曲がったりしていて、得も言われぬ味があるようなものです。
この4つが、個性があって華があって、割と丈夫で育てやすいので、初心者の方におすすめだそうです。
私がこのような話をするのは、家づくりの間取りや内装を考える時に、どんな観葉植物を置くかということを早い段階から頭に置いておく方が、素敵な家になると思うからです。その上で、プロの方や素敵な観葉植物を上手に置いていらっしゃる奥様たちに、観葉植物を映えさせる4つのテクニックを教えていただきました。
1つ目に、鉢カバーが重要だということです。ホームセンターに売っているようなものを置くと貧相ですが、同時にちょっといい鉢や鉢カバーを買うと、途端にエレガントかつゴージャスになります。この鉢カバーがその家のインテリアのテイストと一致するといいそうです。例えば、黒がいいのか、白がいいのか。プラスチックの鉢をラタンや陶器のものにする、などということです。
2つ目が、プランツテーブルを使うことです。プランツテーブルとは、植物を飾るための小さなテーブルです。これを使うとグッとリッチな感じがするそうです。そう言われて、九州にいる友達の歯医者さんを思い出しました。そこの待合室には、とてもカッコいいプランツテーブルや、素晴らしい鉢に入った観葉植物が飾ってあるんです。「ああ、なんだかすごくリッチな空間!」と思います。自分の家でもこれをできるといいですよね。
先日、加湿器を置く場所も家の設計時点で冷蔵庫と同じように考えましょうということをお話ししました。このプランツテーブルも同じように、設計時点で考えておくといいと思います。ソファやテーブルは置き場所を考えますが、プランツテーブルを考えたことありますか?住んでからは考えると思いますが、できれば設計時点で考えた方がいいと思います。
3つ目に、吊るすということです。「観葉植物ほど吊るすのが似合うものはない」とおっしゃっているプロの方がいらっしゃいました。例えば窓辺に観葉植物を置こうとしても、出入りするのに邪魔だという問題がありますよね。しかし、吊るしたらいいということないですか?それなりに重量があるものもありますし、水を吸わせるとさらに重たくなります。ですから、天井補強も考えながら、吊るすということを考えておくのがおすすめです。そうすると、結構素敵なリビング空間や自分の居室が作れると思います。
最後に、観葉植物を映えさせる最大のポイント。これが今日一番お伝えしたかったことです。これはプロの方に教えてもらいました。
「お家に観葉植物を配達して持っていった時に、”おぉ!”と思う所と”アチャー!”と思う所があるんです。その違いは何かわかりますか?」と言われました。私は、「お金が掛かっている・掛かっていないとか、広い・狭いとか」と思ったのですが、違いました。
色目なんだそうです。それは、「どういう色にするといい」ということではなく、色の数が多いとよくないとおっしゃっていました。家の内装を考える時って、ついつい張り切ってしまいますよね。アクセントにクロスを、すごい柄のものを持ってきたりとか。それは高度なセンスを要します。
色彩的にごちゃごちゃしたものを調和させる力がある方っていらっしゃいますよね。例えば映画監督の蜷川幸雄さんの娘さんで、映画監督・写真家の蜷川実花さん。彼女の映画は極彩色ですごいですが、私たちには絶対あんな色使いこなせません。あんな天才、あまりいません。
私たち凡人は、色目は2色か3色までぐらいにして、色目の数を少なくして観葉植物を飾る。そうすると、その縁がすごく鮮やかに引き立つそうです。「それだけが、映える・洗練される最大のポイントなんです」と言われました。「さすが、プロの話は聞かなアカンな」と、とても勉強になりました。
私が大好きで大尊敬する、大西憲司先生は、インテリアまで考えられる先生です。先生の見学会では観葉植物も置いた状態で見せていただくのですが、「確かに」と思いました。私は「観葉植物の選び方が素敵」と思い込んでいたのですが、違いました。それを映えさせる家のカラーリング、色味の抑え方がとても上品で秀逸だったんです。この話を聞いてから、ますます「大西先生スゲー!」と思うようになりました。
観葉植物は家をすごく豊かにするものだと思います。ぜひ利用してもらって、それに備えるための家の基本設計・基本計画をしてもらえたら、すごく満足できる家づくりになるんじゃないかなと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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今日は、建て替えの時に気にしておいていただきたいポイントについて解説をします。
Uターンやご実家を利用した2世帯住宅もありますが、最近、おじいちゃん・おばあちゃんがお孫さんに家を譲って建て替えるというご相談を受けることが続きました。建て替えは、実は工事が始まる着工までが大きなポイントです。着工までの流れを確認していきましょう。
まずは、関わる全ての家族の合意が重要です。おじいちゃん・おばあちゃんが譲ってくれる場合、お子さんが複数いらっしゃれば、その家に思いを持っている方がその分いらっしゃいます。もちろんお子さんの1人である、お父さんあるいはお母さんのお気持ちもあります。
ご夫婦で家づくりされる方が多いと思います。そうなるとお施主さんご自身、そして配偶者である奥様の気持ち、相互間の家族の関係性ということでの合意形成は重要です。特に旦那さんのご実家筋に絡む建て替えだと、奥様は口を挟みにくかったりします。そうした意見を上手に汲めなかったりすると、建て替えはギクシャクしてうまくいかないことがあります。
今日はここを一番強くお話ししたいのですが、家族の足並みを揃えることは重要です。旦那さんがお仕事でお忙しくて、主に奥様が住宅会社探しなどで動かれるケースがあります。シニアのご夫婦は、奥様とお子さんが一緒に動くこともあると思います。そして良い候補が見つかった時、お父さんが業者と全く接点がないのに具体的な話に入るケースがままあるのです。
そういう時はうまくいかない時があります。変な意味ではなく、お父さんが置いてけぼりをされているような雰囲気になるのです。業者の方も、お話を重ねてきたお母さんや子どもさんの方が話しやすいから、お父さんには「どうですか?」と合意だけ求めることになりがちです。
そうした時にちょっとした食い違いがあって、「この話は白紙にする!」と言われて家族が気まずくなることがあります。業者は反省するだけで済みますが、ご家族がそれでギクシャクするのはすごく嫌です。最初の一歩ですが、ここはかなり意識していただきたいです。
2番目が住宅業者探しです。繰り返しになりますが、業者探しは家族間の合意形成ができてからにしましょう。住宅業者が定まると、住宅のプランの検討に入ります。ここで大事なことは4つです。
まずは法規です。前の家が建っていた時代から法律や用途地域が変わっていて、最悪のケースで建築不可の場合もあります。多くの場合は接道の問題です。宅地は必ず道路に2m以上接していないといけないという決まりがあるため、それが不足していると建築不可になることもあります。
また、セットバックと言って、例えば第1種・第2種の低層の住居専用地域は境界線から1m・1.5mぐらい距離を置きなさいという決まりもあります。この辺は素人考えではなく、プロにチェックしてもらいましょう。
次がライフラインです。新しい家の規定になると、水道の引き込みの管の径がもう少し大きいものでないといけない・メーターも大きくしないといけないみたいなことがあったりします。
古い町では、隣の敷地を越境して電線が引き込まれていることがあります。昔、おじいちゃん同士が友だちで「うちの家を通して大丈夫!」と言ったのでしょう。いざ引き直しが必要になった時、近隣の同意が必要となると、所有者の変更によってうまくいかないケースもあります。稀ですが、水道管が隣地を通って入っている時も引き替えが必要です。何百万円も必要になることがあるため、ここも検討要因だと思います。
次が方位の確認です。住んでいると自分の家の方位で「なんとなくこっちが南」とわかると思います。しかし正確にはわかっていなかったというケースがあり、次の家で困ることがあるので注意です。
方位を確認したら、次は駐車場の場所を決めます。駐車場の場所を後で決めるとすごくいびつなプランになってしまうことが多いので、そこも注意です。最後に、どういう面積でやるか・庭はどうするのかというところを決めます。建て替えでは、この辺りを気にしておいていただければいいと思います。
プラン検討の際、これまで慣れ親しんだ間取りに縛られている人をよく見ます。今の常識で考えると「なんでここなの?」という間取りもあったりするのです。意外に若い方でも縛られているし、特にシニアの方からは反対意見が出ることもあります。以前の間取りへの囚われを解消するには、住宅業者さんとタッグを組んで作戦を練りましょう。
ここで一番最初の家族の合意に戻るのですが、特に親の意見は強烈です。親の意見への返答の仕方を間違えると角が立って、家族関係がギクシャクする元になるため、そこも気にしてほしいと思います。
ここまで来るといよいよ4番目は解体業者探しです。そして5番目が仮住まい探しで、6番目が仮住まいへの引っ越しです。引っ越しをしたら解体が始まります。解体したら次が解体した後の地盤調査。何らかの問題があれば、地盤改良とか杭打ち工事をします。そしていよいよ新築の着工になります。これらが、まったくの更地に新築することに比べた時、建て替えに必要なことです。
いよいよ解体となった時、困るのがアスベスト問題です。30年・40年前の家を解体する時にアスベストが入っていると、費用も工期も変わります。2週間で解体できるお家が1ヵ月・1ヵ月半かかったり、200万円の工事が400万円・500万円掛かることも結構あります。こういう懸念は全体の工期・予算に大きく左右するため、気にしておいてください。
5番目の仮住まい探しは、工期の検討にも関わってきます。どれくらい借りればいいのかは工期にもよるし、いつから借りられるかは着工に影響します。また、たくさん家財道具があるなら、トランクルームを探さなければなりません。
もしペットを飼っていたらその間はどうするのか、悩ましいですよね。私もコタロウという愛犬がいますが、もし建て替えをするなら非常に大きいテーマです。多分うちの女房は私より優先すると思います。
最後に忘れがちなのが、工事用の駐車場の確保です。一昔前は「そんなもの適当な所に停めて」と言う人がいましたし、「そんなものはあなたたちが探すんでしょう」と思われるかもしれません。
私たちがやりたくないという話ではなく、工事用の駐車場はお施主さんが手配していただく方がいいと思っています。当たり前ですが自分の家の近くにないと意味がありません。そこに業者が行くと、時に意地悪をされるのです。「お金を払って」「敷金・権利金を払って」と。払えばいいのかもしれませんが、不思議なもので、お施主さんが行くと円満に済むケースが多くあります。
また、業者の立場の勝手な思いかもしれませんが、こういうものを1つ探すのもなかなか大変だと思っていただくだけで、工事もスムーズにいくと思います。建築工事は、お施主様と業者の共同プロジェクトです。お施主様にも汗をかいてもらうところがあると、建ててからの暮らしも変わってくるのかなと思います。
これは考え過ぎかもしれませんが、近隣の方々は共に何十年も暮らしてきたとはいえ、どこかのお家が綺麗にすると聞くと妬ましくなる気持ちはゼロではないと思います。だからこそ、建て替えの時は隣近所に理解してもらって、いい意味で応援してもらえる風土作り・環境づくりも大事です。
例えば業者だけで進めて工事中に迷惑をかけた時、工事の妨害とは言いませんが、条件を付けられたとなると、正直お施主さんもあまりいい気がしないですよね。私たちは建て終われば1つの仕事で終わりですが、そんなしこりがお客様と近隣の方々に残るのは良くないと思います。
6番目の仮住まいへの引っ越しにも関わってきますが、物の処分・整理と併せてご近隣への挨拶・根回しをぜひやっていただきたいです。解体する時に「これから家を壊す」と言うより、「実は少し先に建て替えを考えている」「しばらく家を離れるから知っておいてね」と世間話をしておくと、お互いに準備ができますよね。
気は心で、「棟上げする時はお酒の1本もお祝いに持って行ってあげようか」みたいな準備もしてくれると思います。ちょっとした挨拶によって、近隣の方とも円満に進められるはずです。
その上で解体が始まった時は、残したいものをどうするか考えておいてください。大きい会社さんの解体工事で何もかも解体しているのを見て、悲しくなったことがあります。住んでいる若い人が、おじいちゃん・おばあちゃんが丹精した物の値打ちを知らないケースもゼロではないと思います。
私はお世話焼きなので「なんという良い枝ぶりの木なんですか」と聞いて、おじいちゃんから「この木は孫が生まれた時に植えた」と教えてもらったりしたら、「残しておこうよ」と言います。そんなこともお施主さんの立場で気にしていただくと、より家づくりが良いものになるはずです。
最後に井戸です。古い家には隠し井戸があります。掘り抜き井戸が今は大きな蓋で隠されていることもよくあります。迷信だと思われるかもしれませんが、井戸にはそのお家の敷地を守ってきた神様がいらっしゃると思っています。
井戸はただ埋めてしまうのではなく、お祓いとか息抜きのパイプを入れてあげるとか、各地方でやり方があると思います。ひょっとしたら、忘れていた井戸を復活させたらいいことがあるかもしれません。風水を気にするなら井戸も気にしてください、というのが私の考えです。
最後にもう1回まとめます。まずは家族の合意形成は慎重に。「おじいちゃんから土地を貰えてラッキー!」ではなく、その感謝を受けて何か心を砕いてください。これが1つです。建てていく中で自分もそうですし、取り巻く家族がこれまでの暮らし方に縛られていることもあると思うので、そこはよく作戦を練ってください。これが2つ目です。
一昔前、田舎では近隣に手伝ってもらって建てるのが普通でした。それぐらい周りの注目を集めるのです。周りを味方にする・応援してもらえる家づくりになるよう、ちょっとした配慮をしていただくと、満足度の高い家づくりになると思います。
おじさんの説教がましい話でしたが、そんなことを頭に置いていただけると嬉しいです。ぜひ参考にしてみてください。
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今日は梁見せ天井のメリットとデメリットについて解説します。
家づくりが詰まってくると、「どんな内装にしようかな?」というところでよく話題になる梁見せ天井・梁あらわし。このことについて、解説をしていきたいと思います。
梁見せとか梁あらわしは、みなさんやってみたいと思うでしょうか。私は「やってみたら?」と言うタイプですが、良いところ・悪いところは知っておいてもらった方がいいと思っています。
一口で梁見せ天井と言いますが、大きく言うと2つのパターンがあります。その1つは、梁がドンと現れていて天井部分・屋根部分が梁より離れているケース。もう1つが、梁と天井が引っ付いてるケースです。
そもそも、私なんかは生まれた時から梁という言葉に慣れ親しんでいる人間ですが、意外と聞かない言葉だと思うので説明しておきますね。建物は柱が立って床がある構造になっていますが、床を支える横架材のことを梁と言います。これは一般的には隠して、床を張って天井を張ったら見えなくなります。これをあえて出すというのが、梁見せ天井なのです。
なぜそうするかというと、メリットがあるからですよね。それは何かと言うと、1番はあえて出すことでデザインにメリハリをつけることです。それから天井高が高くなります。なぜかと言うと、梁の部分がボコッと出っ張っているからです。有効寸法は梁の下側になりますが、ボコッと凹んでいる分だけ天井が高くなった感じがして、開放感があります。
人間は不思議なもので、木の温もりというのは嬉しいものです。その木の温もりに併せて思うのは、例えば古民家に行ったら大きい梁が掛かったりしていますよね。あれは時間が経つほどいい感じになります。経年変化というやつです。こういうことが味わえるのが、梁見せのメリットかなと思います。
しかし実はデメリットもあって、1つは照明がつけにくいことです。ダウンライトだと埋め込み照明なので懐が必要ですが、2階の床板をむき出しの時は懐が無いため、電線を這わせる所がないなど、つけにくくなります。
特に梁が天井から離れているケースなんかは、長い暮らしの間にホコリが上に滞留したりします。最近はハタキがあるお家は少なくなったと思いますが、ハタキをかけてホコリを散らして掃除するみたいな、面倒なところがあります。
また、さっき申し上げた2階の床板をそのままむき出しにするという意匠もあるため、その時は防音性が低くなります。梁見せをやる時は、こういうことを思いながら上手にやっていくことが大事です。
梁見せを今回話題にしようと思ったのは、家のデザインに大きな影響を与えるためです。意外にそのことを意識せずにわからないままやっておられる方もいらっしゃいます。これはよく飯塚先生の話でも言うことです。梁をむき出しにして強調するやり方もありますが、梁だけを強調することの良し悪しもあります。
梁をむき出しにするとか、梁だけを強調することはよくあります。我々も提案させていただくことがあります。ただ、落ち着いたデザインを考えるなら、面として同じような素材とか同じような色調で揃えた方が、より洗練されたインテリア空間になる傾向があります。そのことをお伝えしたかったのが、今日のお話をした理由の1つです。
2つ目が、私が思う梁見せ天井の最大のメリットは天井高を低くできることです。例えば一般的な天井高は2.4mが多いのですが、上に懐が取れるので平均天井高も当然上がっていきます。ということになると、階高を抑えることができるのです。
家は正面から見ると、同じ床面積のお家でも階高が変わると見た目が変わります。もちろん好みはあると思いますが、全体的に建物が低く感じる方が外観は綺麗に見えるはずです。
階高を下げるということは、天井高が一定欲しい気持ちもわかるし、配管のスペースも取らなければならないとか、いろいろな葛藤があると思います。なおかつ相反する問題として、天井高を高く取ると階高も高くなって、建物の外観を損ねることがあるのです。梁見せ天井なら、そこに対して最初からアプローチすることになり、それらの問題が解決することもあります。
私が今日一番言いたかったのは、梁見せはただ単にインテリアのアクセントじゃなくて、建物全体のプロポーションやデザインを左右する1つの大きなポイントだということです。以上のことを頭に置いてもらって、梁見せ天井を楽しんでほしいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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